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農薬:防除学習帖

みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(100)ニコチン性アセチルコリン受容体競合的モジュレーター(2)【防除学習帖】第339回2026年3月7日

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 令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上でKPIをクリアできる方法を探っており、そのことを実現するのにはIPM防除の活用が重要だ。そこで、防除学習帖では、IPM防除資材・技術をどのように活用すれば防除効果を落とさずに化学農薬のリスク換算量を減らすことができるのか探りたいと考えている。

 IPM防除では、みどり戦略対策に限らず化学的防除法以外の防除法を偏りなく組み合わせ、必要な場面では化学的防除を使用して防除効果の最大化を狙うのが基本だ。その際、農薬のリスク換算量を減らせる有効成分や使用方法を選択できればみどり戦略対策にもなるので、本稿では現在、農薬の有効成分ごとにその作用点、特性、リスク係数、防除できる病害虫草等を整理し、より効率良く防除できてリスク換算量を減らすことができる道がないかを探っている。そのため、登録農薬の有効成分ごとに、その作用機構を分類し、RACコードの順番に整理を試みている。

 現在JIRACの分類表(2023年9月版)にもとづいて整理し紹介している。整理の都合上、JIRACコード表と項目の並びや内容の表記方法が若干異なることをご容赦願いたい。

4.ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)競合的モジュレーター

(1)主要作用機構:ニコチン性アセチルコリン受容体の競合
 この主要作用機構グループには現在のところ、前回紹介したネオニコチノイド系[4A]に加え、ニコチン[4B]、スルホキシイミン系[4C]、ブテノライド系[4D]、メソイオン系[4E]、ピリジリデン系[4F]の計6つのサブグループがあり、このうちニコチンを除いた5つのサブグループに農薬登録を有する有効成分がある。前回からこの5つのサブグループ順に紹介しており、今回はスルホキシイミン系[4C]を紹介する。
(2)作用分類:神経作用
(3)サブグループ名:スルホキシイミン系/IRACコード[4C]
(4)有効成分名[農薬名]:
スルホキシイミン系に属する有効成分は1成分があり、その有効成分名[農薬商品名]は次のとおり。
    ①スルホキサフロル[エクシード、トランスフォーム]
(5)スルホキシイミン系の作用機構と特徴
  害虫が行動を起こす時、神経細胞が信号を受け取り、それに対する行動を起こすべく、隣接細胞へと新たな信号を発信するという情報処理が行なわれている。この時重要な役割を果たすのがアセチルコリンであり、これが神経のシナプス後膜にあるアセチルコリン受容体に伝わることによって神経興奮が伝達される。本サブグループは、アセチルコリン受容体に結合して、アセチルコリンによる神経伝達(興奮)を過剰にし、害虫を麻痺させ死に至らせる。同じアセチルコリン受容体でもネオニコチノイド系とは異なる部位に作用するため、ネオニコチノイド系殺虫剤に抵抗性を示す害虫にも効果を示す。アブラムシ類やコナジラミ類などのヨコバイ目、カメムシ類のカメムシ目害虫に特異的な効果を示す。
(6)リスク換算係数とリスク換算量削減の考え方:
スルホキシイミン系殺虫剤の各有効成分のリスク係数と基準年のリスク換算量およびリスク換算総量を次表に示した。
これによると、スルホキシイミン系殺虫剤のリスク換算量の合計は1.7トンと基準年のリスク換算総量に対し0.01%と少なく、重要害虫に高い効果を示す貴重な優れた殺虫剤であるため、継続して使用する方が得策と考えられる。

スルホキシイミン系殺虫剤のリスク係数とリスク換算量

(7)スルホキシイミン系の農薬登録がある主要作物・害虫一覧
     適用作物・害虫別スルホキシイミン系登録有効成分の一覧を次表に示した。この表は殺虫剤選定の参考とし、農薬の実際の使用にあたっては、適用作物等の適用内容を製品のラベルでよく確認して使用してほしい。

対象作物・害虫別スルホキシイミン系有効成分一覧(1)

対象作物・害虫別スルホキシイミン系有効成分一覧(2)

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