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米:2019年 農協協会 「JAの米実態調査」から

【JAの米実態調査から・3】農薬選択は効果の持続性と価格2019年10月1日

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 (一社)農協協会では、毎年「JAの安心・安全な米づくりと防除対策について」の実態調査を実施してきているが、その2019年の調査結果がまとまったので、その主要な部分を、米の作付関連(8月30日掲載)と防除対策(今回)に分けて紹介する。

<調査の概要>
 この調査は、水稲作付面積100ha以上の全国562JAを対象に、各JAの水稲関係担当の方(営農・購買)にご回答いただいた。調査方式は、郵送による自記入式アンケート調査で、調査期間は2019年2月25日~5月31日。回答数は509件(回収率90・6%)。
【回答JAの地区別件数】
 ▽北海道=47件(回収率97・9%)▽東日本地区(東北6県、関東7都県、甲信越3県、北陸3県)=220件(回収率90・9%)▽西日本地区(東海4県、近畿6府県、中国5県、四国4県)=165件(回収率91・1%)▽九州地区(九州7県、沖縄)=77件(回収率84・6%)

米調査イメージ

◆75%のJAが減農薬に

 図1―1は、使用農薬の成分数や散布回数を制限した「減農薬栽培」の取り組みについてきいたものだが、全国の75%のJAが取り組んでいる。とくに北海道と東日本での割合が高く、西日本では低くなっている。
 3年後にはどうなっているかをきいたのが図1―2だが、「現状と変わらない」が全国では66%で「増える」は15%となっている、西日本と北海道では「増える」という予測が全国平均より高くなっている。
 表1は、「成分数を制限した」特別栽培の全水稲栽培面積に占める割合を聞いたものだが、全国的には12%という回答になっている。

JAの米実態調査から・3図1

JAの米実態調査から・3図2

JAの米実態調査から・3図3


◆粒剤とフロアブル剤が主流

 図2は、農薬の初期除草剤、初中期一発剤、殺虫剤・殺菌剤(本田)および育苗箱処理剤で、いまどのような剤型が使われており、3年後にどのように変化するかを聞いたもの。
 「初期除草剤」では全国的にフロアブル剤がもっとも多く、3年後もほぼ同じ傾向にあるが、粒剤がやや減り、ジャンボ剤がやや増えると予測されている。地域的には、現在も3年後も粒剤が多いと回答されているが、北海道と西日本では現在も3年後もフロアブル剤という回答が多かった。
 「初中期一発剤」では、全国的に粒剤が多く使われている、北海道では53%がフロアブル剤と回答し、他地区とは異なっている。今後については西日本を中心にジャンボ剤がやや増える傾向にあるようだ。
 「殺虫・殺菌剤(本田)」では、粒剤とフロアブル剤が多いが、北海道ではフロアブル剤が53%(3年後は56%)と他地区とは大きく異なる傾向となっている。また、九州では他地区と異なりフロアブル剤26%、粉剤23%、粒剤20%、水和剤20%と4剤型がほぼ均等に使用されている。
 「育苗箱処理剤」は、「播種同時処理以外の粒剤」がもっとも多く使用されているが、北海道では「播種同時処理の粒剤」が41%、次いで「潅注処理の顆粒・フロアブル剤」34%と他地区とは大きな違いをみせている。

【図2】

JAの米実態調査から・3初期剤

初中期剤

殺虫殺菌剤

JAの米実態調査から・育苗箱剤

◆いもち病、ウンカ類・カメムシ 抵抗性雑草が問題

 図表にはしていないが、毎回「必ず防除する病害、害虫、雑草」について聞いているので、特徴的なものをあげると次のようになる。
 問題となっている「病害」では、「葉いもち」が多く、次いで「種子病害」や「穂いもち」があげられているが、九州では「葉いもち」「穂いもち」「紋枯病」が1~3位となっている。
 「害虫」では、「斑点米カメムシ」が全国で97%と圧倒的に多く、全国的に大きな悩みとなっていることが分かる。また「イネドロオイムシ」が北海道94%、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、トビイロウンカのウンカ類が九州で各々92%、84%、81%と他地区より高くなっている。コブノメイガも九州で83%と多い。
 「雑草」ではノビエ類、ホタルイ類、クログワイ、コナギなどSU抵抗性でも問題となっている雑草が顔を並べている。北海道では、クログワイやクサムネは少なく、ミズアオイ、オモダカ、ヘラオモダカ・サジオモダカが多い。また、キシュウスズメノヒエが西日本、九州で多いことも注目される。


◆ドローン農薬散布が増加

 新しい農業用機器として注目されている「ドローン」についても聞いたが、ドローンによる農薬散布した農家があるかどうかでは、「散布農家有り」は、全国で40%と昨年の24%から大幅に増えている。特に北海道では51%と半数以上の農家がドローンによる農薬散布を実施している。
 そして、今後の「増加の見通し」では、北海道で96%、九州でも97%、東日本と西日本で93%、全国平均で94%のJAが「増加する」と予測している。また現在ドローンの利用分野は、「農薬散布」が99%で、次いで「生育状況の確認、施肥時期・収穫適期の予測」が全国で10%(北海道では17%)となっている。


◆水稲雑草防除は初中期一発処理単用で

 図3は、水稲除草剤の使用体系について聞いたものだが、「田植同時処理」「田植同時処理以外」を合わせた「初中期一発剤単用」が全国で48%を占め、西日本、九州では55%と半数を超えている。また、初中期一発剤単用の体系に加え、初中期一発剤と「中期剤」あるいは「後期剤」とを組み合わせた体系も含めると、初中期一発剤が占める割合は、全国で66%と、省力化傾向が強まってきている。
 ここには示さなかったが、「初期剤に望む」こととして、全国の95%のJAが「価格の安さ」をあげ、次いで「効果の持続期間」「効果のある草種の幅広さ」がいずれも94%、そして「水稲に対する安全性」89%をあげている。いずれの項目も各地区で重要だとしているが、「効果の持続期間」が北海道で98%、九州で96%となっている。「価格の安さ」と「効果の持続性」が薬剤選択の最重要ポイントだといえよう。

【図3】

JAの米実態調査から・3図3



【2019年 農協協会 「JAの米実態調査」から】の記事一覧はこちら

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