直売所起点の制度設計へ JA総合ポイント制度2013年7月29日
利用者サービスの向上にポイント制度を導入するJAが増えている。JAはこれによって事業量の拡大につなげたい考えだが、右肩下がりの事業量減少に歯止めがかからないのが実態だ。JA全中は7月26日、東京都内で総合ポイント制度の導入・運用に関する全国説明会を開き、制度の戦略的な活用方法や全国段階における取り組み状況などを報告した。また、農産物直売所を入口とした制度設計のためJAとの共同研究を提案。説明会には全国のJAや都道府県中央会、電算センターなどの関係者約250人が出席した。
◆61JAが導入
複数の事業の利用者を対象としたJAの総合ポイント制度は、2009年全国システムが稼働し、12年末現在、18県域61JAが利用し、会員は116万人に達する。導入JAは順調に伸びているものの、新規利用者の獲得や事業拡大につなげているJAがある一方で、なかなか制度導入の効果が上がらず、苦労しているJAがあるのも実態。
JA全中では総合ポイント制度を「JAの経営基盤戦略のツールとしてより効果的に活用するため、制度設計まで踏み込んだ支援が必要」と考えている。
(写真)
総合ポイント制度について説明するJA全中・甲斐野経営対策部部長
◆JAに共同研究への参加呼び掛け
現在、JAが導入している総合ポイント制度は、利用高配当型と小売事業型の2つのタイプがある。利用高配当型はJAのさまざま事業にポイントをつけるタイプで、対象は広いが、狙いが定めにくく、また新規利用者の獲得効果が薄い。一方、小売事業型は直売所などの販売事業にサービスを集中するタイプで、買い物のたびにポイントがつくため、「貯める喜び」が実感され、ポイントサービスが意識されやすく、地域住民の取り込みも期待できる。このタイプ導入のJAは、他の事業利用に応じて利用者をランク付けして、組合員化や他事業の利用増につなげている。
そこでJA全中は、説明会で農産物直売所をポイントサービスの展開場所として制度設計するという考えを示した。このため、希望JAによる共同研究方式を提案し、説明会で、モデルJAとして参加するよう呼び掛けた。
なお、説明会ではこのほか、ステージアップ戦略に伴うポイントシステムの機能追加について説明。現在、事業実績のデータ1年分を集計して、合計のポイント数から次期のステージを決めているが、これとは別にランク判定用の実績データを連動させ、月1回更新できるようにする。
(写真)
直売所のデータをもとにポイント制度を運用する山口県JA周南の直売「菜さい来んさい」
(関連記事)
・総合ポイント制度で全国説明会 JA全中(2013.07.09)
・長野県でJA総合ポイント制スタート(2008.10.02)
・来年4月からJA総合ポイント制度開始(2008.04.21)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日