【TACパワーアップ大会2023】担い手とともに活気ある地域農業を未来に 地区別優秀賞2023年11月27日
JA全農は11月16日と17日の2日間、TACパワーアップ大会2023を開いた。大会では優秀な活動をしているJAとTACが事例発表した。ここでは地区別優秀賞の事例発表概要を紹介する。
新品種イチゴでブランド化
JAほくさい(埼玉県)
北川辺支店係長 須賀大輔氏

北川辺いちご部会は8名がイチゴ約1haで「あまりん」、「べにたま」を栽培している。平成2年産までは、同県のブランド品種「とちおとめ」中心の栽培で、価格も比較的安定していたが、周辺をイチゴ産地に囲まれた産地が生き残るためには、ブランドの確立と農家手取りの増加が必須の課題になっていた。
そこで令和元年、市場評価が高く高収益が見込める「あまりん」、多収で収穫時期が早く食味のよい「べにたま」への切り替えをいちご部会に提案。果実が転がらないように収穫箱の工夫や、暖候期以降の品質保持のための細霧冷房システムの導入などに努めた。
令和3年度から試験栽培を始め、令和5年度で「とちおとめ」と比較したキロ単価は2.9倍(あまりん)、1.5 倍(べにたま)」の成果を上げた。埼玉ブランドの新品種として地域活性化につながっている。JAと生産者が一体になったブランド化で、JAへの信頼も深まった。
家畜たい肥で大豆増収
JAさがみ(神奈川県)座間営農経済センター
森 海人氏

座間市大豆生産組合は組合員8名で、市内の豆腐店と提携した地産地消や学校給食に提供するなど地産地消に取り組んでいるが、生産量は年々減少していた。これが毎年行っている生産組合のほ場検討会で問題になった。聞き取り調査の結果、施肥は化成肥料だけで、地力が低下していることが分かった。
そこで、座間地区に適した津久井在来大豆を対象に、地力向上のため家畜ふん堆肥の施用を提案した。ただ座間地区の農家は多品目生産で、労力がかけられないため、豚ふんと鶏ふんと肥料成分の高い「化成肥料14‐14‐14」の併用、それに緑肥作物(ソルガム)のすき込みの、2つの方法を試験栽培し、生産組合に勧めた。
特に家畜ふん堆肥の施用は、品質も収量も多かった。実施した平成4年度の整粒収量で10a228kgとなり、前年度の190kgを大きく上回った。今後も有機質肥料の施用を続ける。
タマネギで地域に活力
JA能美(石川県)
営農経済部営農推進課 西田誠也氏

米価の下落を受けて、所得確保のため水稲を両立できるたまねぎの栽培を提案した。たまねぎゼロからのスタートで、平成30年に部会を設立し、今では法人や集落営農組織も加わって、地域全体の関心が高まっている。
たまねぎ栽培では、適正サイズ(L,Mサイズ)の生産、製品歩留まりの向上が重要。機械乾燥の前に掘り上げたたまねぎを畝の上で5日間自然乾燥してから収穫することや、減肥栽培を提案し、乾燥不足による腐敗を防いだ。また植え付け㈱間を従来の12cmから、定植機の最小となる10cmにして肥大化を防いだ。
また堀り上げ作業省力化のため、機械を保有する農家への委託を仲介し、受託農家の機械償却の短縮にもつなげている。たまねぎの栽培面積は10.5haで毎年順調に伸びており、県内のスーパーを売り場は県産たまねぎで占めるようにしたい。
販売に合わせてハクサイ生産
JA鈴鹿(三重県)
営農部営農指導課主任 谷口昌志氏

加工用のハクサイで、在庫を滞留させず品質を維持する定時定量出荷体制を確立した。ハクサイの生産が順調に伸び、ハクサイは販売状況とは関係なく、収穫期になると、出荷されたハクサイが農協の倉庫で滞留することが多い。
この対策に、「必要なものを、必要な時に、必要な数量だけ、間に合うように供給する」ジャストインタイムの考えを導入した。生産・供給を受注によって調整しようというもの。これには販売の「見える化」が必要で、生産量や必要量をつかむ出荷指示計画書を作成。計画書によって、出荷のタイミングが明確になり、生産者は計画的な営農ができる。
また、出荷時期の予測は全農のZ-GISのナビを活用することでクラウド管理が可能になり、農業改良普及センターなどと情報を共有し、効率的な現場指導が可能になった。
JA総合力で強い産地づくり
JAさが
生産資材部肥料農薬資材課 鶴田新侍氏

TACは2020年から専任体制とし担い手への訪問で何に困っているかを聞きJAが何ができるかを考え事業の立案・改善をめざしている。
担い手からの意見・要望は生産コストの低減、農作業のさらなる効率化省力化など。とくに近年、生産資材価格が高騰しており、これをチャンスと捉えJA未利用者も対象に肥料満車直送奨励や、肥料事前大口予約購買の提案、地場たい肥の有効活用による生産コスト低減などを提案した。
また高齢化への対応として肥料の共同散布やBB肥料による作業の省力化などのほか、貸付・補助金の提案、付加価値を上げ経営改善が見込める独自の大豆品種「佐大01号」の栽培も提案した。 担い手からはJAの総合力の強みがよく分かった、所得向上への希望が見えたなどの声が聞かれるようになった。
具体的な成果として肥料の事前大口予約購買は未利用者が増加し前年度比191%となるなど実績を上げた。引き続き農家手取り最大化の具体策を提案しJA利用満足度を高めていく。
営農組合の経営力強化
JA本渡五和(熊本県)
営農経済渉外員TAC 山下清弥氏

集落営農組織で営農組合は地域の中核だが、経営の弱体化が課題のため中央会と連携した経営分析を実施した。
その結果、補助金頼りの飼料稲(WCS)から地域で活用できる飼料米への転換や、人件費削減をめざしたスマート農業技術の導入などを提案した。
飼料用米は籾を砕きSGS(ソフトグレインサイレージ)として畜産農家へ販売している。
スマート機器について営農組合1組織の協力で病害アラートを試験、その結果、適期防除が実現し、複合剤から単剤に切り替えることで早期で約6割、普通期で約8割の資材費を削減できた。
これらの結果を他の営農組合にも伝えたところ、8法人中6法人が導入し、今年度は地力マップ機能による可変施肥の試験も実施、その結果、収量のばらつきはほ場平均と比べて±30kg程度となっただけでなく、前年度と比べて100kg以上の増収となった。水管理システムの導入も提案し人件費の大幅削減につながっている。
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