JAの活動:農協改革を乗り越えて -農業協同組合に生きる 明日への挑戦―
「地方のガンバリ」なめんなよ(第1回・前編)静岡県JAグループの取り組み2017年10月23日
「農協があってよかった」―組合員の評価得る実践着実に―
組合員組織を基盤として事業を展開しているJAにとって組合員が求めるJAに向けて改革に取り組み、組合員の願いやニーズに応えることは協同組合である以上、使命である。その使命を果たそうという各地の取り組みのなかには、すでに10年前から今回の自己改革を先取りして力強く進められてきた例もある。そんな地方の取り組みに着目し、小松泰信・岡山大大学院教授に「地方のガンバリなめんなよ」と題し、今回の特集号企画として2回にわたってレポートしてもらう。本日はその第1回を前編と後編に分けてお伝えしています。
静岡県JAグループは平成27年度から「農家組合員の農業所得の向上と地域社会への適切なサービス提供を実現するため、投入する経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を、向こう5年間で30%アップ」することで、全国のJAグループが31年に行う「大宗組合員調査」で高い評価を得て、政府主導による農協改革を乗り越えようとしている。
◆中央会・連合会の取り組み
まず中央会・連合会は、自らの改革に取り組むとともに県下の17JAの自己改革を支援している。主な取り組みは次の通りである。
<1>中央会 (1)平成28年4月から中央会内にJA・中央会・連合会からなる「担い手支援部(静岡県担い手サポートセンター)」を設置し、「生産部会の強化」と「農業法人等大規模農業者への対応強化」に取り組んでいる。
前者については、生産部会の「目指す将来像」を策定する考え方を整理するとともに、県下JAの生産部会の9割を超える284部会への実態調査を実施し現状と課題を明確化した。
後者については、県内の約120の農業法人で構成する「静岡県農業法人協会」の会員農業法人に延べ335回訪問し、562件の意見・要望を聴取し、JAにフィードバックしている。
(2)農業経営支援や生産部会の組織力強化のために営農経済担当職員の育成(研修会、営農指導員支援ツール導入等)と営農経済センター長のマネジメント力強化に取り組んでいる。とくに、営農指導員支援ツールに関しては、28年度に5JAが導入し、29年度以降に7JAが導入する予定である。
(3)中央会・経済連の職員有志で「静岡茶ファン拡大プロジェクト」を設置し、関係JAと連携して販路開拓の可能性がある北海道へのPR、静岡市内のホテルへの活用提案などを行っている。
<2>県信連
(1)「JAバンク静岡アグリサポートプログラム」を実践し、金融、担い手育成、生産効率化・拡大、コンサルティングの4項目からなる農業者への支援に取り組んでいる。なかでも、親元就農育成支援・新規就農応援事業や農業高校・農林大学校等への担い手育成支援には期待したい。
(2)農業融資残高の維持拡大に向けたサポートとして、担い手農業者のニーズに対応した農業金融商品の充実強化とともに、農業部配属人員を増強している。
(3)子どもたちの農業・食・自然環境・金融経済活動等に関する理解を育み、地域の発展にも寄与することを目的として、食農教育補助教材の寄贈(県内531校の小学5年生約3万2000名)やJAなどにおける食農教育活動を助成している。
<3>経済連
(1)輸出専門部署およびシンガポール駐在所を設置し、現地量販店へ茶、メロン、トマトの輸出に取り組んでいる。これを契機に、ジャガイモ、サツマイモ、カボチャ、柿等の取り扱いが開始された。
(2)県内11JAで生産された茶葉を用いたJAグループ静岡茶統一ブランド「揉一ひとえ」を開発し、国内外での販路拡大に取り組んでいる。
(3)JAと連携し業務・加工向けキャベツ、タマネギの供給を拡大している。28年度は795tを出荷した。
(4)6次産業化への取り組みや、消費宣伝活動にも積極的に取り組んでいる。
<4>厚生連
(1)ファーマーズマーケットの店頭で、保健師や管理栄養士による健康相談を行った。28年度は7JA11店舗で31回開催し、1184名の来店客が参加した。
(2)厚生連病院においてJA女性部やJA年金予約者等を対象とした食生活改善講習会を341回開催し、5761名が参加した。また、医療・介護・健康に関する講演会を498回開催し、延べ1万9629名が受講した。
<5>共済連
(1)28年度に創設した「地域・農業活性化積立金」を活用し、「農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域サービスの向上」につながるJAの取り組みを支援している。28年度の実績は2946万円、29年度は4億6200万円の計画である。
(2)交通事故に関する未然防止活動や被害者支援活動をはじめとし、健康管理・増進活動、介護福祉活動、くらしの活動促進活動、災害救援活動、文化支援活動など、多様な地域貢献活動を実施している。
「地方のガンバリ」なめんなよ
※「地方のガンバリ」なめんなよ(第1回・後編)へのリンクはこちら
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】とうもろこしにアワノメイガが多誘殺 早めの防除を 北海道2025年7月1日
-
【人事異動】農水省(7月1日、6月30日付)2025年7月1日
-
農水省 熱中症対策を強化 大塚製薬と連携し、コメリのデジタルサイネージで啓発2025年7月1日
-
作況指数公表廃止よりもコメ需給全体の見直しが必要【熊野孝文・米マーケット情報】2025年7月1日
-
【JA人事】JA岡山(岡山県)新会長に三宅雅之氏(6月27日)2025年7月1日
-
【JA人事】JAセレサ川崎(神奈川県)梶稔組合長を再任(6月24日)2025年7月1日
-
【JA人事】JA伊勢(三重県) 新組合長に酒徳雅明氏(6月25日)2025年7月1日
-
米穀の「航空輸送」ANAと実証試験 遠隔地への迅速な輸送体制構築を検証 JA全農2025年7月1日
-
JA全農「国産大豆商品発見コンテスト」開催 国産大豆を見つけて新商品をゲット2025年7月1日
-
こども園で食育活動 JA熊本経済連2025年7月1日
-
産地直送通販サイト「JAタウン」新規会員登録キャンペーン実施2025年7月1日
-
7月の飲食料品値上げ2105品目 前年比5倍 価格改定動向調査 帝国データバンク2025年7月1日
-
買い物困難地域を支える移動販売車「EV元気カー」宮崎県内で運用開始 グリーンコープ2025年7月1日
-
コイン精米機が農業食料工学会「2025年度開発賞」を受賞 井関農機2025年7月1日
-
「大きなおむすび 僕の梅おかか」大谷翔平選手パッケージで発売 ファミリーマート2025年7月1日
-
北海道産の生乳使用「Café au Laitカフェオレ」新発売 北海道乳業2025年7月1日
-
非常事態下に官民連携でコメ販売「金芽米」市民へ特別販売 大阪府泉大津市2025年7月1日
-
農作物を鳥被害から守る畑の番人「BICROP キラキラ鳥追いカイト鷹」新発売 コメリ2025年7月1日
-
鳥取県産きくらげの魅力発信「とっとりきくらげフェア」開催 日本きのこセンター2025年7月1日
-
鳥インフル 英国チェシャ―州など14州からの生きた家きん、家きん肉等 一時輸入停止措置を解除 農水省2025年7月1日