政府備蓄米、出荷急ぐ落札業者 店頭に並ぶのは4月初旬から? 今後の価格は見通し分かれる2025年3月25日
3月10~12日に行われた政府備蓄米放出(売り渡し)の結果、JA全農など7業者が計14万1796トンを落札した。そのうちJA全農は約94%にあたる13万2999トン落札した。落札した業者は、1日も早くお米が売り場、食卓に届くよう作業を急ぐが、「米不足」が解消し価格が落ち着くかは見方が分かれている。
政府備蓄米売り渡しの契約数量
出所:2025年3月21日、農水省公表
「4月初旬にはスーパーの棚に」
687トンを落札した愛知県経済連は「令和6年産米は集荷率が低く取引先との契約を十分満たせなかったので応札した。卸を経て県内の量販店等に並ぶ。早いもので4月初旬にはスーパーの棚に並ぶと思う。農水省がいう『スタック』(滞留)があるかどうかは、正直よくわかっていない。JAグループとしては、コストに見合った適正な価格が生産者に支払われ、同時に、消費者も買い求められる価格に落ち着いてほしい」(担当者)と話した。
JA奈良県は1000トン落札した。関係者によると、同JAから県内の卸に販売しその後量販店等に並ぶが、並ぶ時期等は未定という。
全集連 備蓄米と表示するかは「販売先が決める」
2221トン落札した全国主食集荷協同組合連合会(全集連)は、「会員や取引先の希望をとりまとめ応札した。店頭にいつ並ぶかは調整中だ。備蓄米と表示するかどうかは、農水省の要領にもとづいて販売先がそれぞれ決める」とした。「今後の需給や価格の見通し」も尋ねたが「ノーコメント」とのことだった。
買い戻しには「民間玉」も活用
県外産米1000トンを落札したJA熊本経済連は「県内の流通量を確保するため、手を挙げた。その際、卸から買った量を戻す旨、確認している。25年産米を系統だけで同量返せるか見通せないので、民間玉でもいいから返すようにしたい」(農産販売課)と話した。
2240トン(同JAの入札量の9割)を落札したJA福井県は「今回の放出は、価格を下げるというより物を出すことで流通を円滑にする施策と理解している。今のところ2025年産米で返すのは難しいと思う」(米穀販売課)とした。
「今年は米騒動を起こさせないため、札を入れた」(担当者)とするJAさがは1649トン落札した。同JA関係者は「25年産の新米までつなぎ、昨年のような『米騒動』を起こさないよう落札したい」と話した。
「スポット価格の過熱冷ます」との見方も
備蓄米放出が今後の価格に与える影響については「備蓄米放出によって小売価格が下がるとしても、5キロ4000円台前半が3700円か3500円程度になるくらいではないか」(JA熊本経済連)という見方が有力だが、取引関係者には「相対取引価格と比べても、(業者間取引の)スポット価格や小売価格は上がり過ぎだ。今回の備蓄米放出は、スポット価格の過熱を冷ます効果はあるのではないか」との見方も出ている。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日
-
「日本の米育ち 平田牧場 三元豚」料理家とのコラボレシピを発表 生活クラブ2025年4月30日
-
「子実トウモロコシ生産・利活用の手引き(都府県向け)第2版」公開 農研機構2025年4月30日
-
「金芽ロウカット玄米」類似品に注意を呼びかけ 東洋ライス2025年4月30日
-
令和7年春の叙勲 JA山口中央会元会長・金子光夫氏、JAからつ組合長・堤武彦氏らが受章2025年4月29日