JAの活動:活力ある職場づくりをめざして
【活力ある職場づくりをめざして】「人が育つ経営」へ JA全中・村上光雄副会長に聞く2013年6月21日
・切れ目なく取り組む
・変わる組合員の要望
・支店中心の運営のために
・自ら考えるJA職員に
JAグループは第26回JA全国大会決議をふまえ、昨年末に「『次代へつなぐ協同』を担うJA人づくり」全国運動方針(JAグループ人づくりビジョン)を策定した。今年度はこの運動の初年度にあたることから、人づくり運動をテーマに「JA地域の生命線?活力ある職場づくりをめざして」と題してシリーズを掲載していく。第1回はJA人づくり推進委員長の村上光雄JA全中副会長に、この方針の柱である「人が育つ経営」への転換などについて聞いた。
「JAグループ人づくりビジョン」がめざすこと
◆切れ目なく取り組む
――改めて「人づくり」とはどういうものか、お話しください。
人づくりには、これで完成というものはない、ということです。やはり絶えず取り組まなくてはならない。
反省を込めていえば私も職員というものはだんだんと向上してくるものだろうと思っていました。自然にレベルが上がっていくものだ、と。しかし、そうではありません。
なぜかといえば、毎年新しい職員が入ってきて、毎年、何人かは辞めていく。その新しい職員に対して教育を絶えず積み上げていかないと、人づくりは蓄積どころか退化してしまう。とにかく継続して切れ目なく続けていくことが第一です。
◆変わる組合員の要望
――では、今なぜJAに人づくりの取り組みが求められているのでしょうか。
われわれにとってなぜ人づくりが必要になるのかといえば、JAの組織基盤が大きく変わってきたからです。正組合員が減って准組合員が増えているなかで、組合員の要望、地域の要望というものが非常に多様になってきた。たとえば、昔は農業のことを、それも米のことを知っていればいいという時代もありました。しかし、もうそれだけでは通用しない。農業のことであっても広く作物について知っていなければならないし、さらに組合員の要望が高度化している。それらにきちんと対応できる職員が育ってこないとJAとしても事業展開が難しいし、組織そのものについて理解をしてもらうことも困難になってきかねません。
このように多様化した組合員に対してJAらしい仕事をやっていくための職員教育にとりくまなければならない。そうした人づくりを通じてJAも変わっていかざるを得ないという状況にあるということです。
◆支店中心の運営のために
とくに第26回JA全国大会決議では、今後は支店を中心とした活動を展開していく、としており、その実現のためには職員1人ひとりが地域での協同活動をひっぱっていく、あるいはそれをコーディネートしていく役割を果たしていくことが求められます。そこをきちんと理解してもらわなければなりません。その理解がなければ「次代へつなぐ協同」という大会決議も成果をあげることもできないし、JAが前に進んでいくことができないと考えています。
それから、JAグループの問題として若い職員の離職率がかなり高いということがあります。ということは、JAグループの職場に魅力がないと思われていることでもあります。それは同時にJAとしても、これまでのその職員に対する教育が全部無駄になってしまうわけですから、損失になる。やはり職員が誇りを持って仕事ができるような職場にしていかなければならないということです。これを改めて考え直さざるを得ない時点にわれわれは来ているということです。
◆自ら考えるJA職員に
――どのような職員像、職場をイメージして取り組みを進めるべきですか。
今回の運動方針にも掲げられていることですが、これから育ってもらいたい職員のイメージとは、やはり自ら考えて行動できる職員であり、さらには、そうした職場風土になってほしいということです。
上からの指示がなければ仕事ができないようなことではとても臨機応変な対応、現場にあった取り組みはできないということになります。つまり、支店を中心とした取り組みとは、それぞれの支店の特色が違うことをふまえるべきだということです。支店には必ず個性がある。それに対して、たとえば支店の管理運営規定など型にはまったものを押しつけるだけではだめなのです。それぞれの支店長、さらには窓口対応する職員も、自ら考えて組合員、地域に対応していくことができるような職場風土が求められているのです。
さらにいえばそうならないと組合員に満足してもらえる本当のJAにはならないということです。 それに向けてどのような取り組みをしていくかですが、今回は県段階でも取り組みもすることにしています。ただし、重要なことはそれぞれのJAで独自の人づくりビジョンをつくってほしい、ということです。
――そのビジョンを「人が育つ経営」の観点から考えるということですね。
「人が育つ経営」とはこの運動方針のスローガンでもあります。その意味は、それぞれの職員が生き生きと活動するなかで、職員が人間としても育っていく姿だと考えています。
職員の育成にはJAの幹部職員だけでなく、やはり組合員にも担ってもらう、教育してもらうことが必要です。毎日の組合員とのつながりのなかで仕事をしていくことも教育訓練の場です。私は「組合員のみなさんもしっかりと教育してください。職員が育つ育たないは組合員さん次第です」といつも言っています。 これこそがJAらしい教育のあり方だと思っています。とくに職員には協同組合運動を理解している人間になってもらわなければいけない。
口では協同組合といいながら、仕事はてんでばらばらで助け合いもできないような職場であってはいけない。また、利己的な人間になってもいけません。やはり協同組合の仕事をさせてもらっているという職場にふさわしい人間に育ってもらわなければいけない。そうした意味でも人が育つ経営にならなければいけないということだと思います。
――JAトップ層に期待することは?
今回の運動方針の大きな特徴のひとつは、トップ層の役割の重要性を位置づけたことです。
組合長をはじめとしたトップ層が「人が育つ経営」ということを考えてもらうことが重要です。そうでなければさまざまな変化に対応できる人間は育たないということです。そこでトップ層に対して意識改革を訴える意味で「人が育つ経営」への転換を打ち出しているわけです。
まずはトップ層がめざすJA像を自分の言葉で語ることが大事です。そこが職員が誇りを持って仕事ができるJAの出発点です。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】タケノコ園でキモンホソバノメイガの被害 府内で初めて確認 京都府2025年10月14日
-
なめらかな食感と上品な甘み 鳥取県産柿「輝太郎フェア」15日から開催 JA全農2025年10月14日
-
インドで戦う卓球日本代表選手を「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年10月14日
-
松阪牛など「三重の味自慢」約80商品 お得に販売中 JAタウン2025年10月14日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鹿児島県で「マロンゴールド」を収穫 JAタウン2025年10月14日
-
「令和7年産 新米PR用POPデータ」無料配布を開始 アサヒパック2025年10月14日
-
「Rice or Die」賛同企業の第2弾を公開 お米消費拡大に向けた連携広がる アサヒパック2025年10月14日
-
腸内細菌由来ポリアミンの作用研究 免疫視点から評価「食品免疫産業賞」受賞 協同乳業2025年10月14日
-
鳥インフル 米国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル デンマークからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2025年10月14日
-
亀田製菓とコラボ「ポテトチップス ハッピーターン味」期間限定で新発売 カルビー2025年10月14日
-
「惣菜管理士」資格取得へ 3390人が受講開始 日本惣菜協会2025年10月14日
-
シンとんぼ(163)-食料・農業・農村基本計画(5)-2025年10月11日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(80)【防除学習帖】第319回2025年10月11日
-
農薬の正しい使い方(53)【今さら聞けない営農情報】第319回2025年10月11日
-
25年産米 予想収穫量747万7000t 前年より68万5000t増2025年10月10日
-
食料自給率 4年連続38%で足踏み 主食用米消費増も小麦生産減 24年度2025年10月10日
-
【特殊報】トマト立枯病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日