JA全農、ブラジルの農協組織と提携強化2013年1月30日
JA全農は国際的な協同組合間提携による飼料原料調達の産地多元化に力を入れており、この1月からは今後の穀物生産の拡大が見込まれているブラジルのコアモ農協との取引が実現した。コアモ農協はブラジル最大の単協。今後の提携強化のため、同農協のホセ・アロルド・ガラシーニ会長が1月24日、JA全農を訪問し中野会長らと懇談、安定的な取引関係の構築や人的な交流についても協議していくことなどを話し合った。
トウモロコシなど配合飼料原料の安定確保のため、JA全農は南米でアルゼンチンの農協連合会ACAと協定取引を行うなど産地多元化に取り組んできたが、その一環としてブラジルからの直接購買と産地農協との提携を検討してきた。
2008年のブラジル移民100年を機にJA全農はコアモ農協と定期交流をスタートしていたが、昨年の米国大干ばつによって米国産トウモロコシが大減産になり、直近では日本の飼料用トウモロコシの約半分が南米産になる中で、同農協と改めて協議した結果、この1月積みで5万tのトウモロコシを成約するにいたった。
これまでブラジル産トウモロコシは独立系の民間輸出業者から調達していたが、コアモ農協との取引で農協間提携による産地直接購買が実現したことになる。
コアモ農協は1970年の設立。同国南部のパラナ州、マトグロッソドスル州、サンタカタリナ州にまたがって支部を持ち、組合員2万5000人、職員5500人の組織。年間売上高は約2600億円で穀物販売事業のほか、種子、搾油、マーガリン、コーヒーなどの製造と信用・保険事業も行っている総合農協だという。
穀物の年間取扱量は大豆400万t(うち200万tは自工場で搾油)、トウモロコシ250万t、小麦50万t。トウモロコシと大豆の生産量はブラジル全体の約3.5%を占める。パラナグア港に自前の輸出エレベーターを所有しているほか、内陸部に115の集荷エレベーターも備えており合計で350万tの保管能力がある。
ガラシーニ会長は同農協の設立者の一人で現在まで37年間会長を務める。自身も1200haの農場経営をしているという。
「すべて組合員がつくった穀物を扱っており、誰がどこで作ったか、品質も分かっている。取引には誠意を持って対応したい」と話した。
JA全農の中野会長は「これからも安定的な取引を長く継続したい。また、人的な交流も」と提携強化を呼びかけガルシーニ会長も同意した。
コアモ農協にとっても国際的な農協間取引は初めての取り組みとなるが、今後は(1)日本向けトウモロコシの優先取引契約の締結、(2)日本向け以外の取引での協力関係の構築、(3)定期的な情勢交換の実施、(4)全農グループ(米国も含む)とコアモ農協との間で相互に研修生や調査員を派遣、などについて提携協議を行っていく。
(写真)
JA全農の中野会長(左)とコアモ農協のガラシーニ会長
(関連記事)
・【JA全農畜産事業部特集】JA全農の飼料原料調達 「持続可能な畜産経営の実現」を支援 (2012.12.25)
・新規飼料原料DDGS JA全農が取り扱いを拡大 (2012.12.26)
・【最新の飼料情勢】 需給は引き続きひっ迫状況 (2012.12.25)
・【JA全農畜産事業部特集】 JA全農飼料畜産中央研究所 人材育成にも役割果たす (12.12.26)
・JA全中の畜酪対策 政策価格の引き上げ要請 (2013.01.18)
重要な記事
最新の記事
-
米の作況指数の公表廃止 実態にあった収量把握へ 小泉農相表明2025年6月16日
-
【農協時論】米騒動の始末 "瑞穂の国"守る情報発信不可欠 今尾和實・協同組合懇話会委員(前代表)2025年6月16日
-
全農 備蓄米 出荷済み16万5000t 進度率56%2025年6月16日
-
「農村破壊の政治、転換を」 新潟で「百姓一揆」デモ 雨ついて農家ら220人2025年6月16日
-
つながる!消費者と生産者 7月21日、浜松で「令和の百姓一揆」 トラクターで行進2025年6月16日
-
【人事異動】農水省(6月16日付)2025年6月16日
-
3-R循環野菜、広島県産野菜のマルシェでプレゼント 第3回ひろしまの旬を楽しむ野菜市~ベジミル測定~ JA全農ひろしま2025年6月16日
-
秋田県産青果物をPRする令和7年度「あきたフレッシュ大使」3人が決定 JA全農あきた2025年6月16日
-
JA全農ひろしまと広島大学の共同研究 田植え直後のメタンガス排出量調査を実施2025年6月16日
-
生協ひろしま×JA全農ひろしま 協働の米づくり活動、三原市高坂町で田植え2025年6月16日
-
JA職員のフードドライブ活動で(一社)フードバンクあきたに寄贈 JA全農あきた2025年6月16日
-
【地域を診る】「平成の大合併」の傷跡深く 過疎化進み自治体弱体化 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年6月16日
-
いちじく「博多とよみつひめ」特別価格で予約受付中 JAタウン2025年6月16日
-
日本生協連とコープ共済連がともに初の女性トップ、新井新会長と笹川新理事長を選任2025年6月16日
-
【役員人事】日本コープ共済生活協同組合連合会 新理事長に笹川博子氏(6月13日付)2025年6月16日
-
【役員人事】2027年国際園芸博覧会協会 新会長に筒井義信氏(6月18日付)2025年6月16日
-
農業分野で世界初のJCMクレジット発行へ前進 ヤンマー2025年6月16日
-
(一社)日本植物防疫協会 第14回総会開く2025年6月16日
-
農業にインパクト投資を アンドパブリックと実証実験で提携 AGRIST2025年6月16日
-
鳥取・道の駅ほうじょう「2025大大大スイカフェスティバル」22日まで開催中2025年6月16日