【JA全国青年大会記念座談会】食と農と地域の再建へ! どうする農協運動(2)2026年3月2日
第72回JA全国青年大会は「咲き誇る 青年の情熱と協同の力~さあ、みんなでやってみよう!」をスローガンに開催された。JA青年組織の盟友は現在から未来につなぐ「農協運動」の担い手たちである。大会を記念した座談会は「食と農と地域の再建へ! どうする農協運動」をテーマに、長野県・JA松本ハイランドの田中均組合長、JA全中元専務の冨士重夫氏、JA全中の加藤純参事に率直な議論をお願いした。司会・進行は文芸アナリストの大金義昭氏。
写真右からJA全中参事・加藤純氏、JA松本ハイランド組合長・田中均氏、
JA全中元専務・冨士重夫氏、文芸アナリスト・大金義昭氏
准組問題も次代見据え
大金 一筋縄にはプロデュース出来ない時代です。そのヒントになる事例は?
田中 ライファイゼンや二宮尊徳の話もするんですが、「偉人伝」みたいな話になっちゃう。いまの農協は戦後の経営危機に直面し、農協中央会や政府の指導もあったが、危機意識をもった組合員が本気になって赤字を立て直してきた。そこが原点ですね。そこから始めないと理解されない。
12年前に「協同活動みらい塾」をつくり、プロデュースは役職員だけれど、主役の組合員を育てる学校をつくった。卒塾生は200人を超え、OB・OGが自分たちで協同活動を広めたいという機運が高まった。そこで、その受け皿が必要と考え、3年前に「支所協同活動運営委員会」という組織をつくった。生産部会という縦の組織はあっても、地域での横の広がりがないので、横の組織をつくり、縦横に重層的にやっていかないと組織基盤の強化にはなりません。
冨士 確かに地域活動の中で組合員が自分たちでつくった協同組合を感じ取れる"疑似協同組合"をつくるような体験があればと思いますね。営農組合や作業受託組合など、横のつながりを持つ"ミニ協同組合"も組合員が集落で主人公になっていく。
大金 "農協版ワーカーズ・コープ"のような!
加藤 組合員も減っている中で問題になっているのは、組合員の「相続・事業承継」です。世代交代で組合員が替わっていく農協で、役職員がプロデュースしていかに次の世代にうまくバトンタッチしていくか。
准組合員の根本問題
JA全中元専務 冨士重夫氏
大金 いま最もホットな課題は?
冨士 准組合員問題ですね! JAの「総合事業」が継続できるかどうかという問題と表裏一体です。「農協改革」では准組合員の利用を制限すると脅され、協同組合としての独自の中央会監査制度が否定された結果、不特定多数を対象として商売する一般企業の公認会計士監査制度の適用とJA全中の一般社団法人化を余儀なくされた。
外部から見れば、出資金一口1000円を出しただけのような准組合員は「員外利用と変わらない」と言われる。「総合事業」は、農業事業者である組合員の営農と暮らしに必要な事業を行うために認められているもので、不特定多数の人々を事業対象とするなら、一般企業と同様となり、「総合事業」が成り立たなくなる。
すなわち、信用事業は、金融事業以外の兼営が認められない銀行と同様に分離することが求められ、共済事業は生命保険と損害保険の兼営が認められない一般の保険会社と同様に分離することが必要と言われる。
さらに、正組合員は事業利用権と議決権を認められているけれども、議決権がない准組合員は正当な組合員の身分ではなく、事業を利用するだけの見せかけの組合員だと言われてしまうことが最も大きな問題です。だから「応援団」じゃなく、一緒に歩む仲間だったら議決権は与えなければいけない。例えば、総議決権数500のうち正組合員が3分の2相当の350、准組合員に3分の1相当の150を付与するとかですね。法律改正しなくとも、組合自治の原則により、それぞれのJAの定款や規約に定めれば実行できるので、中央会が課題や問題点を整理しないと、食と農を基軸にした地域の協同組合にはなり得ない。
地域の基盤 連携決め手
JA全中参事 加藤純氏
田中 問題は准組合員の何の意思を反映するか。場合によっては、農業振興と逆の意思もあり得る。例えば、米価を安くしてほしいという意思は農業経営に響くし、農業振興の目的からも逸れる。そうした問題を横に置いて制度だけつくっても駄目だと思うので、農業振興の「応援団」だという取り組みをベースに新しい仕組みをつくることが必要です。
加藤 同感です。准組合員の意思を反映し、運営参画するときに、議決権まで含めるかどうかの議論は必要ですね。准組合員モニターに取り組むJAもありますが、議決権に近い取り組みまではいっていません。また、正組合員の資格要件についても、耕作面積や農業従事日数など、多様な担い手に正組合員として参画しやすいように見直しが行われています。生協と異なり、正・准組合員の仕組みを持つ農協としては組合員の維持・拡大と関係強化をはかる上で、どのように組合員の意思反映の仕組みを考えていくかが重要ではないか。
冨士 准組合員におけるさまざまな取り組みを段階的に進め、そのあかつきに議決権付与を考える。例えば「年金友の会」などの「協同活動」に複数加入し、地域の皆さんや正組合員と一緒になって活動してもらうことで、意識も行動も進化していくはずです。こうした取り組みが准組合員の7、8割に達したら次の段階、それもクリアしたら議決権の取得がありえるとか。
田中 うちの農協では3月の異動で准組合員問題について専任担当者を置きます。2025年12月に内部で各部門横断のプロジェクトをつくってキックオフ大会を行いました。今後、准組合員に農業振興を理解してもらう取り組みや准組合員を増やすアイデアを出し合います。すぐに実践に移せるもの、3年先、5年先に行うものを1年かけて整理して、来年から実践に移します。
大金 准組合員対策は「自己改革」の起点とも言えますが、協同組合間連携も含めて"突破口"を探りたい。
田中 生協との事業連携もアプローチの一つです。事業連携だけじゃなく、お互いの組合員の相互乗り入れがあっても然るべきですね。
加藤 三重県のあるJAでは、中山間地域でAコープを拠点に生協と連携し、生協の組合員になれば宅配サービスも利用できるなど、協同組合同士が連携して地域の生活を支えています。
冨士 宮城県でも生協と農協が連携してAコープ店舗を運営するなど、地域を支える取り組みが進んでいる。社会に「協同組合人」が育ち、増えていくことには夢がある!
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