JA全農、BASFと共同 宮城県の特別支援学校で鳥獣被害対策の特別授業開催 DMMアグリ2021年5月24日
農業の課題解決につながる事業を展開するDMM Agri Innovationは5月13日、農福連携の第一歩として、BASFジャパンと共同で、JA全農 東北営農資材事業所宮城県本部とJA仙台営農部の協力を得て、学校法人三幸学園の仙台みらい学園で、特別支援学校の生徒を対象とした鳥獣被害対策の特別授業を開催した。
フィールドスタディの様子
宮城県では、農業分野で「鳥獣被害」とその対策を行う人材が不足しており、福祉就労分野で支援学校の生徒が就職した際に、仕事内容のギャップにより離職率が高くなるという課題を抱えている。
DMMアグリは、以前から農福連携により課題の解決ができるか全農と三幸学園と協議を重ねてきた。このほど、仙台みらい学園の食農コース開校に伴い、鳥獣被害対策の啓発と農業に興味をもち、今後の農業業界を支える人材を発掘したいという全農と同学園の想いが一致し、特別授業を開くことになった。
特別授業の当日は、DMMアグリの社員が講師として仙台みらい学園の生徒19人に向けて、宮城県内の農業分野で大きな問題となっている「鳥獣被害」について、座学とフィールドワークの2つに分けて授業を行った。
フィールドスタディーでは、生徒が3組に分かれて校内の実習用圃場に電気柵を設置。実習用圃場ではサツマイモやトウモロコシ、カボチャなどを植えており、実際に小動物の足跡が見つかるなど対策が必要で、生徒たちは自らやりたいと手をあげ、参加していた。
鳥獣被害対策方法として、最も安価で手軽に始められる電気柵だが、周辺を除草せずに放っておくと雑草が電気柵に触れることで漏電し、電気柵の性能を確保できなくなるという問題がある。授業では、電気柵の仕組み、設置、メンテナンスまで一連の流れを説明。生徒からは「将来牧場を経営したいと考えており、電気柵は外敵からの防護のみならず、牛を囲う柵として使用することもできますか?」など熱心な質問も挙がっていた。なお、DMMアグリは今後、電気柵周辺の雑草防除で協力しているBASFジャパンが提供する非選択型除草剤「バスタ液剤」を使い、メンテナンスを行う。
特別授業を終えて、JA全農東北営農資材事業所は「生徒の皆さんが興味を持ってくれるか、若干の不安感を感じながら講義をスタートしたが、その不安感はすぐに期待感に変わった。講義を受けた生徒の皆さんが農業に興味を持つと同時に、習得した技術をもって農業分野を就職先として選んでいただけることを期待。今後も、農福連携に向けた各種取組みができれば」と話した。また、仙台みらい学園の藤原副校長は「授業では楽しいことだけではなく、大変な部分も同時に伝え、作物ができたときの喜びややりがいを座学、実習の両面から伝えていきたい。そして、農業の知識を得た状態で就職することで、就職後のミスマッチを防ぐことができるかもしれない。そのために、今後も企業とともに教育を行っていきたい。今回の取り組みは農福連携の第一歩だと思う」と今後に期待を寄せた。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日