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【クローズアップ】脱炭素へJミルク国際参加 酪農乳業「ネットゼロ」実践には課題 農政ジャーナリスト 伊本克宜2021年11月1日

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Jミルクは10月末、国際酪農組織が進める脱炭素への「酪農乳業ネットゼロ」活動に参加すると発表した。気候変動対応、国連食料システムサミットを踏まえた対応だ。だが、低炭素酪農に向け生産現場の対応はこれから。実践には技術的問題をはじめ課題が多い。

■「ネットゼロ」へ6項目

Jミルクは、国際酪農組織GDP(グローバル・デーリー・プラットフォーム)が中心となって進める脱炭素の取り組み「酪農乳業ネットゼロへの道筋」に参加する。

酪農乳業セクター全体で、気候変動に対応するもので、具体的な基本方針は六つある。

このうち、(2)自然の生態系を保護する生産方法の強化(3)牛の飼料やふん尿管理などの慣行改善(5)温室効果ガス(GHG)排出量測定し緩和策を計画し進捗(しんちょく)監視の三つは特に重要だ。

国内酪農は、輸入飼料依存の「加工型畜産」の生産体系が多く資源循環型への転換には土地利用の制限など課題は山積している。今後は放牧型など草地酪農推進が問われる。

■COP26でも議題に

地球温暖化対応を話し合う第26回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)も11月12日までの日程で英グラスゴーで開幕。1、2日には首脳級会合で各国代表がGHG削減目標や今後の対応を示した。

COP26では、農業分野の脱炭素への目標達成の道筋なども議論されている。欧米では特に畜産酪農での具体的取り組みも課題だ。

■焦点はメタン削減

こうした中で農水省は温室効果ガスの排出削減に向けた「地球温暖化対策計画」を改定した。政府目標のうち、3・5%分を農林水産分野で担う新目標を提示した。

ここで焦点はメタンガスの削減だ。日本では水田由来が大きい。だが国際的には家畜の消化管内発酵に伴う「げっぷ」、ふん尿など畜産由来をどうするかが議論となっている。過度のメタン削減では、肉牛大国のオーストラリアが「国内畜産業への影響を懸念する」として否定的な態度を表明している。

■生乳生産にも影響

先のJミルクの「ネットゼロ」取り組みには、乳牛由来のメタン削減をどうするかとセットで議論する必要がある。乳牛の遺伝的改良、飼料設計での改善、放牧への転換など、生産現場の対応はこれからだ。

温帯モンスーン地帯の日本固有の問題もある。水田との連携で、自給飼料を確保する水田酪農の構築、地域循環型の低炭素酪農への技術革新などはこれからの課題だ。

環境問題ばかりが先行すれば、生乳減産につながり結局は酪農家の所得減少、生産基盤の弱体化に結び付きかねない。これは、食料自給率の低下、食料安保にも影響する。特に、耕地面積が限られる都府県酪農を、関係団体が支援しながら、どう低炭素酪農へ地域ぐるみで進めていくかも問われる。

■国連食料サミット念頭に

Jミルクは既に今春、9月の国連食料システムサミット対応としてIDF(国際酪農連盟)とGDPの共同声明の賛同している。今回の「ネットゼロ」参加もその一環だ。

気候変動対応が国際的潮流となる中で、酪農セクターも同一歩調を国内外に示すのも狙いだ。

ここで共同声明をよく点検すると、脱炭素を進める一方で、酪農乳業の果たす役割と独自の立ち位置を強調しているのが分かる。「持続可能な生産システムを通じ、世界の人びとに安全で栄養価の高い食品を供給している」として、家畜による一定程度の環境負荷と牛乳・乳製品提供のバランスを求めている。
これら主張の根底には、IDFとFAO(国連食糧農業機関)が署名した2016年の「ロッテルダム酪農宣言」がある。同宣言では、酪農セクターは国連の持続可能な開発目標SDGsのうち「飢餓ゼロ」「貧困の緩和」「ジェンダー平等」の解決に役立つと挙げている。酪農は女性雇用に積極的に取り組み、少なくても世界で1億6000万人の子どもに学校で牛乳提供など専用ミルクプログラムを提供している、とした。

■国際対応強化の一環

Jミルクは国際対応を強めている。4月には新たに国際委員会を設置した。酪農乳業の国際対応を始動した。業界挙げた一元的な国際連携は前例がない。気候変動の中で、持続可能な酪農への具体策を検討していくのが狙いだ。

同委員会は、Jミルクの国際対応と国際酪農連盟(IDF)の日本組織・JIDFが一体となり4立ち上がった。これまでの縦割りの仕組みをやめ、酪農乳業関連の国際的情報の一元収集と、国内への一元的な提供が可能となる。

日本農業は国際化の波に揺れるが、中でも酪農乳業界は自由化の影響が大きい。一方でIDFなど国際組織が活発に活動し、一元的な対応が課題となっていた。

■「みどり戦略」にも対応

Jミルク国際委は当面する五つの重要課題を検討している。まず取り上げたのは、地球温暖化、気候変動とSDGsなどをテーマに国連食料システムサミットと、これを踏まえた農水省「みどりの食料システム戦略」への対応だ。

さらに、健康維持への牛乳・乳製品の栄養実証、二酸化炭素削減へ環境問題、雇用など酪農乳業の社会経済貢献、動物福祉(アニマルウエルフェア)を掲げた。これら五つは、具体的な国際的対応が迫られている。

■課題は生産者段階

Jミルクでは、2019年秋に10年後の2030年を念頭にした戦略ビジョン「提言」をまとめ、持続的な成長を目指す酪農乳業の姿を描いている。「提言」を着実に実践する戦略ビジョン推進特別委員会の下に「SDGs推進ワーキングチーム」を設け、具体的な論議を始めている。国際委との連携も進める。

SDGsやFSS対応で、ESG投資も踏まえ各乳業メーカーは環境重視の戦略を始めつつある。これは企業生き残り戦略の一環だ。問題は生産者段階の意思統一と具体化の手法だ。日本の畜産は、「加工型畜産」で大量の輸入飼料で成り立つ側面も強い。こうした中で、国際対応で「ネットゼロ」参加は決めたが、生産者段階の対応は中央酪農会議も参加したモデル対応などで着実に実践することが欠かせない。

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