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JAの活動:持続可能な社会を目指して 希望は農協運動にある

【特集:希望は農協運動にある】提言:農協の社会貢献度の「見える化」を 鈴木宣弘 東京大学教授2020年10月9日

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これからは協同組合の時代だといわれる。それはなぜなのか。それをもっと具体的に数字で「見える化」して示すことで、国民理解の醸成を図るのが有効と考えられる。その試みは、すでに始まっており、成果を上げつつある。

鈴木宣弘 東京大学教授

規制緩和の本質

我々の社会は次の「私」「公」「共」の相互関係下で成立している。
「私」=個人・企業による自己の目先の金銭的利益(「今だけ、金だけ、自分だけ」=「3だけ主義」)の追及。
「公」=国家・政府による規制・制御・再分配。
「共」=自発的な共同管理、相互扶助、共生のシステム。農協・漁協・生協などの協同組合が典型である。
「公」「共」をなくして「私」のみにすれば経済厚生(=経済的利益)は最大化されるというのが、我が国でいまだに提唱されている「時代遅れ」の市場原理主義経済学の命題だが、その命題が成立する前提条件となっている「完全競争」(=誰も価格への影響力を持たない)は実在しない。
実態は、「勝者」が市場支配力(=価格を操作する力)を持ち、労働や原材料や農産物を「買いたたき」、製品価格の「つり上げ」で市場を歪めて儲けを増やす。その資金力で、政治と結びつき、規制緩和、自由貿易の名目で、さらに自己利益を拡大できるルール変更を画策(レント・シーキング)するため、「オトモダチ」への便宜供与、国家私物化、世界私物化が起こる。こうして、「公」が「私」に「私物化」されて、さらなる富の集中、格差が増幅されるのは「必然」的メカニズムともいえる。
農地、種、海、山を既存の農林漁家からオトモダチ企業のものにしていこうとする一連の法改定、また、農協の共販・共同購入を弱体化する農協法改定や畜安法改定は、こうしたメカニズムの結果だと考えると、よく理解できる。

「3だけ主義」から社会を守るのは協同組合

「私」の暴走を抑制し、社会に適切な富の分配と持続的な資源・環境の管理を実現するには、拮抗力(カウンターベイリング・パワー)としての「公」と「共」が機能することが不可欠である。しかし、「公」が「私」に私物化され、「公」を私物化した「私」の収奪的な目先の金銭的利益追求にとって最大の障害物となる「共」を弱体化する攻撃が展開される。
逆に見れば、「公」を取り込んだ「私」の暴走を抑制するのが「共」の役割であり、「共」、すなわち、協同組合こそが踏ん張り、社会を守らないといけないということである。

農協が頑張れば利益は回復できる

表の試算は、畜安保改定で生乳共販が弱体化され、貿易自由化でさらなる打撃を受けても、逆にそれをバネにして、生乳共販体制を強化できれば、乳価も生産量も、ほぼ現状を維持できることを具体的に数字で示している。規制改革や貿易自由化の影響を跳ね返すエネルギーを農協は持っているのである。バラバラにされたら負けである。このことを、しっかりと認識し、一人一人が全力で結集力の強化に取り組むことに活路がある。
そして、独禁法の厳格適用を恐れてはいけない。萎縮効果を狙った動きに過剰に反応したら、思う壺にはまる。共販のルールに縛りをかける改正畜安法と専属利用契約を削除した農協法の改定は、農協への「適用除外」という独禁法の大原則と矛盾する「重大な欠陥」を有している。しかも、独禁法を農協共販に厳格適用することで、「適用除外」をなし崩しにしようとする攻撃も強化されつつある。しかし、独禁法における「適用除外」規定は生きているのだから、それを根拠にした主張と行動を恐れずに続けるべきである。

ケース別の総合乳価と生産量

農協は生産者だけでなく消費者も救う

もう一つ重要なメッセージがある。農協や漁協は「生産者価格を高めるが消費者が高く買わされる」、生協の産直やフェア・トレードは「消費者に高く買ってもらう」と考えられがちだが、これは間違いである。コーヒーの国際取引でグローバル企業のネスレなどの行動で問題にされるのは農家から買いたたいて消費者に高く売って「不当な」マージンを得ていることである。
国内取引でも同じで、流通・小売業界の取引交渉力が強いことによって、中間のマージンが大きくなっていることが問題なのである。ということは、農協・漁協の共販によって流通業者の市場支配力が抑制されると、あるいは、既存の流通が生協による共同購入に取って代わることによって、流通・小売マージンが縮小できれば、農家は今より高く売れ、消費者は今より安く買うことができる。こうして、流通・小売に偏ったパワー・バランスを是正し、利益の分配を適正化し、生産者・消費者の双方の利益を守り、流通におけるマージンの適正化を図る役割こそが協同組合の使命である。

効果の「見える化」が国民理解につながる

現状は、農協が努力していても、まだ小売などの買手に押されている状況にあるが、それでも、農協がない場合に比べて、生産者と消費者の利益がどれだけ改善しているかを明らかにすることは、農家のみならず、国民全体に対して農協の役割を理解してもらうために極めて重要である。
我々は、世界初のモデルを開発し、「農協共販は生産者米価を高め、消費者価格を抑制し、社会全体の利益を増加させている」ことを実証した。コメの農協共販の存在によって、どれだけ社会的利益が増加できているかを金額計算することで、農協共販のメリットを「見える化」して提示した。
まだ、暫定試算であるが、産地と小売の取引交渉力は0.11:0.89で、小売が強い力を持っていることが推定された。しかし、農協共販が存在しない場合の経済利益の損失は玄米60㎏当たり1万4098円であるのに対して、小売に対する農家の価格交渉力が0.11の現状の農協共販が行われている状況下での経済厚生の損失は1万1127円で、農協共販が存在することにより玄米60㎏当たり2971円の経済利益が回復されていることがわかった。この回復量は農協共販が存在しない場合の経済利益の2割を超えているため、全生産量の4割の流通シェアと、0.11:0.89という小売と産地の価格交渉力の状況下でも、現状の農協共販の存在は大きな役割を果たしていることがわかる。

農協が頑張れば社会がよくなることが「見える化」できる

しかも、生産者利益、消費者利益、を高め、社会全体の利益を高めるには、農協共販の強化が必要ということも次の図からわかる。農協共販が強化され、横軸の交渉力の数字が大きくなるにつれ、生産者米価が上がり、消費者米価は下がり、社会全体の損失が縮小していく。

農協の交渉力とPR(小売価格)、PW(産地価格)、社会的利益の関係


農協が頑張ることの社会的メリットはこうして「見える化」できるのである。これをコメだけでなく、全品目に広げて集計すれば、農協の社会貢献の一端を、わかりやすく提示できる。さらに、信用・共済も含めた総合農協としての社会貢献度の「見える化」も進めれば、農協の存在意義と役割について、より包括的な形で提示することができる。
様々な協同組合が連携して、協同組合全体について、こうした社会貢献度の「見える化」を進めて、国民理解を醸成していくことが重要と考えている。

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