JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(14)【今さら聞けない営農情報】第244回2024年4月6日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
今回は、土壌診断項目の1つである腐植です。
腐植とは土壌にふくまれる特有な暗褐色の無定の有機物のことで、動物の遺体や植物の残渣といった有機物を微生物の働きによって分解・再合成された物をいいます。腐植は、土壌の物理性や化学性改善、生物性の改善に役立つ、作物の健全な生育にとって重要な物質であるため、ある程度の土壌中の含有量を保つ必要があります。腐植は、基本的に微生物の働きによって分解されていきますが、その分解の速度は、気温が上昇したり、耕耘作業などによって土中への酸素供給量が増えるとより早くなります。そのため、減った分を補うために、堆肥など有機質肥料を施用して補充してあげる必要があります。ただし、堆肥といえども過剰に施用すると、窒素の流亡やリン酸過剰など作物の生育や環境にとってマイナスになる現象を引き起こしますので、土壌診断結果に基づいた適正施肥が何より重要です。
また、腐植の値が低かったからといってあわてて有機物を施用しても、すぐに土壌中の腐植含有量が高くなることはなく、逆に、有機物の過剰施用によって窒素過多といった障害が起きやすくなるので、一時的に有機物を施用できる量は限られます。このため、腐植の含有量を改善するには、堆肥など有機質肥料を連年施用して長年の集積効果によって行う必要があり、地力促進基本指針における腐植の乾土100gあたり目標値(水田で2g以上、畑地で3g、樹園で1~2g)に到達できるよう複数年かけて徐々に施用し続ける必要があります。
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