JA全農長期ビジョンを策定 2030年取扱高6兆円目標 25年度米集荷量 生産量の30%めざす2025年3月13日
JA全農は3月12日、これまでの中期計画に代わる長期的な目標として「JA全農事業ビジョン2030」を策定することを明らかにした。2025年度事業計画とともに3月25日の臨時総代会で正式に決める。
事業をとりまく情勢が刻々と変化するなか、3年を単位としたこれまでの中期計画ではなく長期的な目標として「JA全農事業ビジョン2030」を掲げる。
全農はグループとして、生産資材を安定的に調達し生産現場へ供給する機能、生産性向上に寄与する商品、技術の開発と生産現場へ普及する機能など「つくる力」、農畜産物を集荷、保管、加工、出荷する機能など「とどける力」、他企業と連携し農畜産物の付加価値を高め新たな食の魅力を提供する機能など「つながる力」の3つの力をこれまでに培ってきたとしている。
ビジョンではこれまでも掲げてきた「持続可能な農業と食の提供のためになくてはならない全農であり続ける」をめざす姿を普遍的な目標として継続し、その実現に向けて培ってきた3つの力を最大化する。
めざす姿の実現に向けた全体戦略は今年度までの中期計画で取り組んできた6つの全体戦略を継続し深堀りする。
(1)「生産振興」では
農業者の減少と大規模生産者の増加、気候変動による農畜産物への負の影響など、一層厳しくなるとして生産性向上や気候変動に対応する技術・品種を開発、普及、産地の生産力を高める取り組みを進める。
(2)食農バリューチェーンの構築では、老朽化する集出荷施設や輸送体制の整備など急務となっていることから、グループ会社と連携し流通の各段階で必要となる施設への投資、実需者ニーズを満たす商品開発と販売提案を行う、
(3)海外事業展開では、海外資源の安定調達に向けて、世界の協同組合との連携に加え、外部出資、事業再編などを行う。輸出は国内での生産から輸出先での販売まで一環した戦略を構築する。
(4)地域・くらしの維持と活性化では、2030年には国内人口の減少と高齢化が今以上に進行するため、グループを挙げて生活・エネルギーインフラやサービス機能を充実させてライフラインの維持と地域の活性化をはかる。
(5)環境および社会的課題への対応は、自らの事業における脱炭素化、耕畜連携、地域事情をふまえた段階的な環境へ配慮した農業生産や適正な価格形成の実現に向けた施策を進める。
(6)JA・全農グループにおける最適な事業体制の構築では、多くのJAで職員数の減少や施設の老朽化などで対応力不足が懸念されていることから、JAの業務効率化支援に取り組むとともに、自らの経営基盤の強化に向けてグループ経営の充実を図る。
ビジョンでは会全体の財務目標を掲げ、2030年に取扱高6兆円(2023年度実績4兆9000億円)を達成することと、会員への配当(出資配当と事業利用配当)80億円以上を継続できる財務体質の実現をめざす。
単年度の事業計画はビジョンをふまえて毎年度ごとに作成する。
2025年度の事業計画で米米穀事業では、25年産主食用米集荷数量227万t(生産量の30%)以上への回復に向け、新たな契約栽培取引の導入、概算金の早期提示や迅速な追加払いなど既存の価格決定ルールの見直し、JAと連合会の役割分担を明確化した生産者推進に取り組むこととしている。
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