【第4回JA営農指導実践全国大会・2】優秀賞の事例報告2020年3月11日
◆JGAP団体認証取得へ
関東甲信地区 菊池 晋一氏・JA長野八ヶ岳(長野県)
2020東京オリパラに向け責任あるレタス産地として、JGAP団体認証取得への取り組みを決めた。多くの営農指導員が対応できるように研修を受けるとともに、団体事務局担当、農場担当など役割分担をして進めた。
認証取得農場を視察するなどして、部会員と事務局で改善点を洗い出し、マニュアルを作成した。
認証前に内部監査を実施し改善点の理解を深めた。団体認証を取得することによって、農場では整理整頓が進み、無駄な資材を買わなくなったほか、農場や経営全体を見渡せるように発想が変化し、家族や従業員とコミュニケーションをこまめにとるようになった。
1人1人が責任を持って取り組みお互いの信頼が高まった。取引先からの信頼を高め長期的な安定取引につなげたい。
◆小さな産地の魅力活かす
北陸地区 櫻井 和幸氏・JA石川かほく(石川県)
1919年にかほく市高松地区で始まった「高松ぶどう」栽培だが、生産者の高齢化と担い手不足など課題を抱えていた。
栽培100周年を前に新規就農者・後継者の育成、販路拡大などに取り組むことにした。新規就農者にはJAが熟練農家と同行して栽培指導することで信頼関係を築いた。
県産オリジナル「ルビーロマン」は高値で販売されるが商品化率が低く、栽培技術向上が課題だった。房を800gから600gへと市場ニーズにあった栽培をするなどで商品化率が最大で30%向上し、栽培意欲の向上にもつながった。栽培面積も向上し出荷量も増加している。
JAが核となった産地育成を進めており、空きほ場を早期に把握し就農者へマッチングするなど、地域に寄り添うサポートが大切。地域に必要とされる営農指導員が目標だ。
◆枝豆100万袋の出荷維持
東海地区 戸塚 元樹氏・JAしみず(静岡県)
約100年前から清水市南部地区で栽培されてきた枝豆は狭い農地を活用しハウスで周年栽培している。高齢化によって弱体化してきた生産を再興しようと100万袋の出荷維持を目標に掲げ、栽培指針の作成、情報発信と担い手育成などに取り組んできた。
栽培指針の策定は生産者10名程度の過去の栽培実態を徹底して調査、若手・新規就農者の栽培基準として採用した。また、露地枝豆も産地化、ハウス産とは異なる品種を栽培、耕作放棄地防止にもつなげている。
枝付きのほうがうまみ成分が多く含まれることを科学的に実証して消費者向けに発信したほか、JAとして集出荷業務の改善も行った。取り組みで出荷量が上昇傾向に。営農指導員の最大の使命は農業所得の向上。関係者が力を出せば実現できる。
◆日南トマト未来につなぐ
中国地区 池本 亮平氏・JA鳥取西部(鳥取県)
日南トマトは米の転作の一環として昭和46年に栽培が始まった。生産者部会も設立され平成2年以降、1億円品目として定着し11年には2億円に迫った。
しかし、その後、高齢化と不安定な単収、資材の高騰、記録的な気象災害が続き生産意欲が低下した。産地再生が急務で行政機関と連携し「日南町 旨い果菜の里づくりプラン」を作成、▽栽培面積と新規生産者の確保、▽単収アップと品質の高位平準化、▽有利販売・販売促進に取り組んだ。 行政が農業研修制度を創設し新規に13名が就農した。裂果と着果不良を克服した新品種(りんか409)に転換した。出荷量が増えたためJAは販売体系を見直し、新たなに広島市場に出荷するなどで取引を拡大し初の2億円突破も達成。未来へ産地をつなぎたい。
◆ブランド力飛躍で所得増
四国地区 石原 浩信氏・JA高知県(高知県)
香南市夜須町で栽培されているハウス栽培の「ルナピエナ」は年に3作し、冬にも出荷する高価なスイカとしてブランドが確立している。しかし、重油の高騰や土壌病害の発生などで生産者が減少し、部会、さらにブランド消滅の危機に陥った。
ブランドイメージを維持しながら安定的再生産を可能にする品種転換と設備導入の支援、広報活動に取り組んだ。新しい品種には、灌水量の調整など栽培技術の確立と、試験段階から甘さや旨さを数値化して市場や消費者に提供し事前評価を得て、平成27年に全面転換した。
その結果、キロ単価が130%アップするなど所得増を実現。さらに省エネ設備や環境制御技術の導入でコスト削減と生産性向上も実現した。ブランド産地として時代に適応し飛躍を図っていく。
◆産地拡大へ担い手育成
九州沖縄地区 田中 慶輔氏・JA島原雲仙(長崎県)
雲仙ブロッコリー部会は氷詰め出荷と全量共同選別の開始によって平成25年に販売額5億円を達成した。次の目標を7億円としたが、面積と部会員数が伸び悩んだ。
そこで若手担い手の育成のため行政の研修制度の活用や、若手後継者会も設立し勉強会や品種試験、現地検討会など実施した。そのなかで若手後継者自ら「ブロッコリーは儲かる」、「JAの共選だから楽」と地域の若手に宣伝するようになり部会に入りたいという声も。
研修制度を利用して4名が就農するなど、10名だった若手後継者が24名に。部会全体でも37名が52名となり(平成30年)、面積も目標の40ha増、7・6億円を達成した。
今後は連作障害を回避する輪作体系づくりなどが課題。消費者ニーズに対応し将来にわたり持続する産地づくりをめざす。
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