情報共有し風通しのいい組織に 奥野JA全中新会長2015年8月17日
JA全中は8月11日の臨時総会で正式に奥野長衛新会長ら新役員を選出し、その後の理事会を経て新体制が発足した。奥野新会長は就任にあたって、当面の課題として米の再生産可能な価格回復対策や国会決議を遵守するTPP交渉などを上げたほか、「組合員、地域住民に応えられる組織に進化させていく改革」、「情報を共有する風通しのよい組織」などをめざす考えを強調した。
奥野会長は「まずわれわれが取り組まなければならないこととして、米の再生産が可能な価格回復と所得の確保」を上げた。米の需給緩和で水田農家が苦しんでおり、「少なくとも昨年より1円でも高い価格で農家に還元していきたいと考えている」と述べたほか「どういう対策がしっかり打てるか」を考えていく方針も示した。
2番目に上げた課題はTPP交渉。「結果がどうなるか、非常に注視をしていかなければならないが、すでに農家の間で先行して動きが出ている」として、将来の先行きがないとして畜産、酪農ですでに離農が相次いでいることを指摘、「先行きがないから借金しないうちにやめてしまおうという農家がずいぶん増えた」、「交渉の妥結以前にこういう(離農が相次ぐような)状況が出てきていることを承知してもらいたい」としたうえで、「JAグループ単独で何かがやれるものではない。政府、与党などと話し合いをしながら打開策をつくっていくという取り組みがいちばん大事」と話した。
3番目として東日本大震災からの復興支援をあげ、「人と人との助け合いの精神で、本当の復旧がなされるまで私たちは協同組合としての支援を続けていきたい」と強調した。
これらの課題のほか、今後のJA改革に向けた考えを語った。
そのひとつが、自然災害に対する共済事業など総合事業を展開する農協としての力の発揮が重要だとして「JAの事業を利用してよかったなと思っていただけるような活動をどんどん行っていく必要がある。JAの事業を利用し(JA運営に)参画していただく方々、仲間を増やしたいきたい。」と話した。
また、10月の第27回JA全国大会は「非常に大事な大会」と位置づけ、審議中の農協法改正を受けて「JAグループがどう進むのかを決めていく大会」だとして、9月2日まで組織協議を実施しているが、「各JAの組合員を含めて広範な議論を行っていただきたい。十分に思うところを言ってもらいそのことを各都道府県中央会へ、それが集まって全国での集約ということを大事にしていきたい。このサイクルをきちんと回したいくことが、所信表明で掲げた平成の改新だ」などと話した。
そのほか、協同組合とはその事業を通じて組合員の満足度をどれだけ得られるか、それが協同組合の真価だと考えていると強調した。
(関連記事)
・JA全中の新役員体制 (15.08.17)
・TPPで特別決議を採択-全中臨時総会 (15.08.17)
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