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9月最需要期の生乳需給 北海道増産で混乱回避2025年9月17日

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生乳需給対応で大きな課題となる9月前半の最需要期は、製品欠品など大きな混乱なく乗り切れそうだ。9月の道外生乳送り6万5000トンを見込むが、北海道の生乳生産が前年比2%台の増産となっているのが大きい。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

北海道産の生乳生産堅調で供給制限はほぼ回避(9月15日、首都圏のスーパーで)北海道産の生乳生産堅調で供給制限はほぼ回避(9月15日、首都圏のスーパーで)

■広域的な配乳調整

9月上旬は、大半の小・中学校の夏休みが終わり学校給食牛乳の供給が再び始まることから"生乳最需要期"となり例年、主産地・北海道から首都圏など都府県への生乳移出量が最大となる。

こうした中で9月11日の最新Jミルク需給短信(週報)は、「学乳再開の9月上旬を迎えたが、酪農・乳業関係者の広域的な配乳調整により、現時点で大きな混乱は生じていない」とした。

Jミルクの8月1日発表の生乳需給見通しでは。飲用最需要期の9月の生乳道外移出量は、前年比3%増の6万5000トンを見込む。牛乳生産量は、8月の値上げ以降、前年比で1~2%台で下回るものの、学乳再開の生乳ひっ迫感から都府県では9月に相当量の補完需要が発生すると見ている。過不足を指定団体などの広域的な配乳調整で対応して、スーパーでの欠品や供給制限などはほぼ見られない模様だ。

■非系統偏重店舗で欠品恐れ

ただ一部で欠品に牛乳供給制限への対応も出ている。「9月中旬に牛乳の欠品の恐れがあります。ご了承ください」との張り紙が張られている店舗が出た。首都圏で週末に「おひとりさま3本まで」と購入制限している店舗もある。

例えば首都圏の格安大手スーパー・オーケー。8月牛乳価格改定でも「他店対抗商品」と位置づけ最安値の牛乳を提供している。メインの商品は北海道の酪農主産地・別海町のホクレンを経由しない非系統・自主流通グループの原乳を神奈川の中小メーカーが製造した牛乳を1リットル198円で提供している。

3連休となった週末に取材すると、育ち盛りの子供三人を持つ主婦がそれを5本ほど買い物かごに入れていた。物価高の中で、8月乳価改定で大手NB牛乳は同298円前後と300円の大台が目前に迫るのに100円も安い価格破壊だ。家計的に格安牛乳は助かるのだろう。他の客も次々と買い求めていく。それでも2週間前の同188円に比べ10円上がった。周辺の競合店舗に牛乳値上げが浸透し、同店でも10円程度上げても消費が落ちないと判断したためだろう。

だがオーケーで異変が出た。9月中旬に牛乳欠品の恐れがあるとの張り紙を出したのだ。欠品、供給制限などと聞くと、人はもう一本多めに買おうとの補完需要、防衛本能が働きやすい。それがさらなる供給制限につながる悪循環に陥りかねない。非系統の牛乳は指定団体が対応する広域配乳の枠外だ。「牛乳安売りを目玉」とした非系統偏重のスーパーは、猛暑が続く9月の生乳最需要期にこうした「欠品リスク」にさらされやすいことを示している。

■農水省、異例の9月バター輸入枠維持公表

異例の動きがあった。9月12日の農水省の2025年度バター輸入枠据え置きの公表だ。9月生乳最需要期の対応に関連し、その意味を考えよう。

日本は国際約束としてカレントアクセス(CA)に伴い生乳換算で13万7000トンもの乳製品の輸入機会を提供する。乳製品の用途別に需給を考慮し、CA枠を据え置くか拡大するかを判断する仕組みだ。例年、Jミルクの生乳需給見通しと合わせ1月に次年度分を決め、5月、9月ごろに見直しを行う。Jミルクの生乳需給見通し発表は9月30日ごろとみられ、農水省はこの時にCA枠をどうするのか示すのが通例だ。だが今回、9月12日という極めて早い段階、しかも9月の生乳最需要期という微妙な時期に前倒しで決めたことになる。

8月の猛暑の影響が限定的だったことで、学乳再開時の9月に牛乳欠品などで大きな混乱が起きていないことが大きい。ホクレンの8月受託乳量も前年比増産で安定供給に支障がない。こうした中で、需要が堅調なバター仕向けにも目途が立ったとの判断から、早めのアナウンスで、業界に輸入枠拡大はないと示した。

こうした中で、生乳需給問題は、価格改定以降の飲用牛乳の消費動向と、積み上がる脱脂粉乳在庫を削減するヨーグルト需要拡大、さらには年末年始の牛乳不需要期の生乳処理などに移る。

■北海道「23年猛暑」再来回避

9月混乱回避の大きな要因に北海道の生乳生産が順調なことが挙げられる。ホクレンの8月受託乳量は前年比2・5%増の約33万6000トンと順調な生産となった。

想定以上に8月の北海道の生乳生産が堅調なのは、「23年猛暑」の反省を生かした暑熱対策の徹底が効いている。畜産クラスター事業を活用した換気扇、牛体を冷やすミスト噴霧器導入など。また日中放牧の中止、地元酪農振興協議会などによる都府県酪農の暑熱対策視察などの動きも出ている。

酷暑と異常気象は、生乳需給にも異変をもたらす。一昨年「23年猛暑」の再来かともされ、業界の最大関心事は「8月の生乳需給」だった。

夏場に比較的冷涼とされてきた北海道で7月に「40度級の猛暑」が覆う。特に暑さに弱い畜酪への影響は大きい。Jミルクは、先の生乳需給見通し会見で、今年の酷暑での生乳需給への影響と「23年猛暑」の関連を問われ、「"23年猛暑"は北海道での8月の被害が大きかった。今年8月の1カ月の気温と生乳需給、酪農への影響を特に注視していきたい」としていた。

北海道酪農に大きな被害を出た「23年猛暑」は、道内で220頭の乳牛が日射病、熱射病となり、うち88頭が死亡した。頭数被害は極めて限定的だが、その後遺症は今もなお残る。「23年猛暑」は乳牛の繁殖障害、疾病の増加、乳量の減少や乳質低下、粗飼料として重要な2番牧草の夏枯れを招いた。

■都府県、酷暑戻りでひっ迫加速

一方で、北海道が堅調な生産の一方で、都府県では9月上旬からの酷暑のぶり返しで生産が停滞、需給ひっ迫が加速する事態も起きている。

万が一、台風や天候不順で北海道から本州に大量の生乳を運ぶ「ほくれん丸」が数日間欠航となれば、一挙に原料乳不足、牛乳製造が滞る事態が想定される。関係者は天候と生乳需給動向を慎重に見ながら広域需給調整などを進めている。

■不需要期念頭にヨーグルト拡販

このままいけば年度末の脱粉在庫が7・6カ月にまで拡大しかねない中で、酪農・乳業界挙げて、脱粉需要につながるヨーグルト消費拡大に力を入れている。

こうした中で、8月からはヨーグルトの効能をアピールする新CMの全国放映も実施。直近のJミルク需給短信では、主力の大容量カップの需要は比較的堅調だ。

需要拡大作戦のポイントは酷暑を"逆手"にとって、ヨーグルトの効能を消費者に分かりやすく伝えていることだ。日本乳業協会は「ヨーグルト暑克服」プロジェクトを始動した。同プロジェクトでは全国の量販店で活用できる店POPを作成して情報発信を実施するほかテレビCMにも力を入れている。

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