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JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー

【覚醒】常に改革・新基軸を2017年1月27日

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K・F

 第2次安倍政権が発足してから4年、掲げた政策はアベノミクス、つまりデフレ経済からの脱却でした。結果は相次ぐ金融緩和政策にもかかわらず、物価は上がらず経済は成長しませんでした。多くの人は、アベノミクスはすでに破たんしていると見ています。
 かつて、ウイーン出身の歴史経済学者のカール・ポランニーは、人間社会は互酬・交換(市場)・再配分の三つの経済活動の分野によって支えられており、長い人類の歴史のうち僅か200年余りでしかない資本主義社会で、「交換」という市場経済の分野が異常に膨張し続けており、これはとても正常な人間社会の在り方とは言えないとして変革を訴えました。互酬とは「お互い様」の経済であり、交換とは市場での競争原理に基づく経済であり、再配分とは主に政府組織による税を使った富の再配分を意味しています。
 アベノミクスはこの人間が持つ三つの経済活動分野のうち、競争原理に基づく市場経済の分野を異常に重視した政策であり、ポランニーがいう歴史経済学の知見の無理解に基づくもので、失敗は最初から予測できたものでした。三つの経済分野は実のところ、人間が持つ助けあい・競争・自己保全という人間の本性(Human Nature)に基づくものです。
 世の中の組織は株式会社、協同組合、行政機構の三大組織に集約されますが、およそあらゆる組織は人間の欲望をかなえるためにつくられていると考えれば、株式会社は「競争」、協同組合は「助けあい」、行政機構は「自己保全」という人間の本性に基づくものでつくられていると言っていいでしょう(逆に言えば、この三つの組織が存在するということは人間の本性が競争・助けあい・自己保全の三つであると説明できます)。
 つまるところ、ポランニーの歴史経済学は、現存する株式会社、協同組合、行政機構という人間が持つ三大組織の存在と符合するものでもあります。政府が進める競争重視の政策は、農水省が進める農協改革と全く軌を一にするものです。いま農協改革を進める旗頭である農水省の奥原事務次官は、画期的とも言えるJAバンク法の創設者でもありますが、バンク法制定と同時に行われた農協法改正にあたって、「JAグループは農業者の相互扶助組織であるが、1947年の農協法の制定から50年以上が経過する中で、組合員のための組織というより、組織のための組織としての色彩を強め、制度疲労が目立つようになってきている」として協同組合の解体ともいうべき農協改革を進める決意を述べていました。
 今回の農協改革もそうした考えの延長線上にあり、法改正も基本的考えとして協同組合の否定が貫かれています。農業振興のためには、協同組合組織は有効な組織ではなく競争原理に基づく会社組織が望ましいというわけです。ですが、前述のように協同組合は人間の本性に基づく必然的な組織という認識に立てば、農業政策に限らず、経済社会の健全な発展のためには営利セクター、非営利セクター、公的セクターのバランスのとれた役割発揮という認識こそが重要です。

◆   ◇

 一方、いずれの組織といえども、変革の努力を怠れば生き残っていくことはできず、協同組合組織たるJAも現状に甘んじているわけにはいきません。この点、現在JAグループが進めている自己改革路線には大いなる疑問符がつけられます。政府が進めるJA解体の自己改革路線に対峙するJAの自己改革路線は全く従来路線を踏襲したものであるからです。
 われわれは何も悪いことはしていない、悪いのは政府・自民党だという姿勢では何も解決することはできず、むしろ自らの組織を崩壊に導きます。例えばそれは、准組合員対策に最も端的に表れています。JAグループは、准組合員についてJAのパートナーという従来路線の位置づけを変えておらず、いずれ大きな問題になる准組合員の事業利用規制への対抗軸を示せないでおり、まさに座して死を待つ状態にあります。
 准組合員は正組合員と同じだ、両者を区別することなくJA活動をすべきだという姿勢は、それはそれで評価すべきと思いますが、一方で准組合員問題を曖昧にすることにつながります。その意味で准組合員の問題は正組合員の問題だという意識の転換こそが求められています。正組合員にとって准組合員は必要不可欠な存在であり、農業振興・農業所得増大のために共に手を携えて進もうという姿勢を打ち出すことこそが重要でしょう。准組合員をパートナーと言いつつ、実のところでは准組合員を受け入れない正組合員の潜在意識があるとすれば、それを変えない限り解決策を見出すことは困難なように思われます。
 わが国最初の医療事業組合を創設した大庭政世は「利のために節をたがえず、事業を積極的に経営すべし、而して常に新機軸をだすべし」という言葉を残していますが、これは協同組合の組織・事業・経営の全般における協同組合としてのイノベーションの重要性を述べたものです。JAには、今こそ従来路線を超える抜本的な農業振興対策、准組合員対策などを考えていくことが求められています。

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