営農再開農地6割見込む 農水省の震災対応2013年3月21日
農水省は3月11日、東日本大震災への対応と今後の取り組みについて公表した。
東日本大震災による農林水産関係全体の被害額は阪神大震災の約26倍、新潟中越地震の約18倍となる約2兆4000億円に及ぶ。うち農林業関係の被害額は1兆1204億円で、とくに津波による農地被害は青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県を中心に総計2.1万haとなっている。
農水省は平成26年度までの概ね3年間で被災農地の復旧をめざしており、24年度春の作付期までで営農再開可能となった農地は8190haで全体の38%となっている。
また、現在、営農再開に向け復旧工事が行われており、今春までに全体の63%で営農再開が可能となる見込み。あわせて今年1月現在で約9400haのほ場で大区画化がすすめられている。
◆再開した農業経営体は4割
被災6県で津波被害に遭った農業経営体は約1万200経営体で、現在、経営が再開できたのは全体の40%となる約4090経営体。
農水省が地域農業の復興のため作成をすすめている「経営再開マスタープラン」の被災6県での策定状況は24年度までに約3割、25年度までに約6割を見込んでいるが、市町村職員が復旧・復興業務に追われプラン作りに関わるマンパワー不足が課題となっていることから、25年度からは地域の事情に詳しいJAや普及員のOBを推進員とする活動への助成を検討している。
また、新たな農林水産業育成のため、現在、宮城県と岩手県で先端的技術を駆使した大規模実証研究に取り組んでおり、25年度は地域を拡大して実施するとしている。
◆作付再開に向けた対策を検討
原発事故への対応では、品目ごとの特性に応じた放射性物質の低減対策を実施している。
米では農地の反転耕などによる除染やカリ施肥などによる吸収抑制、福島県では全袋検査を実施している。こういった各生産現場での取り組みにより、農畜産物の放射性セシウムの濃度水準は低下しており、2月28日現在までの検査結果を23年度末までと比較すると基準値である100ベクレル/kg超過の割合が大幅に低下している。
また、25年産米の作付等については、現在の「避難指示解除準備区域」では作付再開準備に向けた実証栽培をの実施、「旧緊急時避難準備区域内」で作付自粛、作付制限している地域では作付を再開し、全量生産出荷管理を行うなど、作付再開に向けた取り組みをすすめていくとしている。
農水省は今年2月までに原発事故連絡会議を11回開催し、東京電力に対して賠償金の早期支払いを働きかけてきた。農林水産関係での2月28日までの支払い状況は合計約4330億円の請求に対し約83%の3587億円となっている。
また、「食べて応援しよう!」をキャッチフレーズに全府省庁の食堂や売店で被災地産食品の積極的な消費運動を展開しており、今年2月までの取り組み件数は519件となっている。
(関連記事)
・各府省庁632カ所で「食べて応援しよう」キャンペーンを展開(2012.12.03)
・復興より先にやるべきことはない JAグループが国の対策強化を要請(2012.07.25)
・津波被災農地、24年度までに8310haで営農再開見込み 農水省(2012.04.24)
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日
-
深作農園「日本でいちばん大切にしたい会社」で「審査委員会特別賞」受賞2025年9月18日
-
果実のフードロス削減と農家支援「キリン 氷結mottainai キウイのたまご」セブン‐イレブン限定で新発売2025年9月18日
-
グローバル・インフラ・マネジメントからシリーズB資金調達 AGRIST2025年9月18日
-
利用者が講師に オンラインで「手前みそお披露目会」開催 パルシステム東京2025年9月18日
-
福島県に「コメリハード&グリーン船引店」10月1日に新規開店2025年9月18日
-
鳥インフル 米モンタナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年9月18日