JA支援強化に向けた全農の取り組み ー次期3か年計画策定に向けてー2018年7月31日
JA全農では、来年度からの次期3か年計画の策定にあたって、(1)販売・購買事業の見直しによる「自己改革」の加速、(2)JAの取り組みを効果的に支援するための新たな事業モデルの構築とそれに対応する全農の事業運営方式の見直しを検討していくことにしている。ポイントは以下の通り。
◆新たな事業モデルの構築
まず「JAグループのスケールメリットの最大化」をあげている。
これは肥料や大型トラクターなど新たな共同購入で、JAグループ全体が全農に結集することで価格引き下げを実現した。また、販売事業では県域を超えたブロック別合同商談の実施や広域集出荷施設の整備・活用、端境期対策含めた全国リレー出荷体制の構築などを図ってきたが、今後もJA域や県域を超えたスケールメリットを生かした取り組みを強化することで農業者の所得増大をはかっていこうということだ。
二つ目は「マーケットインを軸とした販売力強化」だ。
これはこれまでの取り組みを継続し▽加工・業務用の米・青果物など販売先を明確にした契約栽培の拡大、▽輸入農産物の国産への切り替え、▽eコマース事業の本格展開・新インバウンド需要への対応へ取り組んでいくことだ。
加えて全農への結集による海外での産地間競争の回避を通じて国産農畜産物の輸出拡大とそれらの需要に対応できる産地づくりにも取り組んでいく。
三番目は、産地から取引先までの合理的な物流体系の整備、生産情報や取引先のトレンド情報等を総合的に管理する情報システムの整備などを内容とする「生産から消費までのバリューチェーンの構築および高度化」だ。
◆全農の事業運営方式の見直し
全農では、生産と消費をめぐる環境が大きく変化しており、将来を見据えて、生産と消費の現場課題に対応しつつ、持続的な農業生産を確保するためには、これまでのJAグループ内の機能分担を見直し、JAグループ全体で事業運営コストを抑制する必要がある。そのために全農の経営資源の最適配置を含めてJAと十分協議を進めていくとして、次の4つの「支援」に取り組んでいくとした。
まず「JA経営基盤強化に向けた支援」を掲げているが、これは経済事業における内部統制リスクを回避する観点から、受発注、在庫・配送など物流業務の全農委託など、JAと全農の機能分担を見直し事業運営コストの低減に取り組むことだ。また、生産資材店舗や農機事業、SSやAコープ店舗について全農とJAとの事業一体運営や経営委託の強化など、運営コストを削減し組合員サービスの強化だ。
二つ目は、地域生産振興支援や農家のJAへのいっそうの結集強化、TAC活動の強化について、農林中金や全国連と連携した「農家対応力の強化支援」だ。
三つめは、深刻化する労働力不足に対してパートナー企業と連携した農作業受託や外国人材活用支援など「農業労働力確保の支援」だ。
四つ目が、農業生産規模拡大にともなうほ場管理や労働力確保などが課題となっているが、省力化や農作業、農業経営の「見える化」に役立つ「農業ICTを軸とした技術革新支援」だ。これについては「Z-GIS」を含めて改めて紹介する。
総代会後の記者会見で、神出理事長はこうしたことを軸に次期3か年計画を策定していくと強調した。
(関連記事)
・利用拡大する全農の「Z-GIS」(18.07.31)
・今年度の全農自己改革の重点的課題(18.07.30)
・JA全農の取扱高4兆6382億円 平成29年度の取扱高実績(18.07.30)
・営農管理システム「Z-GIS」が運用開始 JA全農(18.04.24)
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