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シリーズ:今さら聞けない営農情報

2019.05.31 
【今さら聞けない営農情報】第6回 肥料価格の決まり方一覧へ

 “肥料”とはいうまでもなく農作物の栄養源であり、豊かな収穫を得るためには絶対に必要な生産資材です。その肥料の製品価格は、以前は価格の優等生と言われるくらい安定した価格で供給されていました。ところが、原油価格の高騰、人口増加による世界的な肥料需要の増加といった要因によって価格が上昇し、近年も上昇傾向が続いています。
 それではいったい、肥料の製品価格ってどのようにして決まるのでしょうか? 何故、海外の需要が多くなると価格があがるのでしょうか? ふと素朴な疑問をいだき調べてみました。

1.肥料の製品価格ってどんな風に決まるのか

 肥料は、ポリの袋に粒状体のものや粉状の内容物があり、だいたい20kg位の重量のものが多くみられます。この内容物に肥料として効く要素が入っており、これを田んぼや畑に撒くことで、作物が栄養として活用し、生育します。この肥料製品に含まれる要素がどのくらい入っているかは保証票と呼ばれるものに表示されており、その要素とは、作物の生育に必要な主要3要素である、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)を中心に、その他、苦土(Mg)や亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、珪酸(Si)などが代表的なものです。
 こういった肥料要素を含む原料(肥料原料)の価格が肥料製品価格の5割弱を占め、製造諸経費(工場を動かす経費・人件費・袋代など)が3割弱、物流費が約1割、残りが、研究開発・販売諸経費やメーカーの販売利益というのが一般的のようです。
 つまり、肥料価格は、肥料原料の価格によって大半が決まり、これに、製造諸経費や物流費が加算されることによって決まっていきます。ということは、これらの肥料製品価格を構成する要因が高くなれば、肥料価格も連動して高くなり、逆に低くなれば肥料価格は安くなります。

 

2.肥料原料の価格

 では、肥料原料の価格はどうやって決まるのでしょうか?
 実は、日本は肥料原料のほとんど全てを海外に依存しており、そのため、肥料原料のほとんどは、海外から買って来るしか方法が無いのです。加えて、肥料の主要原料である窒素、リン酸、カリは産出国に偏りがあり、日本は、遠くの国から、船を使って原料を購入するしかなく、肥料原料価格は、国際市況や船運賃の影響を受けながら、肥料原料の山元との交渉で決まっていきます。
 加えて、肥料原料は、中国、インド、ブラジル、米国の4か国で世界の肥料原料の約6割が買われているのに対し、日本の肥料需要量は世界のわずか1%弱にしか過ぎません。このため、日本が肥料原料を購入するためには、20倍、30倍の量を買う国に対抗しながら、原料の山元と苦しい交渉が強いられることになります。

 

3.製造諸経費と物流費

 肥料の製品を造るためには、工場のラインを動かす電力、乾燥させるための重油、原料を混ぜる製造機械、包装資材など全てにコストがかかります。この中でも、電力や重油は原油価格の変動に大きく左右され、特に乾燥工程に重油を消費する製品では影響が大きくなります。肥料の包装資材も、その多くが原油由来のポリ等を使用しており、原油価格に左右されます。
 また、製品が出来たあとの物流も、トラックの燃料代が原油価格の影響をもろに受けます。昨今の慢性的な人手不足に伴ってトラック人件費が高騰(安い賃金では運んでくれない)も無視できない水準になっています。

 このように、肥料価格の決まり方は複雑で、海外市況、原油価格、輸送コストなど様々な要因が複雑に絡み合って決まっていました。何もかもが上昇している時に肥料の価格を下げるのって、本当に難しいことなんだと痛感した次第であります。

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