地方創生政策で緊急提言-中山間地域フォーラム2015年8月19日
NPO法人の中山間地域フォーラムは8月6日に地方創生政策に関する緊急提言を発表した。
政府の地方創生政策では「地方版総合戦略」を27年度中に作成するよう地方自治体に求めている。また、中山間地域では「小さな拠点の形成」が推進されているほか、これに合わせて公立小中学校の統廃合を進めるという重大な動きも出ていると同フォーラムは指摘する。
しかし、これらの政策は国が交付金配分と関連づけて強力に誘導していることから、中山間地域の一部市町村では混乱や戸惑いも生じているといい、同フォーラムは「地域の内発的なプロセスを重視し、田園回帰の動きにも注目しながら施策が進められるべき」と提言している。
具体的には、まず地方版総合戦略は「地域住民が主体となってボトムアップで策定。作成が28年度にずれ込む市町村についても交付金等で不利な扱いにならないようにすべき」ことを挙げる。
同フォーラムによると地方版総合戦略の策定を急ぐあまり、一部の市町村で「コンサル丸投げ」もあり、国に気に入られる「交付金獲得レース」と化している実態もある批判している。
また、公立小中学校はコミュニティの拠点であり「田園回帰」の拠点でもあるとして「統廃合は地域の自治組織で十分に議論を行えるようにすべきであり、政府も地域の意向に反して推進するこがないようにすべき」と提言している。
さらに国土形成計画で推進することになっている「小さな拠点」に対する誤解を払しょくすべきことも提言している。新たな国土形成計画では「コンパクト・シティ」が論じられていることから、小さな拠点も"住居の集約化"を進めるものとの誤解が広がっていると指摘。そのうえで、同フォーラムは「小さな拠点」とは生活していくための「守りの砦」にとどまらず、周辺の集落とも密接に連携する集落ネットワーク圏の設定と一体となって推進されるべきものであることを明確に示すべき、と提言している。
政府は地方創生を後押しする新型交付金として平成28年度予算で1000億円規模を要求する方針だ。
8月10日の参議院予算委員会の集中審議で石破茂・地方創生担当大臣は「国費ベースで1000億円、事業費ベースで2000億円超となる。これに加えて地方財政計画の歳出に1兆円、各省庁の地方創生関連で7000億円。26年度補正予算で1700億円だったから昨年を上回る」と概算要求に向けた考えを示した。
そのうえで「地方創生は1年や2年でできるものではない。各自治体にお願いしている総合戦略(は)、5年(目標が)目途とはいっている。やはり5年は念頭に置かなければならないと思っている」と5年程度で実現できる戦略づくりを地方自治体に求めていることを明らかにしたほか、その計画に対する新型交付金の交付対象について「今の補助金のメニューにないもの。たとえば元気な高齢者がサービスの受け手ではなくて出し手として、コミュニティをつくって活躍していただく。あるいは新しい観光の組織」などを挙げたほか「どこも同じようにお配りすることはしない。先駆性のあるもの、あるいは地域にまたがった新しい取り組み、官民連携、そういう本当に真剣に考えている地域に対して、それなりの新型交付金で対応していきたい」と述べた。自民党の岡田弘参院議員への答弁。
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