JAの活動:【第29回JA全国大会特集】コロナ禍を乗り越えて築こう人にやさしい協同社会
【寄稿】日本文化厚生連理事長・東公敏氏 体と心の健康 地域に寄り添い 医療・福祉の充実に尽力【第29回JA全国大会特集】2021年11月16日
第29回JA全国大会開催に当たって、日本文化厚生農業協同組合連合会の東公敏代表理事理事長に寄稿してもらった。テーマは「コロナ後の社会再建に貢献する厚生連医療・農協福祉」で、東理事長は「地域の声を聞くことなしに医療・福祉の充実はない」として、協同組合の役割が高まっているとしている。
日本文化厚生連理事長
東 公敏氏
コロナ禍は、医療・福祉の大切さは言うまでもなく、それがとりわけ多くの農村地域において農業協同組合の事業として存在し運営されていることを、人々に改めて気づかせた。JA全国大会決議でも、「持続可能な地域・組織・事業基盤の確立」の「生活インフラ機能の発揮」の筆頭に、厚生連医療・農協福祉(厚生・介護)が記された。医療・福祉に関わる厚生連・単協のスタッフのみなさんの長期間にわたる感染症との闘いには本当に頭が下がる。ウィズ・コロナ、アフター・コロナの社会の再建に貢献する協同組合医療・福祉に対する評価と支援を、農協組織内外でさらに広げていきたいと思う。
日本文化厚生連は厚生連と単位農協の出資による全国連合会のひとつである。医薬品等の共同購買と情報教育の事業を通じて、厚生連医療・農協福祉にかかる会員の経営支援に取り組んでいる。この間、大会決議の組織協議として、経営管理委員、会員常勤役員や病院長等の皆さんの声を聴く活動を広げてきた。
組合員の参画で安心の地域づくり
「コロナで人々が触れ合わなくなっている。病院には住民の不安を解消し安心と協同を高めていく役割が期待される」(病院長)、「体の健康だけではなく心の健康も農協が呼びかけていく。支店を人々が寄り合って健康になれるような場にしたい」(組合長)、「JA総合事業の中に医療や介護をさらに明確に位置づけるべき。組合員と厚生連が事業を通じてつながっていく取り組みが必要だ」(会長)、「連合会が単協といっしょに現場へ出向いて組合員の声を聴き共に健康寿命を考える取り組みを」(組合長)――といった多くの意見が寄せられた。
こうした会員の声や願いは、医療・福祉においても組合員・住民が「協同」することの大切さを鋭く示唆している。厚生連医療・農協福祉が、他の医療機関や介護施設・事業所と違って協同組合事業として存在する意義は、「公共性」に加えて「共益性」(協同組合性格)の発揮にある。それは、患者・利用者として声を寄せ、施設・サービスの改善、主体的な健康づくりの協同活動、病院機能分化・再編に応じた適正利用の共同の学習と合意づくり――といったものであろう。
准組合員を含む組合員の「参画」に支えられサービスの質の強化と経営持続性の確保をめざす厚生連医療・農協福祉が、安心して暮らせる地域づくりの基盤となっていく。医療・福祉は住民のものであり、お上から与えられたものではない。厚生連医療・農協福祉の存在が、社会保障と「公共」のあり方について、「協同組合のようにやればいい」と人々が気付き行動する地域社会づくりにつながっていくのではないか。
大会決議踏まえ 8項目の実践へ
コロナ禍を経て、組合員のくらしのニーズや困りごとに対して、医療介護・購買・金融等の事業を通じた総合的な支援がこれまで以上に求められる。本会では、7月の通常総会で特別決議「私たちは厚生連医療・農協福祉を通じて、コロナ後の社会の再建に貢献します」を採択した(本会ホームページを参照いただきたい)。
(1)組合員の苦しみや困りごとに寄り添う姿勢(2)感染予防を徹底し安心して利用できる病院・施設・事業所づくり(3)いわれなき偏見・差別を許さず正しい知識や情報の提供(4)健康や家計の不安、営農困難を抱えた組合員の相談活動や営農継続支援(5)心の不安を取り除き人々のコミュニケーションを取り戻す協同活動(6)声を聴き事業・サービス改善とデジタル化等による利便性向上(7)健康寿命延伸のための健康管理・予防活動(8)地域共生社会の構成団体・行政との連携強化―の実践を呼びかけていく。
11月26日に「第25回厚生連病院と単協をつなぐ医療・福祉研究会」(福祉研)をWeb開催する予定である。記念講演では「くらしと交流、店舗や施設運営はこうすれば安心~新型コロナを正しく怖がるために」と題して、ウイルス研究の第一人者である西村秀一医師(国立病院機構仙台医療センター)にお話をいただく。著書『もうだまされない新型コロナの大誤解』がベストセラーとなっている方である。ぜひ、広く農協グループの方々にご参加いただきたいと思う。
超高齢社会に向かう中で、地域の病院の機能分化・集約化がコロナ禍にもかかわらず断行されようとしている。公的病院の機械的な再編統合ではなく、「地域からの」病院再編・医療介護のネットワークづくり(地域医療構想・地域包括ケア)を構えることなしには安心して暮らせる地域は守れない。
大会決議は「地域共生社会の構成員との連携」も提起した。今こそ厚生連と単位農協が組合員・住民および地域の諸組織に呼びかけ行動する時である。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(125) -改正食料・農業・農村基本法(11)-2025年1月18日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (42) 【防除学習帖】第281回2025年1月18日
-
農薬の正しい使い方(15)【今さら聞けない営農情報】第281回2025年1月18日
-
イタリアはラーメンブーム【イタリア通信】2025年1月18日
-
「一揆は対立ではなく連携へののろし」 この機逃せば農村消える 山形県の農家・菅野芳秀さん2025年1月17日
-
鳥インフルエンザ続発 愛知で国内30例目、千葉で31例目2025年1月17日
-
米の作況指数 「農水省発表マイナス5が新潟の実感」 新潟大・伊藤助教が指摘2025年1月17日
-
鳥インフル 米デラウェア州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月17日
-
令和6年度スマート農業アクセラレーションサミット開催 JA全農2025年1月17日
-
(418)日本初のグローバル化の功罪【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年1月17日
-
【JAトップ提言2025】有機農業で次代に活路 JA常陸組合長 秋山豊氏2025年1月17日
-
【JAトップ提言2025】環境と農業の両立に的 JA秋田中央会会長 小松忠彦氏2025年1月17日
-
生産者にZ‐GIS活用講習会 JA全農2025年1月17日
-
JA広報大賞 JAふくしま未来に決定 JA全中2025年1月17日
-
農業界特化就活フェア「あぐりナビ就活FES.」東京、大阪で開催 アグリメディア2025年1月17日
-
「2024年度 GAPシンポジウム」開催 日本生産者GAP協会2025年1月17日
-
適用拡大情報 殺虫剤「ベリマークSC」 FMC2025年1月17日
-
適用拡大情報 殺虫剤「ベネビアOD」 FMC2025年1月17日
-
日本生協連「くらしと生協」包丁研ぎの魅力を伝えるアニメ動画を公開2025年1月17日
-
東大阪農業PR大使・シャンプーハットてつじ密着取材「ピカッと東大阪」で公開2025年1月17日