【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内で初めて確認 栃木県2025年8月20日
栃木県農業総合研究センターは、チュウゴクアミガサハゴロモを県内のぶどう及びなしほ場で初めて確認。これを受けて、8月15日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表した。
栃木県農業総合研究センターによると7月7日、県北東部のぶどう(露地栽培)ほ場で、ハゴロモ類の成虫・幼虫及び枝への産卵が確認された。栃木県立博物館に成虫の同定を依頼した結果、チュウゴクアミガサハゴロモと判明した。また、7月25日に県南部のなしほ場でも、成虫及び枝への産卵が確認された。
同種は中国原産で、海外では2010年以降、韓国、トルコ、フランス、ドイツ及びイタリアに分布が拡大。国内では2017年に大阪府で初めて確認されて以降、関東以西の本州、四国及び九州の各地で発生が報告されている。
農作物への加害については、2024年に神奈川県、埼玉県、福岡県及び山梨県から、2025年に東京都、群馬県、熊本県、富山県、千葉県、大阪府及び奈良県から特殊報が発出されている。
(提供:栃木県農業総合研究センター)
チュウゴクアミガサハゴロモ成虫の体長は14~16mm程度で、前翅は茶褐色~鉄さび色。前翅前縁中央部に三角形の白斑が存在する(写真1、3、4)。幼虫は白色。腹部から白い糸状の蝋物質の毛束を広げる。産卵痕は白い毛状の蝋物質で被覆される(写真2)。
(提供:栃木県農業総合研究センター)
同種は極めて広食性で、農作物では、チャ、ナシ、リンゴ、ウメ、モモ、スモモ、オウトウ、ブドウ、カンキツ、カキ、クリ、イチジク、ブルーベリー、オリーブ、キウイフルーツ等への加害が報告されている。国内における年間発生世代数など、生態は不明な点が多い。
成虫、幼虫ともに集団で枝を吸汁し、多発生時には排泄物によりすす病を引き起こす。成虫は枝皮を剥いで産卵するため、枝が損傷し、伸長抑制や枯死を引き起こす。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)8月6日現在、チュウゴクアミガサハゴロモに対して登録のある薬剤はない。
(2)成虫、幼虫は見つけ次第捕殺する。産卵された枝は直ちに摘除し、土中深くへの埋設、または袋に密閉したうえでの処分など、適切に処理する。
(3)同種は広食性のため、農作物だけではなく、庭木等も観察し、寄生を確認した場合は(2)のとおり対処する。
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