【最優秀賞】「わかやま布引だいこん」を日本一の産地へ JAわかやま南部営農センター 楫本智司氏【JA営農指導実践全国大会】2024年3月1日
JA全中は2月16日、第8回JA営農指導実践全国大会を東京都内で開いた。大会には全国8地区から代表として推薦されたJAの営農指導員8人が事例を発表、審査の結果、最優秀賞にJAわかやま南部営農センターの楫本智司さんが選ばれた。大会は、とくに優れた産地振興や技術普及等に取り組んだ営農指導業務を担当する職員を表彰し、その取り組みを広く紹介し共有することによって各JAでの営農指導員のレベル向上とネットワークを構築することを目的に開いている。(一部既報)
協議会でブランド化
JAわかやま南部営農センター 楫本智司氏
「わかやま布引だいこん」は名草地区の布引など4地域の砂質土壌で生産される青首ダイコンで形がいい、きれい、みずみずしいなどの特徴がある。栽培エリアが限定されているため、品質を重視した栽培に取り組み、産地全体で播種日に応じた収穫期間、株間、畝幅など「作型表」による管理を徹底している。
しかし、出荷組合は四つあり、目ぞろえ会はそれぞれで実施、異なる段ボールで出荷するなど生産販売戦略が統一されていなかった。
また温暖化の影響で出荷物の変色や、連作によって黒芯病が発生するなど品質の低下が問題となり、さらに他産地との単価差が縮小するなどブランド力の低下が懸念された。
そこでまず組織体制の整備に取り組み、半年かけて徹底協議し元の4組織は残しながらも意思決定と情報共有が可能となる大根生産販売協議会を設立した。
また、協議会設立を機に▽既存品種の課題抽出▽有望品種の選定▽現地での試作▽協議会での決定・導入――という新品種導入が円滑に進むプロセスを実践し、それまでに10年間で1、2品種だった新品種導入を、5品種すべての作型で品種転換を実現した。
黒芯病について県の農業試験場など関係機関と連携した防除で根絶することができた。
ブランド力を強化するため「新鮮さをアピールするため葉に注目してはどうか」という生産者の提案をもとに「葉付きだいこん」を期間限定で販売し、差別化を図った。
こうした取り組みを進めるなか、持続的発展の決め手が欲しいと考え、生産者が誇れる産地にしようと7年かけて「わかやま布引だいこん」として地理的表示(GI)登録を取得した。これは和歌山県の農産物で初登録であり、ダイコンで全国初の登録となった。
こうした取り組みによって2018年からの5年間で産地全体として約8760万円、1軒当たり平均販売額が約220万円増加した。10a当たりでは販売金額が25・8万円、36%増加した。
協議会員47軒のうち、親元就農が16軒、就農見込みが25軒で、9割で後継者確保のめどが立ち持続可能な産地づくりにつながっている。今後は栽培技術のデータ化、海外輸出、産地のファンづくりに取り組んでいきたい。
【第8回(2024)営農指導実践全国大会リンク】
JA営農指導実践全国大会 優秀事例を共有 産地振興、技術普及の底上げへ
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