JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。前回から除草剤の上手な使い方についてご紹介しており、現在除草剤の選択性についてご紹介しています。
除草剤は、雑草は枯らすけれども、作物には害を及ぼさないという選択性を持っており、その選択性には、生態的選択性と生理的選択性および生化学的選択性の3つがあります。この選択性のメカニズムを知ることで、除草剤を安定して効かせながら作物には薬害を起こさせないためのコツをつかみやすくなります。前回、生態的選択性についてご紹介しましたので、今回は生理的選択性をご紹介します。
生理的選択性とは、植物体内における除草剤の吸収度合いや浸透移行性による違いを利用したものです。
植物細胞の細胞膜は半透過性を持っており、生命活動に必要な物質の吸収を選択的に行っています。この働きは、植物種毎に異なり、同じ物質でも植物の種類によって吸収しやすいものと吸収しにくいものとがあります。ある除草剤成分が、雑草には吸収されるが作物には吸収されにくいという性質を持つものであれば、雑草は枯らすけれども作物は枯らさない選択性を発揮できます。また、除草剤が効果を発揮するためには植物体内を移動して作用点に到達する必要がありますが、その植物体内を除草剤成分が移動することを浸透移行といい、その浸透移行する度合いも植物種によって異なります。つまり、雑草の場合には作用点に到達できるが、作物の場合には作用点に到達しにくいという違いがあれば、それを選択性として活用できます。
このように、植物体内への吸収と植物体内での浸透移行の違いを活用するものが生理的選択性といいます。例えば、フェノキシ系の除草剤(2-4Dなど)は、イネ科植物の体内では浸透移行しにくく、イネ科以外の広葉植物体内では浸透移行しやすいという性質を持っており、これを活用してイネ科作物は枯らさないが広葉雑草は枯らすという選択性を発揮します。
(つづく)
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