「しごと」づくりを探る 中山間地域フォーラム2015年10月5日
NPO法人中山間地域フォーラム(佐藤洋平会長)は10月4日、東京大学で発足9周年記念シンポジウムを開いた。中山間地域の「しごと」づくり、特に地方創生の視点から、若者の「農村回帰」と定住のあり方について発表と意見交換した。
テーマが「仕事」でなく、「しごと」としたことについて、解題した明治大学の小田切徳美教授は、「しごと」=所得源+ライフスタイル+地域の図式を描く。つまり、単に所得を得るだけでなく、そこに地域とつながるライフスタイルをセットで考える発想である。
この考えに沿い、島根県中山間地域研究センターの藤山浩総括監が「人口の1%取戻し戦略」を提案。「沢山でなくてよい。毎年地域人口の1%相当の定住増加を実現すると、その地域は安定する」と言う。そのため、田舎暮らしを希望する人がどうしたら定住できるかについての「田舎暮らし設計シュミレーションソフト」を紹介した。
特別報告では和歌山県と東京を行き来し、求めに応じて旅行企画、結婚式のイベントなど、仕事をつくりだす伊藤洋志さん(36)は、「必要なことは、可能な限り自分でやれば、農村で生活できる。定住にこだわらない田舎暮らしがあってもいいのではないか」と問題提起する。
島根県の過疎地で古本屋と障がい者支援を行っている尾野寛明さん(33)は、「1人ひとりにあわせた仕事が大事。一つではだめでも複数組み合わせると成り立つ。農村は地域の担い手が減り、草刈りや農産加工など、多くの仕事の場がある」と言う。
このほか、新潟県の積雪地帯で地産地消のレストランなどを経営する高木千歩さん(42)は、「地域の宝を見付け、地産地消で温かいお金の循環をつくる」と報告した。
全体のディスカッションでは、「田園回帰」の流れを受け、「今日の若者の求めるものと、農村の親和性はどこにあるか」の小田切教授の問題提起を中心に意見交換した。
(写真)「しごと」づくりでディスカッションする中山間地域フォーラム
(関連記事)
・どう創る中山間地域の「しごと」-フォーラムがシンポ (15.08.20)
・地方創生政策で緊急提言-中山間地域フォーラム (15.08.19)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(7)【防除学習帖】 第246回2024年4月20日
-
土壌診断の基礎知識(16)【今さら聞けない営農情報】第246回2024年4月20日
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日