震災の教訓を次世代へ 東日本大震災から5年でパルシステムがメッセージ2016年3月2日
3月11日、東日本大震災・東電福島第一原発事故から5年を迎える。生協のパルシステム連合会は、「震災で得た教訓を生かし、持続可能な社会を次世代へ引き渡す決意」を、「東日本大震災から5年―持続可能な社会を次世代へ―」というメッセージとしてまとめ、2月29日に公表した。
このメッセージの全文は以下の通り。
【東日本大震災から5年一持続可能な社会を次世代ヘ】
東日本大震災から5年が経過しました。建物倒壊や津波によって1万6千名近い方が亡くなり、いまだ2千名以上が行方不明になるなど、未曾有の被害を受けました。発災直後の社会は、道路の寸断、燃料不足、さらに計画停電と混乱を極め、宅配事業を営むパルシステムにとっても存続の危機といえる事態でした。こうしたなか、産直産地の生産者やメーカー、配送委託会社、生協職員などが一丸となって商品を届け続け、組合員とともに困難を乗り切ることができました。
被災した地域では、現在も問題が山積しています。復興庁によると、17万名あまりが、いまだ仮設住宅や親族宅などに避難し、落ち着いたくらしを取り戻せていません。なかでも原発事故のあった福島県では、10万名近くの人々が避難生活を送っています。2012年に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」では、避難する権利が盛り込まれました。それにもかかわらず政府と県は、2017年3月をもって自主避難者への住宅支援を打ち切る方針を固めています。
農林水産業においても、放射能の影響は残っています。土壌改良などの知見が積み上げられたことで、農作物の多くは放射能が検出されなくなっていますが、汚染水の海洋流出は防ぎきれておらず、懸念は払拭されていません。
原発事故で避難しているみなさんは、故郷を捨てたいわけではありません。福島で農業を営んできた生産者のみなさんは、安全で安心して食べられる農作物づくりに取り組んできました。しかし原発は、たった1回の事故で、被害にあった一人ひとりのくらしを破壊し、経済的にも精神的にも、多大な被害をもたらしたのです。
電力をめぐっては、2012年の再生可能エネルギー固定買取制度に続き、2016年4月からは電力の小売自由化が控えます。一方で、2015年8月、九州電力川内原発が再稼働、2016年1月には関西電力高浜原発がそれに続きました。大手電力各社とも、原発再稼働に向けた動きを強めています。
震災後の電力不足で、私たちは当たり前にあった電気が、産業空洞化や過疎化に悩む地方の犠牲のうえに供給されている現実をあらためて知りました。そしてその教訓を基に、パルシステムでは2012年2月、エネルギーの使用を「減らす」、原発を「止める」、再生可能エネルギーへ「切り替える」を進める「パルシステムのエネルギー政策」を策定しました。生活者がエネルギーを選択できる社会づくりへ向け、パルシステムも再生可能エネルギー中心の電力を組合員に提供できるよう準備しています。
震災の混乱と原発事故への恐怖を経て、私たちは、原発に依存しない社会づくりを決意しました。原発被害を二度と繰り返さないためには、脱原発の推進が唯一の道です。パルシステムはこれからも「減らす」「止める」「切り替える」ための活動を広げていきます。そして、被災地への復興支援や商品利用を通じて次世代へ持続可能な社会を引き渡せるよう、責任を果たす努力を続けていきます。
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