スラム街の献身的活動から婦人運動へ 賀川豊彦の妻ハルの生涯描いた「春いちばん」発刊 家の光協会2022年10月27日
大正から昭和にかけて活躍した社会活動家、賀川豊彦とともにスラム街で貧しい人たちに尽くしながら婦人運動など数々の社会問題に立ち向かった妻・ハルの波乱に満ちた生涯を描いた歴史小説「春いちばん 賀川豊彦の妻ハルのはるかな旅路」(玉岡かおる著)が、家の光協会から発刊された。「今の時代にハルの行動から学べることは多い。女性を中心にぜひ多くの方に読んでほしい」と編集者は話している。
「春いちばん 賀川豊彦の妻ハルのはるかな旅路」
賀川ハルは、社会活動家として活躍し、世界的に知られた賀川豊彦の妻。豊彦とともに神戸のスラム街で貧しい人たちを支える献身的な活動に身を投じ、夫の死後も志を継いで多くの事業に関わった。「春いちばん」は、夫とともに社会問題に立ち向かい続けたハルの波乱万丈の生涯を、兵庫県出身の作家、玉岡かおるさんが詩情豊かに描いた歴史小説。
作品では、横須賀で生まれ育ったハルが、生家の火災などで家庭が没落して貧しくなる中、15歳で東京に女中に出されたり、伯父の好意で通えることになった学校でいじめに遭ったりと、悩みを抱え挫折を味わいながら少女時代を過ごした姿が描かれている。その後、父親の転勤で移った神戸での豊彦との運命的な出会いがハルの人生を変える。
スラム街で献身的な活動に身を投じる中で豊彦と結ばれ、著書などで懐に大金が入ると貧しい人の救済や社会事業に回す豊彦とともに、休む間もなく貧民救済から労働運動、女性解放、農民運動と活躍の舞台を広げる。眼病の感染で右目を失明しても人に尽くす姿は「スラムの女神」とも称される。第一次世界大戦や関東大震災などが起きた激動の時代を駆け抜ける中で、平塚らいてうや市川房枝といった女性解放運動をリードした人物などとの交流も生まれ、ハル自身もリーダー的な存在にたくましく成長していく姿が描かれている。
著者の玉岡かおるさんは、主な著書に「天涯の船」「負けんときーヴォーリズ満喜子の種まく日々ー」「お家さん」などがある。世界的な偉人とインプットされていた賀川豊彦の妻を主人公に小説の執筆をと打診された際、「逃げるわけにいかない」と受け止めたという。完璧な妻としての評伝が残る中、資料を照らし合わせながら人物像を想像し、その生涯を描いた。作品は約3年にわたって「家の光」で連載された。
家の光協会の担当編集者は「100年前に女性の地位向上などに取り組んだハルの活動が今につながっている面もある。様々な問題を抱える今の社会でハルの行動から学べることも多く、多くの方に読んでいただきたい」と話している。
「春いちばん 賀川豊彦の妻ハルのはるかな旅路」は、全496ページで、定価1900円(税別)。問い合わせは、(一社)家の光協会・図書販売部(電話03-3266-9029)
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