JAの活動:時の人話題の組織
【時の人 話題の組織】比嘉 政浩・JA全中専務理事 JA評価アップへ 危機感持って着実に実践2015年9月16日
・組合員の願い実現地域への貢献も
・准組合員も参画し地域のJAを構築
・「ボトムアップ」の組織運営を具体化
奥野会長のもとにJA全中の新体制がスタート。新専務には比嘉政浩氏が就任した。第27回JA全国大会を前に抱負など聞いた。
--最初に専務就任にあたっての抱負をお聞かせください。
農協法が改正され、JAグループに大きな変化がともなうことになり、全中自身も法人格の変更や監査機構の外出しなど、機能再編という大きな節目を迎えています。この大事なときに重責を担うことになったわけですが、全力を尽くしたいという思いです。
とくに奥野会長は、われわれの組織運営はトップダウンではなくボトムアップであること、現場主義であることを重視しています。そして、協同組合として生きていくということをいっておられます。これは自分としてもこれまで大事にしてきたことですから、事務方として会長の思いを具体化しなればいけないという気持ちです。
◆組合員の願い実現地域への貢献も
--第27回JA全国大会の位置づけはどう考えるべきでしょうか。
今回の大会は「農業者の所得増大」と「農業生産の拡大」、「地域の活性化」の3つが基本目標です。組合員のニーズや願いを実現して、その延長で地域にも貢献することが、協同組合の使命です。JA組合員のいちばんの願いは農業で暮らしを立てていきたいということですから、大会決議として農業者の所得増大をいちばん重視し、これを実践していこうというのは、ごく当然の課題設定ともいえると思います。
あわせて改正農協法は、准組合員の利用規制のあり方について5年間調査を行い、その後に検討を加えて結論を得る、とされています。したがって、今でも高い評価を得ているJAは日本にいくつもありますが、5年の調査後に検討を加え結論を得るまでにはさらに組合員のみなさん方から「JAはよくやっている、JAグループは本当にがんばっている」という評価を受けている必要があると思っています。このような期限設定があることを強く意識して取り組むべきだということです。
同時に全中自身も会員のみなさんに「よくやっている」と評価をいただける存在になることも課題です。これらを実践していくための具体策が整理されているのが大会決議だということです。
--改正農協法が施行されるまでの当面の対応は何が重要になりますか。
国会審議では現場の懸念に応えようと審議していただき、それを付帯決議としてまとめていただいたことに、率直に感謝したいと思っています。
政省令の制定はこれからですが、とりわけJAの役員構成については省令に大きく委ねられた法の規定になっていますから、全中としてはしっかりと折衝していきたいと考えています。
また、農業者所得の増大といっても、民間団体であるJAグループががんばれば何とかなるというわけではなく、やはり政策がなくては実現できません。このことは農協法改正案の国会審議を通じて農水省も適切な農業政策が必要だと認めており、そうした農業政策の実現も求めていきます。そのことを前提に、JAグループが努力をして組合員の方々に評価される実践をしていくことが重要です。
◆准組合員も参画し地域のJAを構築
--准組合員問題は非常に重要な問題です。この問題への対応も含めて改めてこれからのJAづくりに望まれることは何でしょうか。
われわれは一貫して准組合員の利用規制など必要ないという立場に立っています。この5年間の調査・検討で利用規制が必要だとされたら、JAグループのあり方そのものを大きく変えるようなことになりかねない。つまり、農協法改正で5年の調査後に結論を得るという条文が入ったということは、法律が成立した以上、危機感を持ってそれが現実だと認識する必要があります。
では、どのような環境下で5年後の議論を迎えるべきかと言われたら、それは先ほどから強調しているように、多くの組合員のみなさんから「うちの地域のJAは本当によくやっている。なぜJAをつぶすような議論をするんだ、JAの力を弱めるような議論をすることはおかしい」という声が上がる環境でなければならないと思います。
今回求められていることはわれわれもこれまでも強く意識し自らやろうとしてきたJAの本来の役割発揮ですから、それはがんばろうという気持ちです。
事業利用をきっかけに准組合員になった方々にも、JAは協同組合として人と人がつながることによって地域の課題を解決していくための組織なんだ、ということをさまざまな体験を通じて理解していただく努力が求められると思います。最初のきっかけは事業利用だったかもしれないが、JAへの参加・参画につながっていく。これを大会議案のなかではアクティブ・メンバーシップと言っています。そういう方を一人でも多く増やしていかなければいけない。准組合員の方からもJAがなくては困る、事業利用制限などされたら困るという声があがってくるような状況でなければいけないと思います。
◆「ボトムアップ」の組織運営を具体化
--改革を実践していくためにJAトップ層からは今こそ、組織がまとまるための代表機能や事業に横糸を紡ぐ調整機能を持つ全中という組織が必要だとの声が強まっていると感じます。新しい全中づくりにはどう取り組みますか。
奥野会長の指示で、JAの組合長のみなさんから直接、全中の正副会長、常勤役員がご意見をうかがう機会をつくろうということになりました。奥野会長の「ボトムアップ」の考え方を具体化するということです。
ボトムアップの組織運営にしても、横糸を紡ぐ機能にしても、JAグループ全体から求められていることです。それをかたちにしていくことによって全中はこれからも大事だという評価につなげていかなければならないと思っています。
比嘉 政浩(ひが・まさひろ)
昭和36年3月生まれ。京大農学部卒。昭和58年全国農業協同組合中央会入会、平成20年教育部長、23年総務企画部長、26年JC総研理事、27年同常務理事。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日