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JAの活動:動き出す 担い手コンサルティング

【動き出す 担い手コンサルティング】少量多品目「見える化」(2) 埼玉県小川町「風の丘ファーム」 JA埼玉県信連、農林中央金庫2024年2月20日

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埼玉県小川町の風の丘ファームが実践する少量多品目栽培(農薬・化学肥料不使用)は、栽培に労力がかかり、小口のニーズに応じなければならないため、計画的な作付け、効率的な労働配分、販売管理が経営上の大きなポイントになる。同社社長の田下隆一さん(63)は、JAグループの担い手コンサルティング事業の支援を受け、多品目の野菜をカテゴリー別に分けて収支分析したり、作付け品目を見直したりして、安全で環境に優しい農業の実現を目指している。

【動き出す 担い手コンサルティング】少量多品目「見える化」(1)埼玉県小川町「風の丘ファーム」 JA埼玉県信連、農林中央金庫 から

田下さんと三枝子さん田下さんと三枝子さん

風の丘ファームにおけるもう一つの課題として販路開拓の難しさがある。多くの種類の野菜を少量ずつ生産する栽培方法では、購入者が分散しやすいなど、ターゲット層が定まりづらい傾向にある。「40年続けているが販売は難しい」と、田下さんは振り返る。

最初は東京の知人や共同購入グループなどに販売していたが、田下さんの農作物の評価が高まり、販路が拡大した。現在、東京や県内の飲食店約30店舗、一般消費者40戸に野菜セットを宅配便で販売するほか、仲卸会社、自然食品店、「無印良品」、スーパー、生活クラブ生協、JA全農など取引先は多岐にわたるところからも、これまでの販路開拓の苦労がうかがえる。

少量多品目栽培(農薬・化学肥料不使用)は、理解し、共感してもらえる顧客をいかにつくるかが販売のポイントになる。この点で埼玉県信連が主催する商談会は大きな支援になった。特にコンサルティングでは、主力商品が明確でなく、商品のPRが不十分だということが指摘された。バイヤー向けの資料も整備されておらず、商談に不便をきたしていた。

このためコンサルティングで提案されたソリューションの中では、バイヤーへのPRに向けFCPシート、月別・品目別収量シートなどの作成を提案し、支援した。

さらに、バイヤー向け商材を活用しJAグループさいたま農畜産物オンライン商談会2023に出展を行い、商談を実施したバイヤーと現在も商談を続けている。

なお、田下さんは、今後拡大が見込める外食産業への販売に力を入れる考えで、販売高4000万円を目指す。

風の丘ファームの多彩な野菜風の丘ファームの多彩な野菜

田下さんは、日本の有機農業の第一人者の金子さんの下で習得した方法で農作業を実施している。たい肥は、食品残さや油、農薬はフェロモントラップや、フェロモンの交信かく乱などで、化学肥料、化学薬品は全く使わない。たい肥などの有機質肥料を毎作投入することで、土壌の生物性を向上させている。トラップや交信かく乱によるフェロモン防除のほかは、天敵の利用などで、化学農薬は全く使わない。

特に年間80種以上の野菜畑に麦、大豆を植えて輪作をしっかり行い、踏み込み温床の3年堆肥で、健苗をつくることで病気の発生を防いでいる。また、雑草防除では果菜類の通路にマルチ麦をまいて雑草を抑制する。水田の裏作には葉物野菜などをつくり、残渣(さ)をすき込む。その野菜を食べるカブトエビが増えて雑草を食べるため、除草の手間が省ける。

このほか、協力してもらえる飲食店や販売店には、形などに難のあるB品を使ってもらい、フードロスの削減に努めている。

また、次世代を担う農業者の育成にも積極的で、30年以上、毎年長期の研修生を受け入れ、さらに1日農作業体験、農業インターンシップ、農業大学校などからの派遣研修にも応じる。

多くのシーンで活躍をしている一方、安心・安全で環境に負担をかけない農業を実現しながら、持続可能なビジネスモデルを構築することが風の丘ファームの現在の課題だ。この点について、埼玉県信連農業部の田島弘毅次長からは「風の丘ファームの所得向上を後押しするために、今後も緊密な関係を築きながら一緒に進んでいきたい」との力強い発言があった。

これからも、「安全で環境に優しい農業の実現」、「持続可能なビジネスモデルの構築」に向け風の丘ファームとJAグループでタッグを組んで進んでいく。

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