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【2030年度北海道新酪肉近】「需給均衡拡大路線」を選択、カギ握る消費拡大2025年12月4日

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2030年度目標の新たな「北海道酪農・肉用牛生産近代化計画」(道酪肉近)の具体的数字が固まった。焦点の生乳生産は445万トンの増産計画で、今春国が示した酪肉近北海道見通しの「上限」に据えた。課題は、着実な需要確保と個体乳量による増産とを“両輪“としてどう進めるかだ。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

2030年度445万トンの達成には首都圏をはじめ大消費地での「北海道産牛乳・乳製品」の着実な需要拡大が不可欠となる(首都圏のスーパーで)

2030年度445万トンの達成には首都圏をはじめ大消費地での「北海道産牛乳・乳製品」の着実な需要拡大が不可欠となる(首都圏のスーパーで)

■基本方向「二度と減産繰り返さない」

道が示した次期北海道酪肉近素案で、問題意識とキーワードが集約されているのは「生産抑制」という言葉だ。

基本方向で「酪農の生産基盤を著しく損なう生産抑制を二度と繰り返すことなく、全国に牛乳乳製品を安定的に供給するためには、需要の創出に取り組むとともに、生産基盤を維持、強化することが不可欠」と明記して、減産をしないことを強調。そのうえで、「445万トン」という増産計画を示した。

北海道農業・農村振興審議会畜産部会では素案を受けて「445万トン」の増産計画を前向きに評価する委員の声が大半だ。特に都府県で生産基盤弱体化が加速する中で、需要があるのに供給が追い付かないチャンスロス回避から「国産需要を逃さずに必要な生産を維持するためには445万トン目標は重要だ」との指摘だ。

基本方向で「生産抑制を二度と繰り返さない」を受け、「増産の生産数値目標は酪農が新規就農を促す成長産業であることを示す」との意見も重要だ。長年にわたり生産抑制を続け、産地衰退を招いた稲作農業への反省も込められているかもしれない。

■初の減頭下での445万トン増産計画

今春の国の酪肉近をベースに、北海道版酪肉近論議が具体化している。北海道が示した素案で主な具体的指標が明らかになった。

◇2030年度の北海道酪農指標(2023年度対比)
・生乳生産量 417万トン→445万トン
・乳牛飼養戸数5170→4500
・総頭数   82万2000→78万
・経産牛頭数 46万8000→45万9000
・酪農家一戸頭数159→173
・1頭年間搾乳量8901キロ→9700キロ

最大の焦点だった2030年度生乳生産目標は「445万トン」と、生産意欲を踏まえた。問題は中身だ。基本指標を見ると、これで果たして達成できるのかとの指摘もある。初めて、乳牛の総頭数、実際に生乳生産する搾乳牛頭数とも現状(2023年度)からマイナスになっている。つまりは、これまで北海道が一貫して続けてきた増頭する中で生産を拡大するのではなく、減頭下の増産という難題に応じるということだ。

■4000戸割れの恐れも

もっとも危惧されているのは離農ペースが一向に減速しないことだ。素案では2030年度に4500戸とされているが、4000戸の大台割れは避けられないとの指摘も出ている。

「445万トン」実現のカギを握るのは1頭当たりの年間搾乳量の大幅アップ。乳牛改良、飼養管理などが強調される。2030年度には全道レベルで年間乳量1万キロの大台に迫る9700キロを実現するのは、酪農家個人の格差を解消し地域全体での底上げ、しかも乳脂肪、固形分など高い乳質も並行した質量向上が実現できるのか。

■「需要あっての生産」

今回の次期道酪肉近は一言で表すと「需要創造型拡大路線」だろう。逆に言えば「着実な需要が担保された上での増産」ということだ。

道農審畜産部会で、道農政部の鈴木賢一部長は「445万トン」の生産目標を「生処販、さらには行政も一体となった道産牛乳乳製品の消費拡大の取り組みがあって初めて達成できる目標だ」と念を押した。市場開放に伴いハード系チーズの関税割り当て削減なども踏まえ、今後は国産競争力を持つソフト系チーズの拡大や脱粉需要に結び付くヨーグルトの健康志向を訴える取り組みを強調。「需要を前提とした増産」を繰り返した形だ。

■難題は系統外と改正畜安法

冒頭の次期道酪肉近の基本方向で「酪農の生産基盤を著しく損なう生産抑制を二度と繰り返さない」との文言を挙げた。増産メッセージで酪農家への将来展望を示すのが第一の狙いだが、隠された別の意味合いもある。ホクレンに出荷しない系統外を増長させる改正畜安法の扱いだ。

コロナ禍の生産抑制は、指定団体ホクレン傘下の酪農家で行われた。生乳シェア全国の約6割を占める北海道が自ら「減産」という血を流し需給正常化を図る強い意志からだ。結果、脱粉在庫削減につながり再び増産へと転じた。だが、改正畜安法下の生乳流通自由化で、系統、系統外双方への「二股出荷」増加、あるいは増産が担保される系統外、自主流通グループへの出荷先切り替えが、大規模酪農家を中心に散見されたのも事実だ。生産抑制に参加する酪農家と不参加の「生産者間の不公平感」が生産現場で混乱と不協和音を招いた。

酪農の経営安定には需給調整がセットとしたセーフティーネットの仕組みが欠かせない。次期道酪肉近「445万トン」実現には、系統外も含め全参加型の需給調整を着実に行う改正畜安法の抜本見直しが避けられない。

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