JAの活動:しまね協同のつばさ
【レポート】しまね協同のつばさ[3] カンボジアで人々と触れ合う2013年3月27日
ベトナムでの視察を終え、3月5日夜、空路・カンボジアへ入る。小学生と交流し、世界遺産であるアンコールワットやアンコールトムでカンボジアの歴史と優れた文化に親しんだ。
子どもたちと交流し、
アンコールワットに感激
◆カンボジアの小学生とドッジボールで交流
3月5日、ベトナム農業研究所とヴァンニン農協を視察後、ハノイ空港に移動して、空路カンボジアのシェムリアップへ、到着後シェムリアップのレストランで夕食、23時過ぎにホテルに入った。
翌3月6日は、朝食後に、アンコール遺跡(バイヨン寺院)修復現場を見学し、修復に携わっている日本人女性の案内で実際の修復作業を視察。その後、アンコール・トムを見学した。ハノイでは最高気温20度前後だったが、ハノイよりはるかに南に位置していることもあって、ここは日本の真夏と同じ34?35度という猛暑だった。
午後は、郊外のバンテアイスレイ村の小学校を訪問し、2年生の算数の授業参観をしたあと、子どもたちにプレゼント(ノートとボールペン)を贈呈、校庭でドッジボールを教え交流した。
この学校は、幼稚園(1年間)から小学校、中学校が同じ敷地にあり、約670名(15クラス)の生徒が通学しているという。 学校長の話によるとこの地域の「ほぼ95%の子どもが就学」しており「学校に来ている子の100人くらいは貧しい家庭の子ども」だという。
寄付があれば校長は貧しい子のために制服(上着は白、ズボンまたはスカートは紺と色は決まっているが自費で購入)を購入して与えているという。紹介してもらった子の制服は着替えがないのでその制服を家に帰ってそのまま着ているので、他の子どもよりかなり汚れていた。
また遠い子どもは片道3kmを通ってくるので、自転車の寄付があるとそうした子に与えることにしているが、1台の自転車を2人で共有して使っているという。校庭の隅にそうした自転車が置かれていたが、ブレーキのないものもかなりあったが、それでもここの子どもたちにとっては貴重品だといえる。
(写真)
上:世界遺産のアンコールワット
下:カンボジアの小学校で授業参観
◆水稲中心のカンボジア農業
子どもたちの両親の仕事はほとんどが農業だという。現在は乾季のため水田は乾き、よくみないと水田とは思えない状況にあった。
ベトナムの南部と同じような緯度だと思うが、5?6月の雨季になって田植えをし、11月ころ収穫する年1作だという。
カンボジアの東部には国際河川である大河メコンが流れ、今回訪れたシェムリアップの南には、雨期にはメコンが増水して逆流して面積が10倍近く大きくなるというトンレサップ湖がある。そして、トンレサップ湖には水上生活する人たちの集落が数多くあるとも聞いた。
こうした豊かな水資源があり、気候的に南部ベトナムと同じような緯度にあるにもかかわらず、農業の中心である水稲の作付は「1回の地域と2回の地域がある」(駐日カンボジア大使館)。
そして、2009年のデータだが、水稲の栽培面積は272万haほどだが、乾期に作付けされるのは年間栽培面積(272万ha)のうち14%の38万haだという((独)新エネルギー・産業技術総合開発機構「カンボジア王国農村地域におけるバイオマス(籾殻など)のエネルギー利用になどに関する基礎的調査」平成23年度成果報告書)。
バンテアイスレイ村周辺も灌漑などのインフラ整備がされていないので、雨期である5?7月に田植えをして、11月ごろに収穫する年1回の稲作地域なのだ。
(写真)
バンテアイスレイ村周辺の乾ききった水田
◆国境を超えて隣国へ流通する米や胡椒
そして校長の話によると、「できるだけ品質の良い米を作り、収穫された米は籾のまま商人に売る」のだという。そして自分たちが食べる米は「市場で安い米を買う」。商人が買った米は「ベトナムやタイに行き、ベトナム米やタイ米となって、それぞれの国から輸出されている」という。
ホーチミン(ベトナム)・プノンペン(カンボジア)・バンコク(タイ)は、国は違っても同じインドシナ半島南部に位置し、陸続きだ。カンボジア政府の正式統計では米の輸出量は10万トン強(2010年)だが、実際には100万トン以上の米が非正規ルートでベトナムやタイに輸出されていることは間違いない。米だけではない。1970年代からの内戦で生産が途切れてしまった「世界有数の品質を誇っていた胡椒」も現在は生産が再開されているが、これも非正規ルートで隣国のタイに流れているといわれている。
カンボジア政府は、品質を高めたカンボジア産米を2015年には最低100万トン輸出することを目標にしている(前掲「報告書」)というが、それは非正規ルート流通米を正規ルートで海外に流通させることを意味しているともいえる。
◆アンコールワットに感動
6日はホテル帰着後、白石正彦東京農大名誉教授が「JA農青連活動のミッションとJA運動のビジョン―島根青年農業者の農業経営の拡充を基軸として」と題して講演。翌7日は朝食後、JA全中の青年農業者対策室の永尾元樹氏が「JA青年部の役割」について簡潔に講演、家の光協会の村上吉孝中国四国普及文化局長が「『家の光』誌の発行と、その取組み」と題して講演。その後、本紙の同行記者が、取材経験をもとに「元気な農業者と農協」について報告した。
その後、市内の市場などに各班に分かれそれぞれ別のテーマをもって視察した。
記者は市内の「オールドマーケット」へ行ってみたが、野菜や果物そして豚肉などの食材が豊富にあることに驚いた。米の量り売りをする店もあり、のぞいてみると、もち米が1kg5000カンボジアリエル(120円くらい)、通常のインディカ米が1kg3500リエル(84円程度)から3000リエル(72円程度)で売られていた。他の店や地域での価格が分からないのでこれがカンボジアでの平均的な米価なのかどうかはわからない(ちなみに前回紹介したハノイでの米もすべてインディカ米)。
昼食後、世界遺産であるアンコールワット遺跡を観光したが、そのスケールの大きさと壁面に彫られたレリーフの高い芸術性に全員が心うたれた。
アンコールワットをみた後、ハノイへ空路移動し、8日の深夜便で出雲への帰国となった。
以上、駆け足で研修の旅を振り返ったが、この旅が若い参加者にどのような影響を与えたのか。4月にはそれぞれが感想文をよせ、報告集ができるのでそれを待たねばならないが、楽しく有意義な研修旅行だったことは間違いないだろう。
(写真)
シェムリアップのオールドマーケットで
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