生乳生産 後継牛確保 一層強化を-Jミルク2016年6月1日
(一社)Jミルクは5月31日、28年度の生乳需給見通しなどを発表した。生乳生産量は前年度を下回る見込みで生乳生産回復に向けて、乳牛の供用年数の延長や事故率低減とともに、後継牛資源を確実に確保することが一層重要になっている。
◆生乳生産量 わずかに前年割れ見込み
北海道では生産の主力となる2~4歳の乳牛頭数が前年を超えることから、28年度の生乳生産量は前年比100.8%の392.7万tとなるが、都府県では引き続き頭数が減少することから前年を下回り同97.0%の340.5万tとなる見通しだ。その結果、全国では前年度をやや下回る同99.0%の733.2万tとなる。
1月公表の需給見通しより全国の生乳生産量見通しは4.2万t減少した。Jミルクによると1月以降の九州での生産減が影響したという。
牛乳などの生産量は、「牛乳類」(牛乳、加工乳、成分調整牛乳、乳飲料)は前年度を下回る468.9万kl(前年度比98.5%)の見通しで、「はっ酵乳」は引き続き堅調な需要が見込まれ前年度を上回る110.5万kl(同102.2%)の見通しだ。
乳製品の需給見通しのうち、脱脂粉乳の生産量は前年度を下回り12万5600t(同96.5%)の見通し。7月までに27年度追加輸入残量と28年度カレントアクセス輸入分をあわせた6900t売り渡されるが、年度末在庫量は4万5500tと同6000t減少する見通しだ。
バターの生産量も前年度を下回り6万4000t(同96.6%)の見通し。9月までに28年度カレントアクセス輸入分の7000tが売り渡されることになっているが、年度末在庫量は1万7600tと同4500t減少する見通しだ。これを受けて農林水産省は同日、バターと脱脂粉乳の追加輸入を決めた(記事別掲)。
需給動向をふまえた当面の課題として、Jミルクは生乳生産回復に向けて、乳牛の供用年数延長や事故率の低減など飼養管理の徹底をあげる。また、乳用牛への黒毛和種交配率が27年10~12月で全国34.6%と依然として高いことや、初妊牛価格の高騰が続くことをふまえ、国と関係者が一体となった後継牛資源を確実に確保するための取り組みが重要だと強調する。
また、今年の夏は西日本を中心として気温が平年よりも高い確率が50%との気象庁予報もあり、生産現場では暑熱事故等の防止策を講じて生乳生産の減少を最小限に留める工夫が求められるとしている。
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