農政 クローズアップ詳細

2019.11.13 
【クローズアップ・水田農業政策】飼料米・麦・大豆へ 確実な作付け転換を一覧へ

JAグループが水田農業で政策提案

 JAグループは11月の全中理事会で「今後の水田農業に関する政策提案」を決め、11月13日に開かれた自民党の農業基本政策検討委員会で団体要請した。主食用米の需要が減少していくなか、飼料用米、麦、大豆など戦略作物に確実に作付転換を進めるための実効性ある対策を求めた。

11月13日の自民党農業基本政策検討委員会

11月13日の自民党農業基本政策検討委員会


◆着実に水田フル活用

 令和元年産米は全国作況が「99」で727万tで令和2年6月末の民間在庫量は189万tとなる見込みだ。
 作付け面積でみると、主食用は前年実績(138.6万ha)から7000ha減少し137.9万haとなった。かりに作況が100だった場合、生産量は733万tが見込まれる。
 一方、需要量は毎年10万t減が見込まれていることから、全中では令和2年産米の主食用適正生産量は707万t~716万tと推定している。今年産の生産量見込み727万tから11万t~20万t減らす必要があることになる。 こうした長期的な主食用米も長期的なトレンドをふまえれば、飼料用米や加工用米、麦、大豆をはじめとした戦略作物への確実な作付け転換が必要で、JA全中では飼料用米、麦、大豆などそれぞれ戦略作物ごとに今年よりどれだけ増やすかなど取り組み目標を示して現場の推進を図るといった、実効性のある対策が必要だと提起している。

今後の需給見通し


 こうした対策は、食料安全保障や食料自給率の向上に向けた水田をフル活用する基本政策の確立にもなる。
 現在、食料・農業・農村基本計画の見直し議論が行われているが、カロリーベース37%の食料自給率を引き上げる政策をどう打ち出すかも大きな課題となっている。
 その鍵となるのは水田フル活用政策で、自給率の低い小麦(12%)、大豆(21%)、油脂類(3%)などの生産増大が求められている。こうしたことからJAグループは国産麦や大豆などの戦略作物への供給を強化するための助成や、畜産物の自給率を引き上げるための輸入飼料を自給飼料に置き換える対策、米の需要拡大策などの実施が重要だとしている。


国産麦・大豆は需要増

 農林水産省によると、国産小麦については、新商品開発などの実需ニーズが高まり、平成28年産から販売量82万tに対して需要量83.4万tと需要が供給を逆転している。令和2年産では購入希望数量88万tに対して販売予定数量が80万tと少ない。
 国産大豆も栽培面積が平成25年には13万haを下回ったが、その後反転して15万ha程度に増加している。
 国産麦・大豆の活用は商品の付加価値を高めるため実需者のニーズは堅調だ。全国展開の外食チェーンでは餃子と麺類の小麦粉を100%国産に切り替えたほか、国産大豆を使った豆腐が通常の価格の1.4倍で販売されている例などもある。こうした需要を捉えた生産振興が必要だ。
 米では主食用需要の拡大に取り組むとともに、消費者の健康志向やニーズの多様化に合わせて、グルテンフリーの米粉の消費拡大や、次世代に向けた和食と米飯学校給食の推進に取り組んでいくことが必要だとJAグループは提起している。

 
◆地域実態に応じた推進

 水田フル活用を着実に推進するための直接支払交付金は生産者の経営安定・所得確保に不可欠な制度であることから、JAグループは交付単価の水準をはじめとした交付体系の維持と恒久的に万全の予算の確保も求めている。
 また、令和2年度概算要求で農水省は飼料用米、米粉用米の助成について複数年契約を基本とすることや、高収益作物への転換に対して5年間の支援を基本とするなどの新たな対策を打ち出しているが、JAグループでは「いきなり複数年契約では大変」、「野菜などに転換していくには時間がかかる」など現場の声があることから、地域やJAの実態に合わせて効果的に活用できるような対策の運用を求めている。
 このほか収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)を引き続き安定的に実施することや、3年に一度の見直しに当たる畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)は需給環境や、台風被害などをふまえて、適切に決定することも求めている。
 自民党の会合で団体要請したJAグループの高橋正水田農業対策委員長(JA宮城中央会会長)は、主食用需要が年々減少しているなか、飼料用米、麦、大豆に確実に作付転換していく対策の重要性を強調するとともに、異常気象が多発するなか水田の多面的機能の役割が重要であり、地域で水田を水田として活用する政策が重要だと訴えた。また、自然災害へのリスク対応が必要なカントリーエレベーターの老朽化が課題となっているなか、施設整備のための採択要件などで活用しやすい助成を求める声が現場から上がっていることも強調した。

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