新しい年に決意あらた 農協協会「2019新年の集い」 孫崎享氏が「トランプ外交」で講演2019年1月28日
(一社)農協協会は1月24日、東京都内で 2019年の「新年の集い」と「新春特別講演会」を開いた。「新年の集い」にはJA全国組織の役職員やJAのOBなどが参集し、情報交換を通じて親睦を深めた。「新年の集い」に先立って開いた(一社)農協協会(佐藤喜作会長)、農業協同組合研究会(会長:梶井功東京農工大元学長)、新世紀JA研究会(代表:八木岡努JA水戸代表理事組合長)主催の2019年新春特別講演会では元外交官で評論家の孫崎享氏が講演。「ニッポンを標的 動き出すトランプの強硬外交-米国政権の貿易・安全保障政策-」と題して話した。
(写真)威勢よく鏡開き
「2019新年の集い」では、農協協会の佐藤喜作会長が、人々が分断されている今日の社会環境に触れ、「忌憚なくコミュニケーションができる関係を広げる必要がある」と、こうした集まりを通じた対話の機会をつくり、活用することの重要さを強調した。
来賓のJA全中・石堂真弘常務は、今年はJAグループにとって時代の大きな節目となることを強調。3月のJA全国大会、5月までの農協改革集中推進期間、9月の中央会の組織変更、食料・農業・農村基本計画の見直し、さらには統一地方選、参院選と大きな課題が山積している。「JAグループは、地域・事業の枠を越え、一枚岩となって成長していきたい」と呼びかけた。
(写真)情報交換で懇親深める
このほか、JA全農の中島欣二参事、農林漁業団体職員共済組合の松岡公明理事長、さらに参議院の山田俊男議員、藤木眞也議員、川田龍平議員、加藤善正・岩手生協連顧問などがあいさつし、「JAcom」や「農業協同組合新聞」の報道についてエールを送った。
「集い」は村上光雄・元JA全中副会長の音頭で乾杯し、JAや農業・農村の厳しい環境のなか、参加者全員で決意を新たにした。
(写真)会場を埋めた参加者
◇ ◇
◆「壁の次はニッポン」-新春特別講演会
孫崎氏は、トランプ大統領は「メイク・アメリカ・ストロング・アゲイン」=米国を再び強く、を掲げて当選したが、米国民への約束は3つだったと指摘した。国境の安全の強化と、アメリカの工業の復活、そして意味のないところにアメリカ軍は出さない、である。
多くの人にとっては予測不可能な行動をとるように見えるが、この3つの実現に力を注いでいるという。今週になって妥協を発表したものの、メキシコとの間に「壁」を作るという予算が通らなければ政府機関の閉鎖もやむなしという強硬姿勢を続けた。
現地のメディアは、トランプ大統領は壁の建設だけしか関心がない「シングルイシュー」になっていると批判しているという。それでも「壁の建設を言い続ければ支持が増えるとみるのがトランプ」だと指摘する。支持率は42%~50%はあり、批判する民主党支持者は眼中になく、自らの支持者の支持を固めることにエネルギーを注ぐ。最大の目的は大統領選再選だからだ。
孫崎氏は就任時に再選をめざすと表明した大統領はかつていなかったことや、これだけ批判が高まっていても民主党の次期大統領候補者として意欲を示す政治家で20%も支持を集める人は出てきていないことを指摘し、トランプ再選の可能性が高いのがアメリカの現状だと話した。
アメリカの工業の復活のシンボルとは、言うまでなく自動車産業で大統領選では民主党が強かったウィスコンシン、ミシガン、オハイオなどの州で勝ったことが当選につながった。
中国との貿易摩擦を引き起こし、関税引き上げに出るなど圧力を強めているほか、技術力で中国がアメリカを上回ることを警戒しているが、日本もターゲットであり、いずれより強烈に対日貿易交渉を進めていくなどと指摘した。
ただ、中国の経済発展についてはデータに基づいて見ることも必要だと強調し、購買力平価ではすでにアメリカを上回っており、日本の農産物輸出の伸びに注目して、「日本の農産物は他国よりもより安全を旗印に売ることできる。市場を冷静に見ることも大切だ」と話した。(講演の詳細)
(写真)孫崎享氏
(関連記事)
・「2019年 新年の集い」 福引景品をご提供いただいた品
(昨年以前の新年の集い)
・農協運動の熱き仲間たちが参集 農協協会「新年の集い」(18.02.01)
・いまこそ協同組合の大切さを語るとき 農協運動の仲間達が集う農協協会「特別講演会」「新年の集い」 熱い思いを語り合い和やかに開催(17.02.01)
・農業・農村の価値を改めて見直す 農協協会「2016年 新年の集い」開かれる(16.01.28)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日
-
「日本の米育ち 平田牧場 三元豚」料理家とのコラボレシピを発表 生活クラブ2025年4月30日
-
「子実トウモロコシ生産・利活用の手引き(都府県向け)第2版」公開 農研機構2025年4月30日
-
「金芽ロウカット玄米」類似品に注意を呼びかけ 東洋ライス2025年4月30日
-
令和7年春の叙勲 JA山口中央会元会長・金子光夫氏、JAからつ組合長・堤武彦氏らが受章2025年4月29日
-
【農協時論】農政の基本理念と政策へのJA対応 宮永均JAはだの組合長2025年4月28日
-
【'25新組合長に聞く】JAようてい(北海道) 金子辰四郎組合長(4/11就任) 「国民の胃袋」支える誇り胸に2025年4月28日
-
経営支え夢を応援 地域農業の発展、金融の力で 先進事例にみるJA・信連の取り組み(上)2025年4月28日
-
全農 備蓄米 4月に5万5000t出荷2025年4月28日
-
経営支え夢を応援 地域農業の発展、金融の力で 先進事例にみるJA・信連の取り組み(下)2025年4月28日
-
【JA人事】石塚克己(茨城県)石塚克己組合長を再任(4月26日)2025年4月28日
-
令和7年度「3-R畜産たい肥散布体験会」を開催 JA全農ひろしま2025年4月28日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年4月28日