田畑価格 26年連続下落 (一財)日本不動産研究所2017年10月31日
(一財)日本不動産研究所は10月30日、今年3月末現在の田畑価格と賃借料などについて公表した。田価格は25年連続、畑は26年連続で下落した。
全国平均の10aあたりの田の価格は72万4839円で前年調査にくらべ▲2.0%低下した。1993年以降25年連続で下落しており、ピークだった1992年の119万2792円の60.8%で1970年代後半と同水準となっている。
一方、畑の全国平均価格は43万9618円。前年にくらべ▲1.2%低下した。畑は92年以降、26年連続で下落。ピークだった87年の68万2466円の64.4%の水準となっている。
田の価格が下落した理由についてアンケート結果をみると「農業後継者の減少」23.3%、「高齢化」20.0%、「買い手がない」18.6%、「米価の下落」17.4%、「農業経営の先行き不安」12.7%の順。米価が2年連続で上昇したことから、理由のうち「米価の下落」は1位から4位に後退した。
ただ、30年産から生産調整の見直しが行われることから、米価の先行きに不透明感が広がっており、高齢化の進行、農業後継者不足などによる農業経営の先行き不安から、田の需給緩和は続いている。
畑の価格下落の理由は「高齢化」22.9%が昨年の2位から1位となり、「農業後継者の減少」22.1%、「買い手がない」18.6%、「農業経営の先行き不安」9.9%と続く。同研究所は、高齢化が進行し労働集約的な畑作経営が厳しくなっており、農業後継者不足から畑の需給緩和状態が継続していると分析している。
田畑賃借料の全国平均は10aあたり田が9161円、畑が5130円で前年にくらべ、田は▲1.6%、畑は▲1.4%それぞれ低下した。
賃借料水準をみると、田はピークだった1986年の2万4019円の38.1%、畑は同年の1万1339円の45.2%といずれも1970年代半ばから後半の水準となっている。
25年産から26年産の米価大幅下落後、27年産から飼料用米生産の増加で主食用米価格が回復したことから、田の賃借料は下落傾向が沈静化した。ただ、30年産からの生産調整政策の見直しで米価下落の懸念はくすぶり、先行きは予断を許さない。また、畑は条件不利地域を中心に借り手がいない状況がさらに進んでいるため下落傾向が継続している。
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