農地集積 伸び鈍化-農地中間管理機構2017年5月25日
転貸実績前年比4割超減
農林水産省は5月23日、28年度の担い手への農地集積状況について公表した。農地中間管理機構による転貸面積は約4万3000haで前年実績の6割程度にとどまった。農水省は、これまでに集落営農の法人化など担い手への農地集積をしやすいケースが一巡し、新たな取り組みが必要となっていたが、28年度は十分な掘り起こしができなかったとしている。
担い手の利用面積は28年度に6万2000ha増加した。27年度の増加面積は8万haだったことから伸びは鈍化した。このうち農地中間管理機構による転貸面積は4万3356ha。前年度は7万6864haだったため前年実績にくらべ56%にとどまった。
農地中間管理機構が活動を開始した平成26年度以降、累積の転貸面積は14万2000ha。担い手への農地利用集積は平成25年度で48.7%だったが、28年度には54.0%にまで高まった。ただ、政府は35年度に担い手の利用集積割合を8割としており、農水省は「さらなる加速化が必要」としている。
機構が事業を開始した当初は、集落営農組織が法人化することによって「担い手」となり、農地の利用集積が進んだという要因もあった。しかし、それらが一巡したことで農地利用集積に向けた新たな掘り起こしが必要となっていたが、その取り組みが十分ではなかったという。
農水省によると、農地の借り受けを希望する担い手はいるが、農地の出し手に「(農地を任せようと)踏み切ってもらえない状況が多くの地域でみられる」という。地域農業の将来と農地中間管理事業の意義を理解してもらうようPRがさらに必要だとしている。
今後は、農業委員会改革で設置が決まった農地利用最適化推進委員と機構との連動や、土地改良法の改正で農業者の負担を求めずに基盤整備事業ができるようになったことなども活用していく。また、農用地利用集積計画と配分計画の2つの計画策定が必要なことや、借り手が利用状況を毎年報告しなければならないことなど機構事業の手続きの煩雑さの解消など、5年後見直しに向けた検討や、所有者不明土地問題について政府全体として検討を推進することにしている。
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