「報徳思想」に学べ 生活と経営・地域守る2017年11月9日
農協批判が高まるなかで、北海道の(一財)北海道報徳社(飛田稔章代表理事社長)はこのほど「協同の歴史と報徳」の冊子をつくった。二宮尊德の「報徳思想」を学び、「組合員の生活と経営、地域を守る道しるべ」として活用するよう呼びかけている。
冊子は北海道報徳社の「北海道報徳情報別冊・報徳生活読本」で、内容は、産業組合以前の協同事業に触れ、二宮尊德の農村再建の手法「報徳仕法」について説明。無利息貸付を行なう、仁・義・礼・智・信の「五常講」から始まって、明治の「報徳社」、産業組合の設立など、歴史を追って分かりやすく解説している。
特に戦時中は「農業会」に統合され、産業組合が国策機関になったとき、全国でただ一つ北海道の峰延産業組合(のちの峰延農協)が、統合せず、戦後の農業協同組合に移行したことを評価。この農協が戦前から自主・自立の精神を報徳教育で進めてきた。その時の組合長が、北海道報徳社の設立に関わるなど、戦後の北海道の協同組合運動に大きな影響を与えた小林篤一翁だったという。このように北海道の協同組合運動は、報徳思想の影響を強くうけたところに特徴がある。
(写真)JA職員必読の「協同の歴史と報徳」
その上で、米の買取り制度、委託販売(共同計算)などを取り上げ、それによって農協がリスクを負うことは、他作物をつくる生産者が、結果としてそのリスクを負うことになるとして「買取り制度は協同組合の根底を揺るがす問題になる」と批判する。
JA北海道中央会の会長でもある報徳社の飛田社長は「協同組合は古い体質を持つ非効率な組織だという人もいるが、現代のような競争社会にあっては、生産者や農協等が一体となっての〝近代的組織力〟を持った協同組合によってこそ、地域と組合員を守ることができると歴史が教えている」と、冊子の巻頭で今日における報徳思想の価値を強調している。
○問い合わせ・注文先:(一財)北海道報徳社
○TEL:011-271-2880
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