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2014.06.25 
萬歳会長、2期めに向け所信表明 JA全中一覧へ

 JA全中は6月24日、会長候補者による所信説明会を開いた。候補者の萬歳章JA全中現会長は「組合員の視線での事業と組織運営の徹底」、「自らの自己改革の実践」など4つの実践を重視することを出席した代議員に訴えた。

 JA全中役員は今年8月10日の任期満了を迎え改選される。これにともなう次期JA全中会長の選出については、6月5日に立候補受付を開始し19日に締め切られたが、立候補者は萬歳章現会長1名だったことから、JA全中代議員(定数253名)による信任投票を7月4日まで行い「推薦者」を決定する。8月8日の臨時総会で正式に決定される。

 

◆中央会の役割、固有で不可欠

萬歳会長 所信説明で萬歳会長は、今回の農協改革論議をめぐっては、とくに連合会や中央会に対して「誤解や偏見に基づく意見もあった」としながらも農協組織の目的・役割について「広く国民に訴える努力が足りなかった」ことや、「組織内部でも十分に理解されていなかった」として、これを反省して「チャンスに変えるよい機会だと考える」と強調した。
 そのうえで[1]組合員の視線での事業と組織運営を徹底すること、[2]自らの自己改革の実践、[3]協同への結集強化、[4]農家、JAの代表としての政策提言の強化を重視することを強調した。
 このうち、農協改革については「本来の目的である農家の所得向上や地域の活性化に向けた具体策は現場に精通したプロであるわれわれJAグループ自ら策定するのが当然のこと。結果責任を負うのはわれわれ組合員、JA組織。組織の総力を挙げて真に実効性のある実現可能な実行計画を早急に策定していく」ことを訴えた。
 中央会の役割については「単協が独自性をもってそれぞれの経営を行っていることを前提に、中央会でしかできない固有の役割を発揮している」として、経営指導と一体で実施される中央監査や米の生産調整など農政の全国的な展開など総合調整機能は不可欠であるとして、これらの「役割を果たすため中央会制度は任意組織ではなく農協法で明確に位置づけられるべき。自律的な新たな中央会制度を検討するにあたっては、その基本を十分にふまえ真摯に組織内での検討を進めていく」と述べた。

 

◆国際的連携強める

 協同組合への結集の強化では、国際的な協同組合との連携も強め「市場原理の徹底やルールの画一化、極端な規制撤廃といった地球規模の流れに対抗する強靱な協同組合セクターを構築しともに助け合う社会を広げていく」と述べた。
 政策提言については、農家所得の向上には、農家が生産する「国産農畜産物そのものの価値、価格の向上が欠かせない」として今後の農家、JAの代表として「農家組合員の思いを貫いていきたい」、「迫る風に立ち向かい全中会長としての責任と役割を十分に自覚し、迅速に行動していく」と決意を語った。

【候補者略歴】
ばんざい・あきら
昭和20年8月13日生まれ。
出身JA:JA新潟みらい。
おもな経歴:JA五泉よつば代表理事組合長(平成10年3月〜15年6月)、同代表理事会長(15年6月〜18年12月)、JA新潟みらい代表理事会長(19年1月〜現在)、JA新潟中央会・各連合会・各県本部副会長(15年6月〜20年6月)、同会長(20年6月〜現在)、JA全中会長(23年8月〜現在)。


【萬歳章会長の次期会長候補としての所信説明】

 これまでの農協運動の経験のなかで、私は農は国の基という思いを育んできた。また、農家、そしてJAが食料の供給だけでなく地域の暮らし、環境、文化の保全などに大きな役割を発揮していることについて誇りに感じている。

 JAは全国津々浦々にあり、組合員のニーズに応じたさまざまな事業を行っている。私たちにとっては、当たり前のことだが、JAは組合員が主役であり、組合員の要望に基づき地域のJAがそれぞれの創意工夫で事業を行っている。こうした農協のあり方について、規制改革会議から安倍総理へ答申がなされJAグループの組織・事業の見直しが求められた。
 その内容は地域の農協が主役となり、それぞれの独自性を発揮して農業の成長産業化に全力を投球するよう農協の見直しを求めるもので、協同組合の理念や株式会社との違い、地域の農協とこれを支える連合会や中央会の役割については、農協組織に対する誤解や偏見に基づく意見もあった。しかしながら、われわれとしても農協組織の目的や役割について広く国民へ訴える努力が足りなかったこと、また、組織内部でも十分に理解されていなかったことを反省し、これはチャンスに変えるよい機会だと考える。

 そのうえで全中会長として次の4つを実践していきたい。
 1つは組合員の視線での事業と組織運営を徹底すること。 農家組合員にとっての最大の目標は、将来にわたり安全・安心、新鮮な食料を供給し続けること、そしてその成果としての農業所得を最大化することである。この目標を達成するためJAグループは担い手支援の充実や農家手取りを高める販売方式などを強化していく。
 また、農家だけでなくJAに賛同し事業を利用していただく地域住民、すなわち准組合員はJAの農業振興と地域の活性化に欠かせない存在である。一方、准組合員にとってもJAの信用、共済、福祉などの事業なしには地域での暮らしに支障が生じかねない。
 JAは地域の人々とともに、地域に根差した存在である。地域から逃げたり、大都市のみに店を置いたりはできない。地域の農業を振興し、地域社会に貢献するというJAの使命と責任を改めて組合員、役職員が共有するとともに、より多くの国民にJAファンになっていただく取り組みを強化する。

 2つめは自らのJA改革の実践である。
 農協改革に関しては組合員目線でJAグループ自らの意思に基づく改革の考え方を早急に取りまとめたいと考えている。新たな執行体制の発足後、すみやかに検討体制を確立する。また、組織協議においては多様な担い手や地域のJAの声を十分に反映するとともに、農業、農協の現場実態をよく知っておられる財界や学者、マスコミの方々からも外部の声を真摯に伺っていきたいと考えている。
 ただし、農協改革の本来の目的である農家の所得向上や地域の活性化に向けた具体策は現場に精通したプロであるわれわれJAグループ自らが策定するのが当然のことである。結果責任を負うのはわれわれ組合員であり、JA組織である。われわれは組織の総力を挙げて真に実効性のある実現可能な実行計画を早急に策定していく。
 さらにわが国の農業・農村の実態をふまえれば総合事業を行う農協の仕組み、そして単位農協を専門的にサポートする連合会・中央会の仕組みは、わが国の農業振興と地域の暮らしを守るためのもっとも有効かつ効率的な仕組みであると考えている。中央会のあり方についても外部からさまざまな意見が出されたが、中央会が単協の自由な経営を制約しているとか、農業の成長産業化を阻害しているといった意見はまったくの誤解であり、組合員やJA組織内からもそうした意見は出ていない。
 協同組合は組合員が主役であり、全国各地の農協は経済環境も特産物も異なるなかでそれぞれの組合員ニーズに基づくJAごとの特性をふまえた経営を今でも行っている。 われわれ中央会は単協が独自性をもってそれぞれの経営を行っていることを前提に、中央会でしかできない固有の役割を発揮している。たとえば、中央会制度が発足して60年が経過したが、農協組織は全国でひとつのJAも倒産、破産させず、預金者や利用者に迷惑をかけてはいない。これは中央会による監査と経営指導の一体的な仕組みがあればこそ実現できたことである。また、現在、政府が推進をしている全国的な主食用米の需給調整、飼料用米の推進など新農政の着実な実行において中央会の総合調整機能が不可欠である。
 こうした中央会の役割は、ときには単協の経営者にとっては厳しい、受け入れがたいといった内容もあると思う。しかし、JAグループの全体の信頼と経営健全性を確保するために不可欠な役割であり、こうした厳しい役割を果たすため中央会制度は任意組織ではなく農協法で明確に位置づけられるべきである。自律的な新たな中央会制度を検討するにあたっては、その基本を十分にふまえ真摯に組織内での検討を進めていく。

 3つめとして、協同の結集を強化していく。全中会長として第26回JA全国大会を主催し、協同組合の力で農業と地域を豊かにする、次代へつなぐ協同、を決議した。決議に基づき各地域におけるJAへの結集を強め、また他の地域のJAや事業等と連携をした新たな協同の取り組みを実践している。これを継続しさらに強化していく。
 また、JAグループ内だけでなく生協など農協以外の多様な協同組合との連携を一層強化していきたいと考えている。協同組合は世界中でさまざまな事業を行っており、その組合員は10億人を超えている。5年前のリーマンショックによる世界的な経済危機で多くのメガバンクや企業グループが破綻するなか、各国の協同組合は相互扶助の力で、この危機を乗り越えた。
 国連が一昨年を国際協同組合年と定め協同組合運動を高く評価し、その推進を各国政府に求めたのは決して偶然ではない。協同組合に関する国際機関であるICAのグリーン会長は5月に出された当時の規制改革会議の意見に対して次のような声明を全世界に向けて発表した。
 「この提言は協同組合の価値や原則を完全に無視するものであり、日本の農協運動が解体され組合員の権利が損なわれることに対し、世界の10億人の協同組合の仲間すべてがともに反対する」。
 また、日本国内の協同組合組織からも自主自立と民主的運営を基本に組合員の出資、参加によって事業を行うという協同組合のあり方を考慮せず、一方的に制度改変を迫る提言を強く懸念する、との共同声明が出された。私たちはこれらの励ましに対して大いに勇気づけられ、協同組合運動の力を改めて確信している。 全中会長として私はこうした協同の結集を強化していく。生協などさまざまな協同組合との事業連携や、協同の取り組みを拡大し地域と協同組合の理解を深め、その社会的地位を高めていく。また国際的な協同組合との連携を強め、そのなかで市場原理の徹底やルールの画一化、極端な規制撤廃といった地球規模の流れに対抗する強靱な協同組合セクターを構築し、ともに助け合う社会を広げていく。

 4つめとして農家、JAの代表としての政策提言を強化していく。
 エネルギーや医療、健康と並んで食料・農業・農村は国民に不可欠の役割を果たしており、国の政策の重要課題である。したがって、私は農家の代表として、また、JAを代表して必要な政策提言を今後ともしっかりと行っていく。 とくに農業所得の増大と持続可能な農業の実現、震災復興、TPP、地域の再生に向けて提言を強化していく。いずれも重要課題で3年間取り組んできたものであり、組合員の声、JA組織の声を十分に聞きながら農家組合員の思いを貫いていきたい。

 農業の成長産業化や農家所得の増大を目標に掲げる安倍政権の成長戦略は、わが国全体の課題であり、農協や地方だけの問題ではない。また、農業分野も含めわが国がデフレから脱却し、経済成長をめざすことは重要である。
 私は現在の状況を招いた原因は、ときの政権による緊縮財政や行き過ぎた規制緩和によるデフレにあると思う。非正規雇用の拡大と賃金の低下、企業の海外移転などで経済全体が疲弊し、その結果、もっとも弱い地方や農業が苦しんでいる構図である。
 こうしたわが国のデフレ脱却と経済成長に向けた農業の課題は何か。私は農業所得の増大であり、そのための国内生産の増大と内需拡大であり、そして地域社会の活性化であると考える。いずれの課題についてもJAの役割は今以上に不可欠のものである。農業所得の増大のためにも、農業の6次産業化や輸出拡大ももちろん重要だが、もっとも重要なことは農家が生産する農畜産物そのものの価値、価格を高めることである。
 農家手取りが増え、これによって農家が農業で食べていけること、農業で子どもたちを学校に行かせ、親の後を継がせることが生産現場の率直な願いである。また、地域社会の活性化のためには国内生産を拡大し、加工、流通、販売、中食・外食などの食品産業に対し、国産の農産物や食材を提供するJAグループの役割、そして地域の生活インフラを守り、雇用維持と経済活性化に果たすJAグループの役割発揮が必要であり、わが国の経済成長に向けて最大限の貢献を行っていきたい。 全中についても増加する自然災害への対応、新農政の全国的な推進、担い手に対する支援、JA経営の健全性確保など全中の役割発揮が今後、求められることは間違いない。
 息苦しいほどの課題山積のなかで、迫る風に立ち向かい全中会長としての責任と役割を十分に自覚し、迅速に行動していく。農業者の代表、JA運動のリーダーとして組合員の期待と信頼に全力で応えていく所存である。

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