JAの活動:JA全農の若い力
【JA全農の若い力】飼料効果や管理法も指導 家畜衛生研究所(2)クリニック九州分室 内田葉月さん 2023年3月13日
農場に寄り添い 家畜守る 家畜衛生研究所(1)クリニック北日本分室 田口仰星さんより続く
 クリニック九州分室 内田葉月さん(2018年入会)
クリニック九州分室 内田葉月さん(2018年入会)
身近な相談者に
内田葉月さんは、クリニック九州分室に2021年に配属された。それまではホクレンくみあい飼料で飼料推進支援などに携わった。
現在は九州内の養豚の衛生指導を担当し、定期検査を実施している。定期検査はいわば健康診断であり、どんな病気が発生しているかを血液検査などで把握し、ワクチン・プログラムの提案など早めに対策を取ることが求められる。
豚が感染しやすいウイルスのひとつにサーコウイルスがある。感染すると死亡しなくても発育が止まってしまう場合がある。そうなると出荷までの期間が長くなり生産性は落ちる。しかも、症状が出ていなくてもウイルス量が増えていることもあり、クリニックの定期検査はそうしたリスクの高まりを見つけ出す機能も持つ。
実際に内田さんのこれまでの経験でサーコウイルス感染が広がった農場へワクチン接種を提案、短期間で出荷頭数を戻すことができた例があるという。もちろんワクチン接種だけでなく感染の広がりを防ぐため消毒は重要で適切な消毒剤の提案も内田さんたちの仕事である。
 「生産者にとって何が大事かを考えていきたい」
「生産者にとって何が大事かを考えていきたい」
「農場のみなさんから話を聞くことが非常に大事です」と内田さん。たとえば、農場の消毒など、当たり前に考えていることはあまり話題にならない。
「どの程度の意識で飼養衛生管理をしているかなど、話を聞きながら確認することを心がけています。知識はあっても現場でどういう認識で取り組んでいるか、なぜこの対策に取り組まなくてはならないかが理解されていることが重要です」
家族経営であるがゆえに話し合いの場が不足し、長靴の消毒や履き替えなどの場所や方法などの基本ルールががいつのまにか守られていないなど、農場内部でうまく問題意識が共有されていないと感じることもあるという。
専門用語をなるべく使わず、平易な言葉で解説することを心がけ、「生産者に何でも話してもらえるよう身近な存在でいたい」と話す。
養豚のほかに牛では、熊本県のJA菊池が運営するキャトルブリーディングステーション(CBS)での指導も担当している。
CBSは管内酪農家から子牛を預かるため、農場に新たな病原体が持ち込まれるリスクもある。そのため導入牛をしっかり消毒し、病気になりにくい環境づくりに努めるほか、血液検査などで栄養状態を確認することなどが求められる。
また、母牛から離された子牛には大きなストレスがかかっており、病気にならないよう、しっかり免疫を高めることが大切だ。手をかけて子牛を育てることをアドバイスするなど全体として飼養管理に関わる仕事を同CBSに駐在している獣医師と相談しながら担当しているという。
北海道から九州の勤務となって実感しているのが、気候の違いから病気が多いこと。また、抗菌剤も同じものを使い続けて耐性菌が発生していることもある。
農場のなかにはクリニックの検査を受けることに消極的なところも少なくないが、「どんな病気が動いているか、農場を回って拾い上げていくことが大事です」という。たとえば冬には呼吸器病の心配があることを伝え、受診を呼びかける。「1度検査し、その結果を私たちが示し、ワクチン接種などを提案、その結果に納得すれば翌年も検査を受けようと考えてもらえます」。検査をしなくても農場巡回は行いたいと考えている。
一方、生産者に納得してもらうには、しっかりしたデータと有効な対策を示すことが必要だ。クリニックセンターを含む全農の畜産関連研究機関には、全国からさまざまな検体や情報が集まってデータが蓄積されているほか、新たな検査法の開発、飼養管理の技術開発なども研究している。
「単なる検査機関ではなくて、生産者に対して研究の成果をアウトプットできるものを持っているのが強み。全国に担当者がいて意見交換しやすいことも仕事の参考になります」と内田さんは事業の意義を感じている。
今後も農場を回りながら経験を積み、農家への的確なアドバイスを行うとともに、飼料の効果も示していきたいと考えているという。
クリニックによる検査で病気を予防し出荷日数が平常に戻ったように、飼料についてもその効果を出荷日数の短縮化という形で示せれば農家も有用性を確認できる。
飼料が高騰するなか、現場を支える新しい研究が期待される。「生産者にとって何が大事かを考えていきたい」と内田さんは話した。
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