【審査員特別賞】めざそう! アスパラ主導で離島農業日本一へ 長崎県JA壱岐市農産園芸課 松嶋新氏【JA営農指導実践全国大会】2024年3月1日
JA全中は2月16日、第8回JA営農指導実践全国大会を東京都内で開いた。大会には全国8地区から代表として推薦されたJAの営農指導員8人が事例を発表、審査の結果、最優秀賞にJAわかやま南部営農センターの楫本智司さんが選ばれた。大会は、とくに優れた産地振興や技術普及等に取り組んだ営農指導業務を担当する職員を表彰し、その取り組みを広く紹介し共有することによって各JAでの営農指導員のレベル向上とネットワークを構築することを目的に開いている。(一部既報)
「立茎」重視し有利販売
JA壱岐市農産園芸課 松嶋新氏
アスパラ部会は2019年に発足し70人の部員で構成されている。平均10a収は2722kg、17年連続長崎県下で1位となっている。
さらに生産・所得の向上へ挑戦しようと収量・単価の高位安定化をめざしている。そのために取り組んでいるのがアスパラ栽培の重要なポイントとなる「立茎」の調査。本数、太さ、摘芯高、葉面積など全70戸の農家を回って調査し記録。それをもとに農家ごとの立茎傾向を把握・分析し、農家と情報を共有、最良の立茎指導を行うよう取り組んできた。
また、農家ごとの立茎と収量の関連性を分析し経営診断書を作成、生産者のスキルアップと経営者としての意識づけも行ってきた。
所得の最大化をめざしバリューチェーン強化にも取り組んでいる。取引市場を絞り込み、契約販売を増やし、ばら出荷や1kg箱出荷による労力削減などにも取り組んだ。また、規格外品の有効活用、ふるさと納税返礼品などの取り組みを行った。
コスト低減と省力化には、施肥基準の改善と農家ごとの土壌分析による処方箋の作成で施肥効果を高め収量向上をめざした。
また、省力化のためにAI自動潅水の導入にも取り組み、将来は高畝栽培導入などさらにゆとりある農業をめざしたい。
JAとしては産地拡大と新規就農者の確保に向け、農業版マルチワーカー制度を策定した。これは希望者が組合に所属し年間を通じていくつかの農業者に派遣される制度で、就農希望者にとっては自分にはどんな品目が適しているのかなどを試す機会になる。
さらにJAとしてトレーニングハウスとアパートハウスを整備した。
こうした取り組みにより、重点指導対象農家(10戸)の収量は2018年の10a2890kgから2022年に同4325kgとなり、約4割増加した。バリューチェーン強化の取り組みで輸送コストは1~2割低減し、契約量は全出荷量の8・3%と2%増となった。契約単価も1kg1515円から同1586円へと上昇している。
肥料コストは約1割減、一方で収量は約1割上昇、労力は47時間削減した。マルチワーカーは3人が登録し1人は就農。若者が希望を持ち豊かな生活を営むことができる離島農業をアスパラ主導でめざしていく。
【第8回(2024)営農指導実践全国大会リンク】
JA営農指導実践全国大会 優秀事例を共有 産地振興、技術普及の底上げへ
【最優秀賞】「わかやま布引だいこん」を日本一の産地へ JAわかやま南部営農センター 楫本智司氏【JA営農指導実践全国大会】
【審査員特別賞】めざそう! アスパラ主導で離島農業日本一へ 長崎県JA壱岐市農産園芸課 松嶋新氏【JA営農指導実践全国大会】
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































