今こそ農協の出番 新たな社会構築へ 16氏を表彰 第45回農協人文化賞2024年8月7日
農協運動の仲間達が贈る第45回農協人文化賞の表彰式と記念パーティが8月6日、東京都内で開かれた。JAグループ関係者ら約130人が参加し受賞者の功績を讃えるとともに、参加者で交流を深めた。
第45回農協人文化賞受賞者
表彰式の8月6日は、広島に原爆が投下されて79年目の日。表彰式に先立ち参加者は黙祷を捧げた。
主催者の村上光雄農協協会会長は、世界ではウクライナや中東で戦争が続き「いつ核兵器が使われても不思議ではない危機的な状況。人類は退化し滅亡に近づいているように思えてならない。このようなときこそ協同の力で平和な世界の実現を訴えていかなければならない」とあいさつし、来年の国際協同組合年に向けて「自信と誇りを持って行動を」と呼びかけた。
村上光雄 農協協会会長
受賞者に対しては「組合員、役職員と一体となり地域の発展に粘り強く取り組んだ先進的な取り組みは現場に多くの示唆を与える。今後の活躍を期待する」と讃えた。
谷口信和 東大名誉教授
農協人文化賞選考委員長の谷口信和東大名誉教授はあいさつのなかで日本農業にとっての課題を提起、7月末の秋田県・山形県の豪雨被害に触れて、実は北朝鮮でも同じ前線による大水害が起きていることを指摘した。
「まったく別の話ではなく、大きな気候変動のなかでつながって起きていること」と話した。原因は日本近海の海面水温が、全世界で一番上昇していることにあり、こうした地球温暖化問題には日本の農政も関係している。「根本的な問題は食料自給率が低いこと。60%の食料を海を隔てて遠距離から輸入し、大量の石油を使う。国内で生産したほうがCО2排出量は少ない。つまり自給率を上げることは日本だけでなく地球に貢献することだ。これを考えながら地域で農業をすることが大事。JAにがんばってもらいたい」と期待した。
表彰式ではJAグループ全国連からの来賓によるあいさつも行われた。
JA全中 福園昭宏常務
JA全中の福園昭宏常務は「JAは学び合い、支え合い、切磋琢磨する組織」だとして、受賞者のこれまでの実践はJAグループとしてのレベルアップにつながると讃えた。また、10月には「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力」をテーマに第30回JA全国大会を開き大会決議を採択する。「決議の先は、実践。その実践に受賞者の取り組みは大きなヒントとなる」と述べた。
JA全農 倉重徳也常務
JA全農の倉重徳也常務は「受賞者の取り組みは心強い」と話し経済事業部門受賞者の産地確立へのリーダーシップ発揮や、先進的な新規就農支援などの実績を紹介したうえで「今後も生産者が安心して営農に取り組めるよう支援していきたい」などと述べた。
JA共済連 近藤修一常務
JA共済連の近藤修一常務は農業と地域社会への貢献の礎を築いた受賞者の讃えるともに、共済事業受賞者の「一人一人に寄り添って安心と満足を提供する」という実績を今後の共済事業に反映させていきたいと述べた。
農林中央金庫 北林太郎常務
農林中央金庫の北林太郎常務はリーダーとして組織や地域に「多大な力を与えた」と受賞者を讃え、信用事業受賞者による「支店力強化プログラム」や組合員に対する「暮らしの相談会」など現場の先進的な取り組みを紹介した。
JA全厚連 歸山好尚理事長
JA全厚連の歸山好尚理事長は地域医療体制の確立に長年取り組んできた厚生事業部門の受賞者を讃えるとともに、全厚連として能登半島被災地には医療チームが発災後直ちに入るなど被災地を支援をしており「今後の農山村地域の医療に尽力したい」と述べた。
受賞者の体験発表と国際ジャーナリストの堤未果氏による特別講演の後、記念パーティが開かれた。
JA全中 馬場利彦専務
来賓としてJA全中の馬場利彦専務があいさつ。基本法改正に触れ「コスト上昇のなか適正な価格形成ができていないという状況を何とか打破したいと基本法のなかに、持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されなければならない、という文言を入れさせた。多様な農業人材の位置づけをしっかりと入れ込むことにも取り組んだ」などと話し、そのほかJAなどの自主的な取り組みを行政が支援しなければならないことも明記されたとし、「受賞者の実績はまさに自主的な尽力の賜物」と讃えた。
JA全農 八木岡努副会長
乾杯はJA全農の八木岡努副会長が音頭をとり「今年は30回目のJA大会の年。みなさんとともに個性豊かに活動しあてにされる農協づくりをともにしていこう」とあいさつ。参加者は受賞者を讃え、交流を深めた。
当日は秋田県・山形県の豪雨被害に対する募金を参加者から募り、パーティ終了時までに5万7016円が寄せられた。後日、大きな水害被害が出たJA秋田しんせいに贈呈する。
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