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上滑りした「スピード感」 背景に「米卸」への理解不足? 備蓄米をキャンセルした業者の声2025年8月7日

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農水省が随意契約で放出した政府備蓄米の1割近く、約2.9万tがキャンセルされた。なぜこれほどのキャンセルが生じたのか。政府備蓄米を随意契約で申し込み、キャンセルしたり、数量を減らした業者に聞くと、「スピード感優先」の売り渡し方法にひそむ課題が浮かんだ。

約1割、2.9万tものキャンセル
小泉進次郎農相は8月5日の記者会見で、「現時点において......随契備蓄米の(売り渡し)確定数量、約30万tの約1割、約2万9千tのキャンセルが生じている。現在行っている事業者からのヒアリングを踏まえて、今後の対応策についてできる限り速やかに決めるように検討していきたい」と明かした。

商品取引で、購入申し込みの1割もキャンセルが生じるのは異例だ。

小泉農相は会見で「まず出庫がやはり、より実需者の望むだけのスピード、そして量、これに追いついていない」という「受け止め」を述べた。それも考えられるが、5月26日に開始された随意契約でも申し込みの辞退者が一定数いる。なぜ、こんなことが起きるのか。

コンビニ「8月20日までに届かず」
そこで、農水省が公表した「申し込み確定状況」のリストを分析し、当初、申し込んだ業者として記載されながら、その後のリストから削除された業者(申し込みをキャンセル)と、申し込み時点の申し込み数量より、最終的なリストに記載された申し込み数量が減った業者(注文を減らした)をピックアップし、事情を聞いた(=表「随意契約米のおもな辞退業者」参照)。

随意契約米のおもな辞退業者

コンビニを全国展開するI社(本社・東京都)は、申し込み数量を200tから72tに減らした。

同社は、全店で備蓄米を供給した。初回の販売は6月末だったが「コンビニで売ってくれて良かった」との声が寄せられるなど好評で、2日ほどで売り切れた。だが、「8月20日の引取期限までに精米した商品が届かないことがわかり、やむなく数量を減らした」(広報)という。ネックになったのは、同社が精米を委託した業者のキャパシティだった。

1000t申し込んだ岐阜県の米卸C社も「いつ届くのか、問い合わせてもなかなか返事がなく、段取りできなかったのでキャンセルした」とする。

「転売不可」での齟齬も
一方、新潟県で米の集荷、販売を営むB社や米卸のF社(奈良県)、G社(大阪府)は、随意契約で買った備蓄米を取引先であるスーパーなど小売に卸そうと考えていたが、農水省から「それは転売にあたるため不可」といわれキャンセルしたと説明する。

小泉農相の下で備蓄米の随意契約を始めた際、農水省は「転売不可。直接消費者に売ること」を条件として課した。「受託事業体と買受予定者との間で締結する政府所有米穀の売買契約における約定事項」には「乙(買受予定者)は、本契約により買い受けた政府所有米穀を消費者に販売すること。また、乙は、当該米穀の転売防止に努めること」と記載されている。

だが、江藤拓前農相の下での入札での売り渡しでは、落札業者が小売等に販売できたため、一部の米卸が、随契備蓄米も取引先に売れると思って申し込んだことになる。

米卸「中抜き」は適切だったか
それ自体は、申し込んだ一部業者の誤解だったが、「直接実需に売り渡すという(随契備蓄米売り渡しの)やり方が良かったのかどうか」(B社)という疑問の声が複数あった。

その点をF社は、随意契約で実需に直接売るというスキームを「大いなる社会実験だったと思うが、背景に米流通への理解不足があった」とみる。

随契による売り渡しを始めた5月27日、「スピード重視でやらなければいけない。......スピード感を持って対応できる能力は、まずは大手の小売さんという思いでやってきた」と小泉農相が述べたように、卸を中抜きして実需に直接渡すというのは「スピード重視」の重要な手立てだった。だが、米の商流を無視した奇手が一部で混乱を生んだことは否めない。

再認識すべき米卸の役割
F社はこう話す。
「卸といっても、米の場合は右から左に商品を流す単なる卸ではない。工場を持ち精米する加工業でもある。スーパーなり中・外食業者なりに玄米を届けても、そうした業者は普通、精米できない。それに薄利だからギリギリの人員で業務を回しているため、急に別の業務を処理する余裕がないことをわかってほしい」

その意味では、備蓄米売り渡しという「社会実験」は、米卸の果たす役割を私たちが再認識する意義があったともいえる。この際、米卸を飛ばした備蓄米売り渡しという政策についても、検証されるべきではないか。

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