衛星×AIで農地把握、キャンプで直売所支援、食と環境「見える化」【JA支援のスタートアップ企業】(1)2022年11月15日
農業を中心に課題解決に取り組むスタートアップ企業をJAグループが支援するJAアクセラレータープログラムに採択された9社が11月9日、約5か月間の取り組みの成果を発表した。将来の飛躍が期待される若手起業家たちの挑戦がJAグループの伴走者の支援を受けてどんな成果を生み出しているのか、3回に分けて各企業の報告を紹介する。
衛星データ×AIで農業課題の解決目指す
「サグリ」の坪井俊輔CEO
「サグリ(株)」の坪井俊輔CEOは、日本が抱える農家の高齢化や耕作放棄地の増加などの問題点を指摘し、課題の解決に向けて衛星データとAIを活用したアプリなどについて説明、はじめに多くの自治体ですでに導入・実証されている、衛星データを使って耕作放棄地をひと目で判別できる「アクタバ」を紹介した。
そのうえで、今回のプログラムで新たに2つのソルーションの展開に取り組んだ成果を報告した。衛星データでどんな作物が作付けされているかがわかるアプリ「デタバ」と、AIによる衛星画像解析から生育や土壌の分析をして農家の効率的な施肥などを可能とするソルーション「サグリ」を紹介、今回の支援を受けて全国での導入先や実証実験先の開拓に取り組み、商談数は「デタバ」で300件以上、「サグリ」で40件以上に上ったことを報告した。そのうえで坪井さんは「日本の農地すべてに土壌診断を提供できる未来を目指し、実証実験にとどまらず、社会実装へ向けてJAグループと連携を強化したい」と抱負を述べた。
キャンプ場×JA直売所のマッチングで160億円商流目指す
「Engi」の山崎繁幸取締役クリエィティブディレクター
「(株)Engi」の山崎繁幸取締役クリエィティブディレクターは、キャンプブームをJA直売所の販路拡大につなげる事業に取り組んでいる。空前のアウトドアブームではあるが、キャンパーはその土地で食材を購入しないうえ、キャンプ場から出ないため、地元への経済効果が低い現状があると指摘、地域振興に向けた提案をプレゼンした。
この中で提案したのが、全国のキャンプ場とJA直売所をマッチングして地元食材のバーベキューセットを送る仕組みづくり。今回のプログラムで日本全国の直売所へのアクセスを目指し、伴走者とともに47都道府県への行脚を進め、茨城県で商談が成立し、ほかにも5県と最終調整中であることを明らかにした。また、10月には東京の「JAあきがわ」と協力してバーベキューイベントを開催し、茨城県でも着々と準備を進めていることを報告した。山崎さんは「最終的には優良事例を横展開し、全都道府県で導入してキャンプ場とJA直売所を結んで160億円の商流を作り上げたい」と強調した。
食の環境負荷を見える化したアプリで応援
「クオンクロップ」の北垣卓代表取締役
「クオンクロップ(株)」の北垣卓代表取締役は、地球温暖化が大きな社会問題となる中、同社が開発したアプリ「MYエコものさし」について「消費者がサステナブルな食を知って、選べて、応援できるスマートフォンアプリです」と紹介、ゼロからスタートした事業が伴走者の支援で10月にパイロット版のリリースまでこぎつけたことを報告した。
「MYエコものさし」を使うことで、食事のメニューごとに環境負荷を簡単に見える化して、環境負荷の低いメニュー提供する店などを調べられるほか、利用者はエコスタンプをためて食材のプレゼントを受けることもできる。
北垣さんは、プログラムを通して、導入する事業者や検討する事業者が加速度的に増えたことや、外食のみならず学食やケータリングなど多様な食のシーンに対応できる機能を築けたこと、さらに消費者がスタンプの「得」より生産者への「応援」に意欲を示すことを知る成果があったと述べ、「こうした熱量を受けてさらなる事業の進化につなげたい」と抱負を語った。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】ネギ、ダイズ等にシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年9月25日
-
切り花の消費減少と花産業が直面する三重苦【花づくりの現場から 宇田明】第69回2025年9月25日
-
イナゴ、ツブ、秋野菜の漬け物【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第357回2025年9月25日
-
大関と共同開発「ニッポンエール すももにごり酒」新発売 JA全農2025年9月25日
-
伊藤園と共同開発商品「ニッポンエール 山梨県産すもも」新発売 JA全農2025年9月25日
-
栗の出荷開始 前年比188%の増加見込む JA阿蘇2025年9月25日
-
日本最大規模の「アスパラガスサミット2025」11月に開催 inaho2025年9月25日
-
「令和7年9月12日からの大雨」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月25日
-
「令和7年9月2日からの大雨」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加) NOSAI全国連2025年9月25日
-
こだわり容器で果肉と果汁に一体感「食感を楽しむ農協果汁」国産りんごと和なし新発売 協同乳業2025年9月25日
-
「SAVE THE FARMS by YANMAR」で持続可能な農業提案「第15回 農業WEEK東京」に出展 ヤンマー2025年9月25日
-
鳥インフル 米ミシガン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年9月25日
-
青森県三戸町と農業等の労働力確保に関する協定を締結 タイミー2025年9月25日
-
奇跡のテロワール「つなん産直市」26日に銀座で開催 新潟県津南町2025年9月25日
-
セブン‐イレブン「関西うまいもんフェア」滋賀県のご当地グルメ8品が大集合2025年9月25日
-
ヤンマー『未ル わたしのみらい』が「京都アニものづくりAWARD」で総合グランプリ受賞2025年9月25日
-
脱炭素社会へ前進 EVトラック千葉で初導入 パルシステム千葉2025年9月25日
-
宅配の夏稼働日減で総供給高は前年割 8月度供給高速報 日本生協連2025年9月25日
-
第9回「京のプレミアム米コンテスト」府民審査委員を募集 京都府2025年9月25日
-
秋の花粉とハウスダストに「乳酸菌ヘルベヨーグルト」新CM放映中 雪印メグミルク2025年9月25日