JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第16回 抵抗性と耐性の違い2019年8月30日
農薬で防除をやっていると、「同じ農薬を何回も続けて撒くと抵抗性が出るから、違う種類の農薬を輪番で使わないとダメですよ!」とか「このA農薬はすでに耐性が出ているので、違う系統のB農薬を使って下さい」といった言葉をよく聞きませんか? 抵抗性と耐性とはどちらも農薬が効かないということを示す言葉なのに何が違うのでしょうか。
早速ググってみると、次のような解説がありました。
「薬剤抵抗性とは生物の集団に薬剤を使用することにより、抵抗性因子が淘汰により蓄積される現象のこと。薬剤耐性とも呼ばれる。薬剤耐性と薬剤抵抗性は同義であるが、ヒトや動物の感染症の原因になる微生物やガン細胞などの場合には、特に薬剤耐性と呼ばれることが多い」(ウィキペディア・薬剤抵抗性で検索)
なんと薬剤抵抗性も薬剤耐性も同義とあるではないですか...。そうであれば、分けることなくどちらかに統一すればよさそうなのに、農業の分野では、殺菌剤の場合は「薬剤耐性」、殺虫剤と除草剤は「薬剤抵抗性」が使われており、色々な農薬に関する文献でもそのように使い分けられています。
「ただの慣習かなにかで、学会とかの偉い人が最初に使ったのがそのまま使われているのか?」と思った時、ウィキペディアの後半の解説が気になりました。
そう、「ヒトや動物の感染症の原因になる微生物やガン細胞などの場合には、特に薬剤耐性と呼ばれることが多い」の部分です。
なるほど、殺菌剤は作物の病害、つまり作物に感染する感染症の原因である病原微生物に対して使われるものではないですか。なので、原因微生物に効かなくなる現象だから薬剤耐性と呼んでいるのではないでしょうか。 確かに、害虫は作物を喰いますが、感染しませんし、雑草に至っては作物から養分を横取りはしますけど、もちろん作物に感染したりはしません。なので、害虫や雑草の場合は、薬剤抵抗性と呼んだ方がしっくりとくるのではと勝手に納得してしまいました。念のためにどんなに調べてみても、明確な回答はみつかりませんでしたので、この仮説が正しいかどうかは定かではありません。
ちなみに、英語では虫草菌に「resistance」が使われており、農業における英文の世界では抵抗性も耐性も違いはありません。
余計なお話しですが、耐性を示す単語に「tolerance」というのがありますが、これは、持病などで最初はよく効いていたのが、体が慣れてきたらだんだん薬の効果が弱まっているようなときに使うもので、「resistance」とは別物だそうです。知りませんでした。
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
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