JAの活動:【2024年新年特集】どうする食料・農業・農村・JA 踏み出せ!持続可能な経済・社会へ
【提言2024】アベ農政一掃の年に 明治大学教授 作山巧氏2024年1月16日
2023年、世界は地球沸騰化の時代に突入、地上ではロシアのウクライナ侵攻が続き、さらに中東情勢も深刻化、混迷と対立が深まるなかで2024年を迎えた。本紙新年特集は「踏み出せ! 持続可能な社会へ」をテーマに、世界情勢と日本の未来を見越して、農政をはじめとした政治、政策、そして農業協同組合への提言を幅広く識者に発信してもらう。
明治大学教授 作山巧氏
2023年は、アベ政治のうみが噴き出した年だった。その最たる例は、昨年11月に表面化し、安倍派に所属する4閣僚の辞任に至った政治資金パーティーによる裏金作りである。それ以前も、安倍晋三元首相の死後にはアベ政治の本質が次々と露呈している。旧統一協会との親密な関係、逮捕者が続出した東京オリンピックをめぐる汚職問題、クリミア併合後も甘い顔をしてウクライナ侵攻を誘発した対ロシア関係など、枚挙にいとまがない。マックス・ウェーバーは、「政治とは、硬い板に力をこめてじわっじわっと穴をくりぬいていく作業」と喝破したが、アベ政治とは、口先や外面だけの利権政治に他ならない。
思い起こせば、アベ政治の最初の犠牲者は農協グループだった。安倍首相は、2013年に環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉への参加を決定し、それに反対する口封じとして一連の農協改革を実行したが、その内容はご都合主義の最たるものだった。例えば、それまでの農水省は、農協グループのガバナンス強化の中心に全中を据えていたが、一転して農協法から削除した。また、規制改革会議は「全農の株式会社化」や「第二全農の設立」などを提言したが、「農業者等の組合員により自主的に設立される相互扶助組織」という農協法の趣旨を無視した暴論だった。さらに、国会決議違反のTPPや国際法違反の日米貿易協定の締結も、安倍首相が外交で多用した「法の支配」とは相容れない。
しかし、アベ政治をめぐる醜態の噴出を受けて、メディアの論調も一変した。第2次安倍政権下では、農協グループの主張がどれほど正論であっても、記者クラブに安住して官製報道を垂れ流す大手メディアは聞く耳を持たなかった。しかし、新型コロナ禍やウクライナ戦争をへて、国内農業や食料安全保障の重要性が再認識されている。こうした基調の変化を好機として、2024年は、アベ政治による農協グループへの濡れ衣を一掃する年にすべきだろう。
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