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JAの活動:農協改革を乗り越えて -農業協同組合に生きる 明日への挑戦―

「地方のガンバリ」なめんなよ(第1回・後編)JAとぴあ浜松の取り組み2017年10月23日

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「農協があってよかった」―組合員の評価得る実践着実に―

◆自己改革を先取り JAとぴあ浜松

 このような中央会・連合会の積極的な取り組みと連携して、県内JAの取り組みも活発である。なかでも、JAとぴあ浜松の取り組みは出色ものである。
 本JAは、平成7年4月に浜松地区14JAが合併して発足した。浜松市に本店を置き、28年度末の組合員数7万8321人(うち、正組合員2万4006人、准組合員5万4315人)、総職員数1520人、貯金1兆1000億円、貸付金2077億円、共済保有高3兆8000億円、販売高240億円、購買供給高150億円、という広域大規模JAである。


◆始まりは営農事業再興基本計画

小松 泰信 岡山大学大学院環境生命科学研究科教授 先進的自己改革のはじまりは、平成18年度に樹立された「営農事業再興基本計画」。合併後10年を経て、営農事業(営農指導事業、生産資材購買事業、販売事業)が右肩下がりとなる。
 その打開策を求めて、17年度に「営農事業に関する組合員アンケート調査」を実施。その結果などから「農家組合員は合併前に比べて営農指導が弱体化したとの受け止め方をしており、満足度は低い。仕事の仕方、仕事のシステムをそのままにしての人員削減はもう限界」と、判断した。そして、(1)組合員農家が真にJAに期待し、望み、求めていることにしっかりと応えていく、(2)各種の生産振興や農業所得向上対策の成果として販売高、生産資材供給高を伸ばしていく、(3)最終目標として、営農事業のくくりで利益を出す、という結論に至り、次の諸施策を実施し営農事業の再興を図ることとなる。

(写真)小松泰信 岡山大学大学院環境生命科学研究科教授


◆改革の柱

 「営農事業再興基本計画」の柱となった取り組みとその概要は次の通りである。

(1)営農アドバイザー制度の導入
 18年4月に営農アドバイザー制度を立ち上げ、出向く営農指導を強化することで、個々の農家に即した生産技術指導と農業経営支援が可能となった。また、25年4月には営農アドバイザーを「技術指導」と「営農相談」にわけ、その専門性を高めた。なお後述する、アドバイザーが担う農家訪問のレベル向上や経営意向調査による中核的農家のニーズ喚起、さらには農業所得30%アップ達成に向けた取り組みなどが多方面から評価された。

(2)購買事業
 23年4月から、予約主体の供給体制、仕入機能の強化、事務処理・運送業務・倉庫業務の一元化を図り、生産資材コストの削減に取り組んだ。

(3)販売事業
 物流コストの低減と販売戦略の強化という2方向から販売事業を強化した。
 (1)物流については、運送会社を集約し、輸送効率の向上を図るとともに、運賃の見直しを図った結果、平均で12%のコストダウンとなった。
 (2)地区の枠を超えて、3か所に野菜販売センターを設置するなど、販売拠点の集約を図った。あわせて、専門的な販売体制を構築し、有利販売と職員の人材育成を図り販売交渉力を強化した。
 (3)専門性と機動力を重視するために、単一部署だった販売部門を売り先やターゲットごとに3課に分ける機構改革を行った。3課の取り組みは次のように整理される。
 営農販売課は、市場交渉力を強化するため、経済連による分荷だけでなく、品目によっては本JA独自の分荷体制を構築し、有利販売・高値販売につなげている。
 特販課は、量販店などへの契約販売や直接販売を行うとともに、コンビニや飲食チェーン店などへの販路開拓、学校給食への食材供給なども行っている。また、パッキングセンターを設置し、実需者が求める多様な荷姿や量目への対応とともに、新たな商品提案も行っている。
 地産地消課は、ファーマーズマーケットを設置し、消費者を対象とした各種イベントや野菜ソムリエによって食育の推進、食文化の伝承に取り組むとともに、新たな所得機会の創出にも挑戦している。


◆農家支援に新たな取り組み

(1)経営意向調査と担い手支援訪問活動
 23年度から、農家の声をよく聞き語り合うために、営農アドバイザーによる「経営意向調査」が開始された。新たな動きが展望される場合には、支店の融資担当者を伴って再度同行訪問するなど事業間連携による農家支援として注目される。ちなみに、この取り組みによって、農業資金新規実行が2倍以上に増加した。

(2)農業振興および担い手支援事業
 26年から3年間、毎年2億円を上限に「農業振興および担い手支援事業」を行った。具体的には、農業用ハウス助成事業、農業機械助成事業、地域振興支援事業などの8分野で意欲ある農家を支援するものである。本JAでは、「未来の地域農業への投資」と捉えている。
 農業用ハウス助成事業を利用して新設されたハウスは合計で12ha。農業機械助成事業は913件9100万円の取り扱いで、規模拡大や生産の効率化に大きく貢献した。3年間の支援実績は合計4億5000万円。その結果、28年度の販売品取扱高は240億円に伸長し、3年間で10%アップという成果につながった。

(3)経営支援農家の農業所得30%アップ
 29名の営農アドバイザー(技術指導)が1人あたり5軒の経営支援農家を担当し、合計145軒の農家に対して生産指導や経営支援を集中的に行うなかで、25年度の農業所得を基準として3年後に30%アップを目標とした「栽培提案書」を作成する。この目標の達成に向けて、農家と営農アドバイザーが二人三脚で取り組んだ。その結果、80軒(55.2%)の農家が目標を達成した。

(4)平成29年度からも持続的自己改革に取り組む
 本JAが一昔前から取り組んできた、先進的自己改革がもたらした効果は明らかである。29年度以降もバージョンアップさせながら継続することになっている。
 総合的担い手支援訪問活動においては、他の事業分野との連携を図ることでコンサルティング体制を強化する考えである。とくに農業リスク診断活動に注力している共済部門との連携には期待したい。また、第2次農業振興および担い手支援事業も、3年間、年2億円以内、合計6億円以内の事業規模で継続する。そして、営農アドバイザー(技術指導)29名が、新たに1人あたり5軒の経営支援農家を選定し、それぞれの栽培提案書に基づき農業所得30%アップを目指す。
 正真正銘の先進的自己改革の模範JAとして、これからの取り組みが注目されるところである。


◆注目すべき県下JAのCM放映


 県中央会のリーダシップのもと、今回取り上げたJAとぴあ浜松をはじめ県内17JAが意欲的に自己改革に取り組んでいる。なかでも全国初の取り組みが、農業協同組合の現状に関する理解促進を目的とした、テレビCM(15秒)の制作と放映である。1JAにつき2週間で約50回集中的に放映している。ユーチューブで観ることができるのでご覧いただければ幸いである。
 さて、この他にも組合員・地域住民から「農協があってよかった」という評価を得ることを目指した数々の取り組みが展開されている。自己改革の目的が、短期間で達成されるようなものではないことをJAとぴあ浜松が教えている。しかし取り組まなければ、期待される評価は得られない。誠実に着実にやり続けること。呪文のようにこう唱えながら。

 「地方のガンバリ」なめんなよ

※「地方のガンバリ」なめんなよ(第1回・前編)へのリンクはこちら

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