JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌改良材(10)【今さら聞けない営農情報】第229回2023年12月16日
みどりの食料システム法が施行され、国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、特に有機質資材の活用に期待が高まっています。いうまでもなく、作物が育つためには、光、温度、水、空気の他、土壌から栄養素を吸収する必要があります。この栄養を供給する土壌の良し悪しが、農作物の品質や収量を左右しますので、作物の生育に適した土づくりが必要になります。
そのためには、土壌診断を実施して土壌の状態を正確に把握した上で、栄養素の過不足を調整したり、土壌の物理性や化学性、生物性の改善作業を行う必要があります。その土づくりで大きな力を発揮するのが土壌改良資材ですが、その使用目的は、土壌の物理性改善、生物性改善、化学性改善の改善が主なもので、本稿では、現在土づくり肥料の特性や使い方を紹介してきましたが、今回で土づくり肥料のご紹介を終了となり、前回までにご紹介した土づくり肥料以外の土づくり肥料として利用されている資材をご紹介します。
まず「腐植りん」です。この資材は、亜炭を分解してつくられる腐植酸にようりんを反応させて、少量のリン酸を加えてつくります。土づくりに重要な腐植酸を20%含み、これにク溶性リン酸、水溶性リン酸、ク溶性苦土、可溶性石灰、可溶性ケイ酸をバランスよく含む優れた土づくり肥料です。
次に「ダブリン」です。ダブリンには含まれるリン酸の含有割合によって5つの異なる資材があります。
1つ目がダブリン特17号です。これは、フェロニッケル鉱さいを硫酸とリン酸の混合液で分解し、重過石と水酸化マグネシウムを加えた、水溶性リン酸17%を含み、ク溶性リン酸とク溶性苦土、可溶性苦土を含むリン酸と苦土(マグネシウム)を速く効かせたい場合などに使用できます。
2つ目がダブリンネオ17号です。これは、ドロマイト高炉水砕スラグにリン酸液と反応調整剤を混合して反応させてつくります。ダブリ特17号同様に、水溶性リン酸17%を含み、ク溶性リン酸とク溶性苦土、可溶性苦土を含みますが、若干、苦土の含量が少ない肥料です。
3つ目がダブリン205号です。これは、フェロニッケル鉱さいを硫酸とリン酸の混合液で分解し、これに水酸化マグネシウムを加えてつくります。ク溶性リン酸が20%でうち水溶性リン酸を5%含みことから205号と呼ばれ、前出の2資材よりもリン酸量が少なく、同様にク溶性苦土と可溶性苦土を含むのが特徴です。
(つづく)
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(166)食料・農業・農村基本計画(8)農業の技術進歩が鈍化2025年11月1日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(83)テトラゾリルオキシム【防除学習帖】第322回2025年11月1日 -
農薬の正しい使い方(56)細菌病の防除タイミング【今さら聞けない営農情報】第322回2025年11月1日 -
酪農危機の打破に挑む 酪農家存続なくして酪農協なし 【広島県酪農協レポート・1】2025年10月31日 -
国産飼料でコスト削減 TMRと耕畜連携で 【広島県酪農協レポート・2】2025年10月31日 -
【北海道酪肉近大詰め】440万トンも基盤維持に課題、道東で相次ぐ工場増設2025年10月31日 -
米の1等比率は77.0% 9月30日現在2025年10月31日 -
2025肥料年度春肥 高度化成は4.3%値上げ2025年10月31日 -
クマ対策で機動隊派遣 自治体への財政支援など政府に申し入れ 自民PT2025年10月31日 -
(459)断食:修行から管理とビジネスへ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月31日 -
石川佳純が国産食材使用の手作り弁当を披露 ランチ会で全農職員と交流2025年10月31日 -
秋の果実王 旬の柿を堪能 福岡県産「太秋・富有柿フェア」開催 JA全農2025年10月31日 -
「和歌山県産みかんフェア」全農直営飲食店舗で開催 JA全農2025年10月31日 -
カゴメ、旭化成とコラボ「秋はスープで野菜をとろう!Xキャンペーン」実施 JA全農2025年10月31日 -
食べて知って東北応援「東北六県絆米セット」プレゼント JAタウン2025年10月31日 -
11月28、29日に農機フェアを開催 実演・特価品販売コーナーを新設 JAグループ岡山2025年10月31日 -
組合員・利用者に安心と満足の提供を 共済事務インストラクター全国交流集会を開催 JA共済連2025年10月31日 -
JA全農と共同開発 オリジナル製菓・製パン用米粉「笑みたわわ」新発売 富澤商店2025年10月31日 -
【スマート農業の風】(20)GAP管理や農家の出荷管理も絡めて活用2025年10月31日 -
農業経営効率化へ 青果市況情報アプリ「YAOYASAN」に分析機能追加 住友化学2025年10月31日


































