JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは22【今さら聞けない営農情報】第141回2022年3月12日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっています。有機農業に取り組む、あるいは拡大するためには、有機農業についてよく理解する必要があり、本稿では、その大元となる有機JAS規格について解説しています。過去3回(N0.137、No.138、No.139)に渡り、別表2の有機栽培で使用できる農薬等資材をご紹介しました。現在、別表2で示された資材を使用する際の留意点を、別表2に掲載されている順番に沿って連番で紹介しています。
3.マシン油乳剤
石油精製の過程で作られる、天然物由来の油を95%以上含むものが一般的で、カイガラムシやハダニ類防除に使用されます。効果は、害虫の気門を主成分の油が塞ぎ、窒息死させます。なので、対象害虫の体に直接薬液が付着するように散布しなければなりません。
ただし、ハダニ類は葉裏に寄生していることが多く、マシン油が葉表だけに付着しても、葉裏にいるハダニには効果がありませんので、ノズルをうまく使って、葉裏めがけて丁寧に散布するようにしてください。
なお、油が作物の気孔に入ると蒸散や呼吸の妨げになり、葉の展葉している時期には、薬害が起こる作物が多いので、製品のラベルをよく確認し、適用作物や使用方法を確実に守るようにして下さい。ミカンでは、夏マシンや冬マシンという呼び方で、定期的に使用されています。冬の休眠期(葉が無い時期)に散布する場合は、虫が付いている幹や枝の他、樹皮など越冬場所に潜んでいる害虫に薬液が届くように散布すると、より効果が上がります。
4.大豆レシチン・マシン油乳剤
うどんこ病に効果のある大豆レシチンと気門封鎖で害虫を窒息死させるマシン油とを混合して、うどんこ病とハダニ類が同時発生する時期には便利な薬剤です。
大豆レシチンは、各種のリン脂質を主体とする混合物の総称で、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸といった代表的な4種の他、いくつかのリン脂質が含まれており、天然の乳化剤として食品や化粧品、医薬品などに幅広く使用されています。この主成分であるリン脂質が、うどんこ病菌の細胞膜に障害を与え、胞子発芽阻害や菌糸伸長阻害、胞子飛散防止などによって、うどんこ病の防除効果を発揮しています。このため、菌体に直接かけた方が効果も安定しますので、発生を確認したら1週間から10日間隔で複数回、ほ場全体に散布します。全体にまくのは、病徴が出ていなくても、既にうどんこ病の胞子が作物の表面に付着していることが多いためで、その胞子からの発生を防ぐ狙いがあります。基本的にうどんこ病のような空気伝染性病害は、無駄のように思うかもしれませんが、ほ場全体にまいた方が効果が安定します。
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